昨年5月、令和新時代幕開けを機に、以下のような日記を書いた。
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明治天皇の御陵は京都伏見の桃山陵になったため、政府は東京にご遺徳をしのぶ場として明治神宮創建
を計画、総力を挙げて取り組む。
大勢の意見は「神宮の森は森厳とした杉と檜など針葉樹林がふさわしい」だったが、林学者たちは「東
京は気候、土壌的に針葉樹は適さず、常緑広葉樹でなければ育たない」主張、人工の広葉樹林造成に決
まる。
全国から募った献木は2万本、150年後に神苑を包む森完成めざして壮大な植樹計画に着手したのは、
ご大葬と新天皇即位が終わった大正9(1920)年だった。
(中略)
明治神宮の森は学者の150年の予想よりはるかに速く、100年もしないうちに人工林が自然林化、
22万坪の広大な土地に247種、17万本の広葉樹が神域を覆い、現在も明治帝の御霊を護っている。
平成から令和へ・・・日本中が新時代の幕開けをこぞって祝賀したように、明治から大正にかけての大事
業、明治神宮創建もまた大きな時代の節目となったのだ。
京都御所の大正天皇の即位を祝う大群衆は15万人、令和の新天皇を祝う皇居一般参賀には14万人。
直木賞作品「恋歌」の作家は、「落陽」で令和時代の「開かれた皇室」と日本人の新しい絆のあり方を、
問うているように思える。
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だが、祝福さるべき令和時代だったはずが・・・
わずかスタート2年で呪われた新型ウイルスに襲われてしまった。
厳しい自粛要請で、経済は大企業から街の居酒屋まで息を潜め、スポーツ・文化の灯も消えた。
国は100兆円を超える赤字国債を発行してコロナ対策費を捻出した。
すでに天文学的数字の赤字国債を抱えている国家財政に、将来さらに重くのしかかるだろう。
ソシアルディスタンス…ウイルス感染予防策として人と人の社会的距離を推奨し、大切な「絆」
をぶった切るようなおぞましい社会に、人々は疑心暗鬼になり息を潜めている。
「コロナを運んでくるな」と他府県ナンバーの車を阻止するあまり、打ち壊す暴挙まで続出した。
地域の連帯や助け合う優しい国民性まで、壊れていく・・・
海外ではコロナまん延を招いた犯人捜しをめぐって、国家間で不協和音のきしむ音が聞こえる。
見えない敵と戦う「コロナ戦争」後に、どんな世界を描き築こうとするのか。
「自国ファースト」続けるのか、新しい国際協調の枠組みを構築するのか・・・
人類の英知が問われている。