自身のがんにショック=「がん専門医」中川恵一氏の体験記
2/5(火) 17:11配信
時事通信
私はがん治療専門医で、東大病院で34年間、放射線治療や緩和ケアの診療に携わってきました。同時に厚生労働省のがん対策推進協議会委員、文部科学省の「がん教育」の在り方に関する検討会委員などの公職も務めてきました。
講演などでは、「日本人男性の3人に2人ががんになる時代です。がんになることを前提にした人生設計が必要なのです」などと話してきました。昨年10月末には、がんに関する著作を出版したところです。その2カ月後に自分ががんの治療を受けているのですから、皮肉とも言えます。
自身のがんにショック=「がん専門医」中川恵一氏の体験記
自身で腹部超音波エコー検査をする中川准教授
◇自分で検査、膀胱がん発見
東大医学部の先輩の病院で、若いころから月に1回くらい週末に当直の仕事をしています。この病院に超音波エコーの検査装置があり、2018年12月9日に自分自身で膀胱(ぼうこう)のエコー検査をして、腫瘍を発見したのです。まさに、青天のへきれきでした。
実は2年半ほど前に肝臓に脂肪がたまる脂肪肝を自分で発見して以来、毎月、エコー検査を自分でしていました。アルコールの飲み過ぎのせいだと思いますが、肝臓の静脈付近にだけ脂肪がたまる「まだら脂肪肝」でした。お酒を控えると脂肪肝は良くなっていたのですが、膀胱の壁が多少厚く見えたのが気になりました。検査当日には、画像が鮮明になるように膀胱に十分尿をためて入念にチェックしました。
すると、左の尿管が膀胱につながる「尿管口」の近くに15ミリ程度の腫瘍が見つかりました。すぐに家族に「膀胱がんになった」と電話したのを覚えています。当然のことかもしれませんが、家族は私以上に動揺していました。
自身のがんにショック=「がん専門医」中川恵一氏の体験記
エコー画像で発見した、突起状の腫瘍(右部分)
◇がんとの確定診断
スマートフォンでこのエコー検査の画像を撮影して後輩の泌尿器科専門医にメールで送信しました。「膀胱がんの可能性が否定できない」との返事を受けました。今振り返ってみれば、一種の「リップサービス」だったと思います。そのメールにはがんではない可能性についても触れられていましたから。人間は弱いものです。内視鏡検査をするまで、がんではないような気になっていました。家族にも「がんではないようだ」と電話もしてしまいました。
しかし、翌日の朝にその後輩医師に膀胱内視鏡検査をお願いしたところ、膀胱がんという診断がほぼ確定したという経緯です。内視鏡の画像は、疑いようのなく粘膜の比較的浅い場所にある膀胱がんでした。早期のがんで、内視鏡手術で切除できるとはいえ、正直、とてもショックでした。そもそも、生物は自分の病気や死を意識しないようにプログラムされているように思います。
膀胱がんは人口10万人当たり10人程度の発生率で、男女比は3対1と男性に多く、60歳以降の高齢層に多く見られます。危険因子として確立しているのは、特定の化学物質を除けば喫煙だけ。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんが喫煙のために発生するといわれます。コーヒーについては結論が出ていませんが、大きな影響はないと考えてよいと思います。
◇「なぜ、私が…」
たばこは吸いませんし、ジョギングなどの運動は毎日行っていて、体重も若いころのままです。正直、自分が膀胱がんになるとは思っていませんでした。「なぜ私が…」と信じられない気持ちでした。
私がこのがんにかかった理由などありません。運が悪かったとしかいえないと思います。膀胱がんの8割で血尿が見られ、早期発見のカギになりますが、私の場合、これも自覚できませんでした。もちろん、なんの症状もなく、エコー検査を自分でしていなければ、がんはもっと進行して大掛かりな手術が必要になったり、完治が期待できない状態まで発見できないでいたりした可能性があります。こう考えれば、まさに脂肪肝さまさまで、本当に幸運だったと思います。同僚の医師からも「良かったね。おめでとう」などと言われました。
自身のがんにショック=「がん専門医」中川恵一氏の体験記
中川恵一東京大学医学部准教授
◇知識の有無が運命左右
こんな自分の経緯を振り返っても、病院で進行がんの患者を待っているだけではがんによる不幸を減らすことができないと考えています。がん治療の傍ら、がんに関する啓発活動が必要と考えて取り組んできたのは正しかったのでしょう。なぜなら、がんはわずかな知識の有無で運命が変わってしまう病気だからです。
例えば、乳がんのため亡くなった元アナウンサーで歌舞伎役者の市川海老蔵さんの夫人の小林麻央さんも、がんになる前にある程度の知識があれば34歳の若さで命を落とすことはなかったと、私は思います。このためにも、学校でのがん教育の推進にも一役買いました。中学校、高校の学習始動要領にがん教育を明記してもらうこともできました。(このシリーズは毎週火曜日に配信します)
【略歴】中川恵一(なかがわ・けいいち)
東京大学医学部准教授、同付属病院放射線治療部門長。1960年生まれ。85年東京大学医学部卒業、同部専任講師などを経て現職。厚生労働省「がん対策推進企業アクション」議長なども務める。「最強最高のがん知識」「がんの時代」など著書多数。
vam***** | 1時間前
癌には医師たちの言う顔つきというものがあり、進行の早いものは「顔つきが悪い」、進行の遅いものは「顔つきが大人しい」というそうです。急激に進行するタイプだと半年に1度の検診でも末期状態で発見されることもあるとのこと。
私の父が、正に顔つきの悪い癌に罹患し、定期検診での発覚時に既にステージ4、それから2ヶ月半で逝ってしまいました。肝臓がんだったのですが自覚症状が乏しく、発見の遅れに繋がりました。
父も毎月検査していれば早期発見も可能だったでしょうが、無症状なのに毎月エコーをやるのは現実的ではないでしょう。医師ならそれが可能なのが羨ましい。
それでも、顔つきの大人しい癌なら定期検診で早期発見も充分に可能でしょうから、やはり検診は定期的に受けるのが良いと思います。
asc | 6時間前
私も左腎盂癌を自分で見つけ手術をしてもらいました。一般的には人間ドックしかないと考えています。
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*aw*some* | 5時間前
究極的には自宅で自分で検査できる簡易設備やキットが開発されれば、かなり撲滅できると思う
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daniel | 5時間前
タバコが癌の危険因子として確定してから長いが、近年になりまたその常識が覆される論文が次々に出てきています。タバコという有害物質を取り込んでいる人の方が免疫力が上がり癌になりにくいという説さえ出てきているほどです。こうなってくるともう何が正解なのかは時代によって変わるとしか言えなくなってくる。
大切なことは、タバコや酒を飲むにしろ、何をするにしろ、全ては自己責任ということです。自分の本能がタバコが悪いと感じるなら避けるべきだし、自分の本能がタバコがないとストレスがたまって体に悪い気がすると感じるならそれを信じたらいいと思う。
自分の命に関しては誰かのせいにせず、また誰かに自分の考えを強要しない方がいいと私は思います。
miy***** | 6時間前
運だよ
毎年ヘリカルCTペットで
人間ドック受けてた嫁は37歳で腎臓癌で
亡くなった
妊娠して被曝の影響を避けるため
その年だけ、人間ドックを受けなかつた
sof***** | 4時間前
ぼくは 還暦過ぎに中途失明。まっくら中のお先真っ暗です。ある期間身近にいる家内医師ですが、、、やつあたりばかりして。いまは どうしていいのか 食事 入浴 買い物 何もできません。が 徐々に皆様の力借りて一人でも生活できるよう頑張っています。どのくらい続くかなぁ。
shi***** | 3時間前
中川先生は、放射線科医でしょ?だから、interventional radiologyの時に、下半身に大量の放射線を浴びていてもおかしくないと思う。薬品を常時扱う職業や、喫煙者以外での膀胱癌は確かに珍しい。
interventional radiologyをやらない放射線科医もいるし、中川先生がどっちかは知らないけれど。
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jun | 4時間前
ガンの定義が日本と欧米諸国とは違うようです。
欧米では近年IDLE(Indolent Lesions of Epithelial origin:上皮成分から発生する緩慢な病変)とガンとは区別し治療対象には入ないようです。
また治療を必要としない軽微な変化に対するoverdiagnosis(過剰診断)とdanger overdiagnosis(危険な過剰診断)について注目されているようです。
なぜこの重要な情報が日本に入ってこないのか違和感を感じます。
kaz***** | 6時間前
長生きしたけりゃ、人間ドックを受けないこと。手術したがりの外科医に、ガン細胞をまきちらかされるか肺炎で死ぬ。死亡診断書に肺炎の多いこと。手術後の癒着も地獄。専門家でもガンになるのだから。
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r***** | 5時間前
職場が病院だと仕事終わりとかに自分で検査出来ちゃうからいいよね笑
見つけたくないけどセルフ検診できるw
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yi3***** | 5時間前
中川先生、テレビでよく拝見してます。
同じ年の男です。
先生は、抗がん剤、放射線、手術をするんですか?
オプチーボか丸山ワクチンか?抗酸化酵素、ファイトケミカルなどは?どうなんでしょうか?
とにかく、良くなる事を祈ります。