<共産党一党独裁社会は、共産党幹部階級は貧困階級に対して、無知、無理解、無関心、無視か>
<日中友好協会の日本政界、官界、財界、学界会員は、共産党幹部階級から得られる情報で判断意思決定行動か、庶民階級を無視か>
<身分証無し、出生届なし人口は1億人程度か>
<日本観光業者は、中国人口の10%以下、1億人以下の潜在的中国観光客に限定されるか、捕らぬ狸の皮算用の観光売上推計か>
<ウイルスに感染した出稼ぎ労働者、貧困層、庶民層は通院治療が困難の理由は、税収が一帯一路軍事費支出や共産党上流階級の社会保障支出に偏重し、社会保障医療費が不足ているためか>
<武装した検疫官や町に閉じ込められた市民の間に不安やエリート層のパニックは
現政権の崩壊の引き金となるか>
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2020年1月25日(土)17時45分<本誌2020年2月4日号掲載>
ルイ・チョン(ウッドロー・ウィルソン国際研究センター米中研究所プログラムアシスタント)、ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)
<新型コロナウイルス中国の貧困層は適切な医療を受けにくい状況にある。だが、新型コロナウイルスに接触した可能性が最も高く、それが最も急速に拡散する可能性が高いのは貧困層であり、政府が突然打ち出した過激な対策の最大の影響を被るのも、中国の貧困層だ。
問題のウイルスは、武漢の海鮮市場で、動物からヒトに感染したとみられている。海鮮市場とは言うものの、この市場はオオカミの子からヘビ、コウモリ(今回の感染源とみられている)など珍しい野生動物を幅広く扱っていた。
中国の生鮮市場はどこもそうであるように、動物を扱う不潔で危険な仕事を担っていたのは、主に出稼ぎの単純労働者だ。
武昌と漢陽、そして漢口という歴史ある3つの地区が合わさった武漢は、20世紀末に不動産開発を軸に急成長を遂げた。だが、武漢の医療システムは街の急速な成長に追い付いておらず、今回の危機で既に極限状態にある。
23日に武漢の交通機関がストップしたとき、出稼ぎ労働者や地方出身の大学生の多くは、既に故郷に向けて出発した後だった。こうした人たちによるコロナウイルスの「持ち帰り」が危惧されるなか、各地の公衆衛生当局にとって、最新情報の収集は最重要課題となっている。
監視社会の意外な抜け穴
国外で感染が確認された中国人旅行者は、平均的な中国人よりもはるかに金持ちだ。それは外国旅行に行くだけの経済力がある時点で明白だ。中国のパスポート保有者は、人口の10%にも満たない。
中国は監視社会だが、その網は穴だらけだ。テクノロジーによるプロファイリングシステムで中流階級はかなり可視化されているが、貧困層は抜け落ちている。
全ての市民が常時携帯しているはずの身分証を、持っていない人もいる。紛失したが、高い旅費をかけて役所まで行って再発行する余裕がない人。そもそも出生を届け出ていない人もいる。彼らは身分証が必要な鉄道や飛行機ではなく、監視が難しいバスや相乗りのトラックを利用する。
彼らはインターネット上でも追跡が難しい。中国では微信(ウィーチャット)のようなサービスが広く浸透していると言われているが、ネット普及率はようやく60%を超えた程度だ。微信のアカウントや身分証を、家族で共有する例も少なくない。
予防や治療の「格差」
公衆衛生に関しては、地方は置き去りにされがちだ。手洗いやマスクなどの感染予防策や、健康に関する情報はなかなか広まらない。電話やネット回線の有無が、健康を守るための情報を左右する。
情報だけではない。コロナウイルスが武漢の外に広がるにつれて、公衆衛生の関連用品が不足し始めており、都市部から離れている病院ほど必要な医療品が届きにくい。
上海では春節で工場が休業する時期と重なり、マスクの供給不足に拍車が掛かっている。ある工場は、通常の3倍の給料で休日出勤を募集している。こうしたリソース不足と従来の格差が相まって、持てる者と持たざる者の「感染予防格差」が広がりそうだ。
さらに、ウイルスに感染した貧困層は、病院に行く可能性がかなり低い。中国の医療制度は、中流階級さえ、適切な治療を受けるのが難しいことで悪名高い。国民の大多数にとって、質の高い医療へのアクセスはないに等しいのだ。
公的な医療保険も近年は拡充されているが、社会保障は戸口(戸籍管理制度)と結び付けられている。戸口の登録は基本的に出身地に縛られ、居住地や受けられる教育、公共サービスも限定される。
従って、地方の住民が、優秀な医師のいる都市部の病院で公的保険を使って受診することはできない。戸口のある土地から遠く離れた所で働く出稼ぎ労働者は、保険を全く利用できない。
彼らは命の危険が迫るまで病院に行かず、自分で治そうとするか、伝統的な民間療法に頼る。日常的に健康状態が悪くウイルスの影響を受けやすいため、風邪と勘違いしやすくなる。
出稼ぎ労働者は適切な年金や良質な医療を利用できず、40~50代以上であることも多い。若い頃から同年代の中流層に比べて過酷な労働条件で働いてきた人々もいる。こうした貧困層は比較的見えにくく、かつ軽視されていることも、中国当局が公式発表している患者数(22日時点で500人以上)が外国の推計(1700人以上)と大きく懸け離れている一因だ。当局は患者の存在を隠蔽しているというより、患者を見つけられずにいるのかもしれない(恐らくその両方だろう)。
1月中旬から市内全域と他の交通の要所で診断などが無料になった(義務付けられた)ことで、こうした状況はいくらか改善されるだろう。だが、医療施設は都心部に集中しがちで、新型肺炎と診断されても十分な治療を受けられない可能性もある。
不満や不安のはけ口にも
貧困層は診断や治療の面では見落とされがちだが、抑圧の対象としては逆に目を付けられやすい。武漢周辺で検疫が強化されるなか、当局からひどい扱いを受ける可能性もはるかに高い。惨事はしばしばエリート層をパニックに陥れ、貧困層やよそ者を孤立させる。76年の唐山大地震の後には、農村部から都市部に避難してきた人々を、都市部の民兵組織が略奪者として殴り殺したり、射殺したりした。
武装した検疫官や町に閉じ込められた市民の間に不安が広がれば、こうした危険な衝突が起きかねない。封鎖された市内で治療に必要な物資などの供給と日々の活動が低下しているだけに、なおさらだ。意図的な誤報も出回っている。そのリスクは世間の対応を遅らせると同時に、「噂の流布」に対する司法当局の取り締まり強化につながってもいる。何がフェイク情報の拡散で何が政府批判なのか、当局の線引きは不明瞭なままだ。