☆ 娘とワールドカップ

美容院に行った。
パーマをかけて、白髪の部分染め。なので美容院にいる時間が長い。
それぞれの専門の技術者や見習いの若い子などが入れ替わりたちかわり。
担当者は笑いながら「今日は朝からサッカーの話ばかりです」という。
「キーパーの人は大変ですね。いつも空中を飛んで落ちてくる繰り返しで」と
担当者はキーパーを気遣った。

昨夜は居間の電気とテレビを点けっ放しのまま寝た。
いつ寝ぼけ眼で起きても、デンマーク戦の現況を観られるように。
娘の位牌と写真を持って来て、テレビの前の一等席に置き、コーヒーを供えた。
私が寝ている間でも、娘はワールドカップを観ていられるように。

２００２年だったか、日韓ワールドカップが終わった時、娘が
「ママ、次のドイツ大会には一緒に行こう。それまでにお金をためて！」と言った。
でも、２人ともお金を貯めないまま、いろいろ出費が忙しい日をすごし、
ドイツ大会の前に娘は逝ってしまった。

ドイツ大会の時、ツレが自分の部屋に引っ込んだ後は（父親は外見に似ずナイーブ）
今のように位牌をテレビの正面に置いてお菓子や飲み物等周りに置き、２人して
サッカー中継を観ていた。
その時の、娘の写真はとても嬉しそうに笑っていた。

期待が大きかった日本の予選落ちが決定した試合の後、中田が天を仰いだ後
フィールドに寝転んで、顔を覆っている長いシーンを思い出す。
一勝も出来ず、挙句にヒデも引退してしまったドイツ大会。

それから４年経ち、２０１０年の今年は南アフリカ大会。　
家でそうやってワールドカップを観ていると、娘の優しい気配が感じられる。
書いているうちに、涙がぽろぽろ零れ落ちるけれど、今はあらゆる後悔を越えて
傍に気配を感じられるだけでも嬉しい。


その２５日、朝方　目覚めた。
居間を覗くと私が点けておいた煌々たる電気。　音声は抑えているけど無音ではない。
テレビを観ると２－０。
今は？と画面をもう一度観ると、後半で１７分位に入っている。
引き分けでもＯＫだったっけ。
じゃあ安心してこの点数なら観ていられると、腰を下ろした。
途中、ヒヤッとする場面も有ったけれど、概ね安心して観ていられた。
それにしても、後でビデオで観る本田のフリーキック、芸術的。遠藤も同じ。
パス回しも堅実だし、大きくはないが、フィジカルでも見劣りしない。
ずいぶん成長したものだと、驚く。

２５日のデンマーク戦は３対１で日本の勝利だった。　
後は来週の火曜日。
今度の時間は夜の１１時からかな？
次のパラグアイ戦も観ている方はハラハラドキドキだろう。

また祝杯代わりのコーヒーを沸かせたら・・・