安倍首相のイラン訪問 緊張緩和の仲介とは程遠い中身と日本側の甘い評価

2019年06月14日 | 国際紛争 国際政治 
 安倍首相のイラン訪問 緊張緩和の仲介とは程遠い中身と日本側の甘い評価
川上泰徳 | 中東ジャーナリスト
6/14(金) 15:26



安倍首相、ハメネイ師会談を「指導者:米国との対話はない」と報じるイラン英字紙

 米国とイランの緊張緩和のための仲介を目指して行われた安倍晋三首相の2日間のイラン訪問は12日、ロハニ大統領と、13日、最高指導者ハメネイ師との会談を行ったが、13日にホルムズ海峡であった日本のタンカーなど2隻への砲弾攻撃によって、国際ニュースから吹っ飛んでしまった。イランでの報道をみると、米イランの仲介という点では、安倍首相の訪問は完全に失敗だった。それにと止まらず、状況は対話とは逆方向に進んでいることを印象づける結果となった。

 安倍首相とハメネイ師の会談について、首相官邸サイトでは次のように書いている。

 イランの最高指導者である、ハメネイ師と直接お目にかかり、平和への信念を伺うことができました。これは、この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進であると評価しています。またハメネイ師からは、核兵器を製造も、保有も、使用もしない、その意図はない、するべきではないとの発言がありました。

 一方、ハメネイ師の公式ウエッブサイトから発信された情報では首相官邸の談話にはないメッセージがある。イラン各紙が伝えているハメネイ師と安倍首相との会談の様子は次の通りだ。首相官邸の簡単な談話に比べると、安倍首相との会談をほぼ網羅していると思われるので、長くなるがイランの主要メディアのファルス通信から引用しよう。

 会談の中で安倍首相はハメネイ師に「私はあなたに米国大統領のメッセージを渡します」というと、同師は「私は日本が誠実で善意に基づいていることに疑いはありません。しかしながら、あなたが米国大統領について言ったことについては、私はトランプを私がメッセージを交換するに値する人間と考えていませんし、私からはいかなる返事もありませんし、将来においても彼に返答するつもりはありません」と答えた。

 安倍首相が米国はイランが核兵器を製造することを阻止するつもりであると語ったことに対して、ハメネイ師は「私たちは核兵器に反対しています。私のファトワ(宗教見解)は、核兵器の製造を禁じています。しかし、私たちが核兵器を製造しようと考えれば、米国は何もできませんし、米国が認めなくてもそれが(製造することの)障害にあることがないことは、あなたも知るべきです」と語った。

 さらに安倍首相が「トランプ大統領はイランの体制転覆を考えているわけではありません」と語ったのに対して、ハメネイ師は「我々と米国との問題は米国がイランの体制転覆を意図しているかどうかではありません。な」ぜなら、もし、米国がそれ(イランの体制転覆)をしようとしても、彼らには達成することはできないからです。米国の歴代の大統領たちは40年間にわたってイスラム共和国を破壊しようとしてきましたが、失敗しました。トランプがイランの体制転覆を目指していないと言っているのは、嘘です。もし、彼がそうできるなら、するでしょう。しかし、彼にはそれができないのです」と述べた。

 また安倍首相が米国は核問題でイランと協議することを求めている、と語ったのに対して、ハメネイ師は「イランは米国や欧州諸国との六か国協議を5年から6年行って、合意に達しました。しかし、米国は合意を無視し、破棄しました。どのような常識感覚があれば、米国が合意したことを投げ捨てておきながら、再度、交渉をするというのでしょうか? 私たちの問題は、米国と交渉することでは決して解決しません。どんな国も圧力の下での交渉は受け入れらないでしょう」と反論した。

 安倍首相がトランプ大統領の言葉として「米国との交渉はイランの発展につながる」と語ったのに対して、ハメネイ師は「米国と交渉しなくても、制裁を受けていても、私たちは発展してきます」と答えた。

 ハメネイ師から公式に発表された安倍首相の内容を見る限り、安倍首相が提示したトランプ大統領のメッセージは、ことごとく拒否されている。米国との仲介者を演じる安倍首相にとっては取りつく島もなく、イラン訪問は完全に失敗したと評価するしかないだろう。

 日本の主要な新聞各紙の14日付朝刊は、いずれも一面で扱い、上記の首相談話をもとに記事をつくっている。朝日、読売、毎日各氏の見出しを比べてみると、次のようになる。

 ▽朝日新聞

  主見出し イラン「核製造しない」

  副見出し ハメネイ師、米との対話は否定的

 ▽読売新聞 

  主見出し ハメネイ師、米との対話拒否

  副見出し 「核兵器製造 意図ない」

 ▽毎日新聞 

  主見出し 米との対話拒否

  副見出し ハメネイ師 安倍首相と会談後

 

 3紙とも、記事の中でハメネイ師側の厳しい言葉にも触れている。ただし、朝日新聞は紙面としてはもっとも肯定的な見出しとなっている。しかし、ハメネイ師側の厳しい発表内容を見ると、「米との対話拒否」を主見出しに掲げた読売新聞や毎日新聞が、実際の会談の様子を伝える紙面づくりになっていると言わざるを得ない。

 世界が注目した安倍首相とハメネイ師との会談であるが、「地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進であると評価しています」と肯定的な評価だけで、相手の厳しい反応を一切伝えない首相官邸の発表は、日本国民をミスリードするものであろう。この会談についてのNHKのインターネットサイトの記事は「『核兵器の製造保有の意思なしとハメネイ師が発言』 安倍首相」という見出しで、「ハメネイ師は、アメリカと対立するイランの立場を説明したうえで、核兵器の製造や保有を目指す意図はないという考えを示しました」と書いている。さらに「会談後、安倍総理大臣は記者団に対し、『ハメネイ師と直接お目にかかって平和への信念をうかがうことができた。この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進であると評価している』と述べました」とする。

  NHKはハメネイ師側の言葉は何も上げずに、「ハメネイ師はアメリカと対立するイランの立場を説明」と一言で要約していることには驚かざるを得ない。中東ではイランを含め強権体制のもとで、既存のメディアは政府の意向だけを報じていることはよく知られたことだが、安倍首相・ハメネイ師会談の報道を見る限り、NHKの報道も大差ないレベルである。

 さらに朝日新聞とNHKが主見出しにもってきたイランは「核製造しない」とか「核保有意思ない」ということは、10年以上前からハメネイ師が宗教権威としてイスラムに基づくファトワ(宗教見解)を出して、繰り返し主張していることであり、ニュースでもなんでもない。今回のハメネイ師側の発表でも、「私のファトワ(宗教見解)は、核兵器の製造を禁じています」という事実を語っているだけである。

 40年前の1979年のイラン革命を率いたホメイニ師や、その後継者であるハメネイ師が宗教見解として、無差別殺戮を行う核兵器の製造や保有を禁じ、それがイランで核兵器保有を押しとどめる要因になっていることは既成の事実である。しかし、そのような宗教見解があっても、イラン国内で核兵器保有を目指す動きがあるのではないか、という疑惑があるために、核協議が続けられ、やっと合意ができたのである。その合意から米国が離脱して、軍事的な危険が高まっている時に、日本の首相がテヘランに行き、ハメネイ師と会談して、会談後に「ハメネイ師は核製造も、各保有もしないと発言しました。この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進です」と得意げに自国メディアに語るというようなおめでたい話でいいのだろうか。

 安倍首相や官邸が「平和と安定の確保の前進」をあざ笑うかのように、ホルムズ海峡で日本のタンカーなど2隻が何者かによる砲弾の攻撃を受けた。ホルムズ海峡は日本にくる原油を運ぶタンカーの8割が通過すると言われる要所で、トランプ政権が対イラン強硬策をとり、緊張が高まる中、ペルシャ湾岸のバーレーンに基地を置く米海軍第5艦隊は、海峡周辺のパトロールを強化している。攻撃について、イランは関与を否定しているが、米国のポンぺオ国務長官は「イランに攻撃の責任がある」と断言し、新たな緊張が高まる要因となっている。

 安倍首相がトランプ大統領の意を受けて、イランを訪問し、ハメネイ師と会談することは、中東でも大きく報道されたため、今回の攻撃は、両者の会談に合わせたものと考えるべきだろう。このような破壊活動について、何らかの国家的なインテリジェンスが関わっている可能性は否定できないだろうし、このような破壊活動で犯人捜しをしても、実行者がよほど杜撰でないかぎり、見つかりはしない。ただし、この事件から、日本の首相がイランの最高責任者と会うというタイミングを狙って、破壊活動を行う勢力があり、いつでも危機を生み出すことができるという中東の危うさを再認識することが必要である。

 安倍首相とハメネイ師の会談と、タンカー攻撃のどちらを一面のトップニュースであつかうかは、日本では新聞によって扱いが分かれた。一方、米国のトランプ政権と並んで対イラン強硬派のサウジアラビアの主要紙シャルクルアウサト紙の14日付の1面は煙を上げるタンカーの写真を大きく扱い、タンカー攻撃が圧倒的なトップニュースである。見出しは「海峡に対するイランによる攻撃の後で、国連が“大規模衝突”を警告」というおどろおどろしいものであり、「イランの攻撃」と決めつけている。安倍首相とハメネイ師の会談の記事は、その左隣に小さくあり、見出しは「ハメネイ師は日本の仲介を拒否」となっている。首相官邸が「地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進」と語った安倍首相のイラン訪問は、現地では危機が深刻介する様相の一つとして使われている。

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川上泰徳 中東ジャーナリスト

元新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」など取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランスとして夏・秋は中東、冬・春は日本と半々の生活。現地から見た中東情勢を執筆。著書に新刊「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)「中東の現場を歩く」(合同出版)「イスラムを生きる人びと」(岩波書店)「現地発エジプト革命」(岩波ブックレット)「イラク零年」(朝日新聞)◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com
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【南シナ海】中国船による「当て逃げ」にフィリピン激怒

2019年06月14日 | 国際紛争 国際政治 

【南シナ海】中国船による「当て逃げ」にフィリピン激怒

6/14(金) 18:12配信

ニューズウィーク日本版
【南シナ海】中国船による「当て逃げ」にフィリピン激怒

南シナ海の前哨基地を目指すフィリピンの補給線(手前)の行く手を阻む中国海警局の船(2014年、セカンド・トーマス礁) Erik De Castro-REUTERS
<22人の乗組員も見捨てて逃げた中国船の事件をきっかけに、「フィリピンの海」を荒らす中国に対する積年の恨みが燃え上がった>

フィリピン漁船が中国漁船に衝突され、沈没した事件で、フィリピン外相が憤りをぶちまけた。

6月9日の朝、南シナ海のリード堆周辺に停泊していたフィリピン漁船が中国漁船に衝突されれた。中国漁船はそのまま立ち去り、フィリピン漁船の乗組員22人が海に投げ出されたという。

たまたま近くを航行していたベトナム船に救助され全員無事だったが、AP通信によれば、この海域を管轄する米軍の報道官スティーブン・ペネトランテ中佐が「まるで当て逃げだ」と言った。

事件後、中国漁船の行動を「卑劣で糾弾に値する」と非難したフィリピンのテオドロ・ロクシン外相は6月13日、国際社会に助けを求めるべきだという内外の声に、「国際社会などくそ食らえ」とツイート。どうせ金の力が働くに決まっている。これはわれわれの戦いであり、最後はわれわれだけで戦うことになるのだ」

アナ・テレジア・リサ・ホンティベロス上院議員もロドリゴ・ドゥテルテ大統領に対して、「中国にいる大使と領事を直ちに呼び戻す」よう求めたと、マニラ・タイムズ紙は報じている。

<沿岸警備隊では生温い?>

フィリピンの首都マニラでは6月12日、漁業従事者も参加する抗議デモが行われた。参加者たちは、国の主権を守ろうと国民に呼び掛け、ドゥテルテに対して、中国の習近平国家主席に強硬な姿勢を示すよう要求したという。

南シナ海では、中国と東南アジア諸国などが領有権を争っている。中国が7つの礁を人工島に変え、軍事拠点化を進めていることを各国は恐怖の目で見つめてきたし、フィリピンとは漁業や資源探査、軍事演習などをめぐっても紛争が絶えない。

リード堆と、フィリピンが前哨基地にしているセカンド・トーマス礁ではこれまでも、中国船がフィリピンの軍艦や民間船舶を妨害してきたと、AP通信は報じている。

しかもフィリピンが西フィリピン海と呼ぶ海域については、オランダ、ハーグの仲裁裁判所が2016年に、中国ではなくフィリピンの排他的経済水域だという判決を下している。

フィリピンの検事総長だったフローリン・ヒルベイはサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の取材に対し、この判決を遵守させるためにも、フィリピン政府は強硬路線を取るべきだと述べていた。

「海軍を出せとまでは言わない。沿岸警備隊で足りるだろう」と、ヒルベイは言った。「公の場で中国に抗議するのだ。国連に訴えるのもいい」

だがフィリピン外相は、国際社会など「くそくらえ」と言うほど怒っているのだ。

(翻訳:ガリレオ)

ブレンダン・コール
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「ライダイハン像」ロンドンで11日に公開へ

2019年06月14日 | 朝鮮エベンキ族



「ライダイハン像」ロンドンで11日に公開へ

6/10(月) 15:16配信

産経新聞
「ライダイハン像」ロンドンで11日に公開へ

英国人彫刻家、レベッカ・ホーキンスさんが制作した等身大の「ライダイハンの母子像」(レベッカ・ホーキンスさん提供)

 英国の民間団体「ライダイハンのための正義」は6月11日、ロンドンで開く集会で、英国人彫刻家のレベッカ・ホーキンスさんが制作した「ライダイハン像」をお披露目する。集会にはイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の性暴力を告発して2018年ノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドさんや英議会関係者らを招く。

 ライダイハンは、ベトナム戦争に派遣された韓国軍兵士が現地の女性に性的暴行などして生まれた混血児たち。ブロンズ製の像(高さ230センチ、重さ700キロ)はライダイハンとその母親を描いたもので、翌12日から7月27日までロンドンのギャラリーで公開される。その後、ロンドン中心地の屋外に展示される予定だ。

 同団体の「国際大使」を務めるジャック・ストロー元英外相は「『ライダイハン像』は韓国政府に長期間、無視されてきたライダイハンと母親に哀悼をささげるものだ。あまりにも長期に犠牲者たちは社会から忘れ去られた。像が性暴力の恐怖とライダイハンの正義をアピールする存在になることを期待する」と話した。(岡部伸)
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平民は交通事故で逮捕され、、、、飯塚幸三は上級国民なので逮捕されず<<有罪でも執行猶予で平然とする>>

2019年06月14日 | 事件



平民は交通事故で逮捕され、、、、飯塚幸三は上級国民なので逮捕されず<<有罪でも執行猶予で平然とする>>






また…園児の列に車 守り切れず子供たちパニックに

6/13(木) 17:53配信

テレ朝 news

All Nippon NewsNetwork(ANN)
[ 前の映像 | 次の映像 ]
 兵庫県西宮市で69歳の女が運転する車が園児ら17人の列に突っ込み、2人が病院に運ばれた。警察は女を過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕している。

 駐車場のポールは車がぶつかり変形した。ぶつかったのはポールだけではなかった…。13日午前10時前、西宮市で起きた事故。現場は片側1車線ずつの道に面した歩道で、園児ら17人が歩いていた。
 事故直後の様子。車は歩道をまたぐように止まっている。園児たちは近くの公園に行く最中で、2列で歩いていたという。そこに車が。保育園は現場から70メートルほどしか離れていない。園児の前後には1人ずつ保育士が付き添っていた。しかし、突然の事態で守りきれなかったのか…。前から3列目にいた6歳の女の子は車に挟まれ、右肩の骨を折る大けがをした。
 運転をしていたのは69歳の上田理恵子容疑者。歩道の奥にある駐車場に入ろうとしたという。この時、何らかの運転ミスなどがあったのか。警察は詳しい原因を調べている。
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池袋暴走事故 元院長 踏み間違えに言及 「縁石衝突でパニックになった」

6/13(木) 22:40配信

毎日新聞
池袋暴走事故 元院長 踏み間違えに言及 「縁石衝突でパニックになった」

池袋で暴走した乗用車に母子がはねられて死亡した事故で、運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(中央)を立ち会わせて実況見分する警視庁の捜査員ら=東京都豊島区で2019年6月13日午前11時17分、佐々木順一撮影

 東京・池袋の都道で4月、暴走した乗用車に母子がはねられて死亡した事故で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)が警視庁の調べに、「(最初に)縁石と衝突して以降、パニック状態になり、アクセルとブレーキを踏み間違えた可能性も考えられる」と説明していることが13日、捜査関係者への取材で判明した。警視庁は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑での立件を視野に任意で捜査を続ける。

【写真】元院長の実況見分の様子

 警視庁は13日午前、飯塚元院長を立ち会わせ、豊島区東池袋4の事故現場で実況見分を実施した。飯塚元院長は、事故を起こした乗用車と同型の車両に乗り、捜査員の質問に答えるなどしていた。母子をはねた横断歩道付近では、つえをついて降車。軽く一礼した後、捜査員と事故当時の状況などについてやりとりを交わした。

 飯塚元院長は事故で胸を骨折して入院していたが、5月18日に退院。同庁の調べにこれまで、「アクセルが戻らなかった」「ブレーキが利かなかった」などと説明していたが、最近になって踏み間違えた可能性についても言及しているという。

 警視庁が車の安全性を検査した結果、アクセルとブレーキに異常はなかったことが既に判明している。【山本有紀、山崎征克】
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【写真】事故現場に落ちた麦わら帽子と子供用ヘルメット
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<ドラレコに音声 87歳男性「あー、どうしたんだろう」同乗の妻の問いに>





フジ三田友梨佳アナ、池袋暴走死傷事故の飯塚元院長の新たな供述に「これまで事故の原因を車のせいにしていた。遅すぎる気がする」

6/14(金) 8:32配信

スポーツ報知
フジ三田友梨佳アナ、池袋暴走死傷事故の飯塚元院長の新たな供述に「これまで事故の原因を車のせいにしていた。遅すぎる気がする」

フジ三田アナ

 13日放送のフジテレビ系「Live News α」(月~木曜・後11時40分、金曜・深夜0時10分)で東京・池袋で4月、乗用車が暴走して母子が死亡、10人が重軽傷を負った事故で、警視庁は13日、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(88)を現場に立ち会わせて実況見分したことを報じた。

【写真】事故現場を写したグーグル・ストリートビュー画像にネットが騒然…園児らが寄り添う姿

 番組では飯塚元院長は事故当初、「アクセルが戻らなくなった」などと話していたが「縁石と衝突した以降、パニック状態となり、アクセルとブレーキ踏み間違えた可能性も考えられる」と供述したと報じた。

 この新たな供述にキャスターのフジテレビ・三田友梨佳アナウンサーは「飯塚元院長は、これまで事故の原因を車のせいにしてましたが、現場検証を終えてアクセルとブレーキを踏み間違えた可能性も考えられると供述しています」とした上で「事故が起きてからおよそ2か月、遅すぎる気がしてしまいます。残されたご遺族はこの間、どんなお気持ちで過ごしてきたのでしょうか。事故を起こした飯塚元院長にはご遺族に対して誠意ある対応が求められます」とコメントしていた。
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池袋暴走事故、飯塚元院長を書類送検の方針 警視庁

2019年06月14日 | 事件

池袋暴走事故、飯塚元院長を書類送検の方針 警視庁

6/13(木) 18:31配信

朝日新聞デジタル
池袋暴走事故、飯塚元院長を書類送検の方針 警視庁

母子2人が亡くなった事故現場付近の実況見分に立ち会う飯塚幸三元院長(手前中央)は、車から降りると交差点に向かって頭を下げた=2019年6月13日午前11時16分、東京都豊島区、鬼室黎撮影

 東京・池袋で4月、車が暴走して母子が死亡、10人が負傷した事故で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(88)が「最初の接触事故の後、パニックになってアクセルとブレーキを踏み間違えた可能性もある」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は操作ミスが原因とみており、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで元院長を書類送検する方針だ。

【写真】母子2人が亡くなった献花台の近くを、飯塚幸三・元院長を乗せた車が通った

 警視庁は13日、飯塚元院長を現場に立ち会わせて実況見分した。事故車と同型車の後部座席に乗せ、約150メートルを暴走した経緯を確認。母子らがはねられた交差点では元院長が車から降り、捜査員の問いかけに答えた。元院長は両手に杖を持ち、片足を引きずるような足取りだった。

 捜査関係者によると、飯塚元院長は「ブレーキが利かなかった」などとも説明。ただ、事故車のブレーキやアクセルに異常は見つかっていないという。警視庁は証拠隠滅の恐れがないなどとして引き続き在宅で捜査を進める。

朝日新聞社
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pak***** | 4時間前

書類送検?
二人も殺しておいて、おかしいやんけ!
逮捕で実刑やろ?
アホか、クソポリ!
痴呆症なんか死ぬまで檻の中に入れとけ!

6 0

返信0
M | 2時間前

はぁ?
証拠隠滅の恐れがないから逮捕しないだと?
被害者の救護もせずに、自身の保身のために息子に連絡しSNSの削除や自宅電話の解約を指示させ、未だに自分の運転ミスを認めず車のせいにしている。
この行為を証拠隠滅と言うんじゃないの?
同様の事故を起こした年寄り達は、証拠隠滅をしようとしたり、逃亡のおそれがあったから逮捕したの?
この飯塚幸三は、そんな年寄り達と何が違うの?
答えは一つ!
上級国民だからだろ?
腐り切った警察よ!
これ以外の理由があるなら、ちゃんと言ってみろよ!

6 1

返信0
sln***** | 2時間前

母子を跳ね殺した現場で杖をつき、立ったまま一礼だと。謝罪や弔慰の欠片も感じさせない所作に憤りが沸騰。飯塚幸三よ、おまえは立ったまま糞をしてるんやな!そうか紙オムツでケツの周りが糞だらけか? 座ることすら出来ない輩がハンドル握って暴走かよ。人間性の“ひとかけ”さえ有れば、杖を離し座って合掌するわ。大津市の事故、直進車両の運転者は当たり前に慰霊の姿が撮られていた。過去の栄光が何だという。勲章貰えば“上級国民”か?古来「棺を覆いて事定まる」とある。死後初めてその人の真価が決する。飯塚幸三よ墓碑に刻め!「尊い母子の命を奪い、8人もの重軽傷者を生じながら、受勲者として最大限に優遇されました」と並び「平成末期の最悪暴走者ながら、謝罪など無用と自己弁護に明け暮れました」とさ!

6 1

返信0
swe***** | 3時間前

この歳で、嘘までついて保身をしようとか、浅まし過ぎる。くそぼけじじい。
かえって、名を汚したな。ざまぁ。
死ぬまえに、自分も身内までもを貶めて、ざまぁいい。

ホラ吹きじじい。最期に地獄みてしね。
それでも、亡くなった方々に対しての償いには全くならん。

10 0

返信0
mur***** | 4時間前

マスコミもなんでこんなに犯罪者に元院長、元院長という言葉を使うのか?考えられない。保身のためにうそばかりのクソジジイだろ。さっさと刑務所に入れてしまえ、そして獄中死が一番ふさわしいので。クソジジイの家族共も最低なクソ。

9 0

返信0
smo***** | 3時間前

公開処刑みたいにしたから同情かう作戦か?警視庁よ!自分達より偉い奴は忖度して、逮捕しないんだろ!自分の出世に響くから!ふざけんな!議員も警察も全然偉くないから!税金で飯食わせてもらってんだから!謙虚にしろ!

5 0

返信0
花ピクミン | 3時間前

もう退院してんだからさっさと逮捕しろや

足が不自由?関係ねーよ!!不自由な奴に事故起こすまで免許与えてんの誰だ?

二人殺した上にプリウスに迷惑与えたこいつは死刑にしろ

11 0

返信0
otu***** | 4時間前

逃走するおそれがないから逮捕しないこともあるとか言われてるけど、こんな年寄りで足まで怪我してたらそりゃ逃げるわけないだろ!そんな言い分通用するような事故じゃないそれほどの年寄りがわかってて運転するくらい悪質!上級国民だから逮捕しないって言えないんだろ。ここまでの事故を書類送検で片付ける気か!!罰則にならんだろ!歳いって逃げなければいいのか!これほど年齢で刑務所いれても不安あるし、上級国民だからだろ!なら医療刑務所にでもほりこみ余生悔い改めさせろ!罰ない、なかった事と同じやんけ!

8 0

返信0
z5a***** | 3時間前

自己直後に救護を第一にせず保身のために息子へ連絡したり自己現場にきても被害にあわせてしまった方へ手をあわせようとも思わない人間のクズ!
昨日の現場でも杖で場所をさして説明とかホント頭がおかしいしめちゃめちゃ腹がたつわ!

このクズにしてこの家族かと思える文書、コメント等だすことも思いつかないクズ家族!

国民のほとんどであろう人が何故逮捕されないのか?何の罪もない母子を被害にあわせておいて在宅で普通に生活させてるのか?

9 0

返信0
ogi***** | 3時間前

別にどっかの国みたいに感情論でこいつを逮捕しろって話じゃない。ニュースでも一般人の事故は即逮捕なのに何故こいつは逮捕しないのか、その違いを明確にしろや。

逃亡の危険がなかったら逮捕という拘束を受けずに書類送検済むってことなの?それは一般人も一緒だろ



執行猶予で片付けだな、、、、

女性二人ハネ殺した横須賀の90歳のばあさんも収監には身体耐えられない理由で執行猶予だった。





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社説】「ファーウェイに問題なし」韓国大統領府の拙速な判断が招いた米国の反発

2019年06月14日 | 朝鮮エベンキ族



(朝鮮日報日本語版) 【社説】「ファーウェイに問題なし」韓国大統領府の拙速な判断が招いた米国の反発

6/14(金) 10:41配信

朝鮮日報日本語版

 韓国大統領府は「ファーウェイ製の通信設備を使用しても軍事面、安全保障面に影響はない」との考えを示しているが、これに対して米国のハリス駐韓大使は本紙とのインタビューで「同意しない」と明言した。ハリス大使は「(中国)政府から統制を受けているファーウェイのような企業から通信設備を購入するのであれば、これを厳しく注視しなければならない」と指摘した。大統領府はファーウェイ製設備の購入について「企業が決めること」との考えを示したが、これについてもハリス大使は「米国はファーウェイ問題を国の安全保障という観点から取り扱っている。韓国大統領府もこの点に留意すべきだ」として大統領府に反論した。

 ハリス大使は今月7日と5日にも「サイバーセキュリティーは同盟国の通信を守る非常に重要な問題」という趣旨の発言を行った。他国に駐在する大使は駐在先の政府に圧力を感じさせないよう配慮するはずだが、ハリス大使はわずか10日ほどの間に3回も韓国大統領府の考えに反する見解を語った。「ファーウェイ製の通信設備を導入すれば、韓米間の情報共有に問題が生じる」と警告まで行った。

 「ファーウェイ製の通信設備はセキュリティー上問題」とする米国の主張については、今も世界的に大きな議論となっている。韓国大統領府は「セキュリティー上の問題はない」と主張しているが、軍事安保支援司令部(旧陸軍機務司令部。軍の情報部隊)主催の会議では複数の専門家から「極秘の経路(バックドア)を通じて通信網にアクセスしているかどうかは、メーカー以外は確認が不可能だ」「国の基幹通信網への合法的な侵入も可能だ」などの指摘が相次いだ。米国の同盟国などは「セキュリティー上の懸念が解消されていない」としてファーウェイ製の通信設備導入に慎重だ。

 韓国政府は核ミサイルから自国を守る米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について、「環境影響評価に時間がかかる」との理由で正式配備を2年以上にわたり先送りしてきた。中国の反発を恐れているからだ。その韓国政府が米国の反ファーウェイの要請については「ファーウェイを使っても問題ない」と明確な立場を示した。これでは米国から「韓国はどこの同盟国なのか」という声が出るのも当然ではないか。
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文在寅大統領の「外交崩壊」がG20で露見する、元駐韓大使が解説

6/14(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン
文在寅大統領の「外交崩壊」がG20で露見する、元駐韓大使が解説

Photo:EPA=JIJI

● 文政権の外交特色は “何もしない”

 文在寅大統領の外交の特色は何かといえば、「北朝鮮は非核化する、制裁を解除すべきである」というだけで、国益のために何も動かないことである。

 日本との関係では、徴用工の問題で解決策を示さず、慰安婦の問題では過去の合意を反故にする、レーダー照射の問題では自らの誤りを認めず、証拠を改ざんしていい加減な言い訳に終始するだけだ。その結果は、韓国のマスコミも懸念するように、6月28、29日に大阪で開催されるG20の会合で、ホスト国の首脳である安倍総理と会談できない唯一の首脳となることではないか。

 米中の首脳とは何とか会談はするようだが、それも文大統領から頼み込んでやっと実現するもので、そこでは米中の対立案件であるファーウェイへの対応を巡って、板挟みになる見込みだ。しかし、政府としてこれまで何ら指針を示さず、企業の判断に任せるとの姿勢をとっている。どの国も一応の対応の指針を示しているが、何もしないのは韓国だけであり、米中の貿易戦争、覇権争いの中で、中立ではいられない現実を理解していない。

 G20の各国首脳が集まる中で、北朝鮮の非核化をいかに実現するか、国際的な協調体制を強化するよい機会だ。しかし、ベトナムで米朝首脳会談が物別れに終わった後も、北朝鮮に対する見方を変えていない唯一の首脳である文在寅大統領は、各国首脳から相手にしてもらえないのではないか。

 文在寅大統領は昨年アルゼンチン、ブエノスアイレスで開催されたG20でも一人でいることが目立っていたが、今回は孤立している現状を一層際立たせるG20となりそうだ。

● 文大統領と会談しても成果は得られないだろう

 文大統領は就任2年の節目で行われたKBSとのインタビューで、「安倍総理との会談ができるならいいことだろう」と述べた。本心で安倍総理と会いたいと考えていたかは知りようがないが、少なくとも日韓関係を史上最悪といわれるほど悪化させたまま放置していることに対する、国内の批判は意識していたであろう。ただ、日本の政府関係者からの、「首脳会談実現のためには徴用工問題で韓国政府の誠意ある対応が必要」との指摘に対しては無視したままだ。文政権は言葉では調子のいいことを言うが、行動が伴わないことが度々ある。これもそのケースだろう。

 日韓関係が最悪といわれる今の状況は、首脳会談を行い、関係改善に努めることが望ましいのは当然だ。しかし、G20という会談の好機であっても、日韓首脳会談は実現しないだろう。

 6月5日には日韓の局長会談があった。日韓間には多くの問題が横たわっている。両国が本気で首脳会談をやろうとするならば、そこで首脳会談を前提として相当突っ込んだ議論がなされて当然だが、その様子は全く見られない。これでは双方とも首脳会談に向けて本格的に取り組んでいるとはいえない。

 そもそも、今の文在寅大統領の下では、会談を行っても成果は得られないだろう。文大統領が韓国の国益を考え、政治を行っているならば、日本の国益と調整することも可能である。しかし文大統領は、どう贔屓目に見ても韓国の置かれた現状を分析し、国益を判断しているようには思えない。

 韓国の主要紙が、今の文在寅政権に最も失望しているのは、故金大中元大統領と故盧武鉉元大統領だろうという解説を載せていたのは興味深かった。それは、両元大統領は進歩系(日本に対して歴史認識など厳しい態度を取る左翼系)の大統領だったが、少なくとも現実は直視し、それに応じて政治をしていた。だが、文大統領は現実を無視した政策をとっているからだと指摘している。現に文政権は、文大統領の側近である左翼系の政治活動家が、自分たちにとって都合のいい社会を作ろうしているだけだという指摘は多い。だとすると、日韓でいくら話し合っても成果は見通せない。

● 国内からも非難が上がる文政権の稚拙外交

 日韓関係がこれほど悪くなった背景には、文大統領の対日認識が進歩系の識者の中でも極端にずれていることがある。中央日報によれば、文氏は大統領就任2年を迎え、進歩系の元老を大統領府に招き意見を聞く機会を設けたが、席上、元老の多くは日韓関係を見直すべきとの意見だった。しかし文大統領は、「日本は慰安婦や徴用工の問題を政治的に利用している」と述べ、責任を日本に押し付けた。これに対して元老の一人は、歴史問題を政治利用しているのは文大統領の方だと新聞に語ったようだ。

 また、新年の記者会見では、日本は歴史問題について「もっと謙虚な姿勢を示すべきだ」と述べた由である。しかし、この発言は「歴史問題の認識は自分が常に正しく、日本が誤っているから、日本は韓国の認識を取り入れるべきだ」と言っているに等しい。

 文在寅大統領の対日認識がこれほど一方的であれば、日本の立場との接点などありようがない。


最近、外交部の第一次官に日本通のエースといわれる趙世暎(チョウ・セヨン)氏が任命された。通常であれば、これは文在寅大統領が日韓関係を立て直そうとした人事として評価すべきである。しかし、文大統領の対日認識では日韓関係修復の意図は感じられない。疑り深い見方かもしれないが、自分は我が道を行くので、日本が勝手なことをしないよう、日本をコントロールしろという人事としか思えない。

 日本が日韓首脳会談に応じないだろうという見通しは韓国でも報じられており、G20に参加する主要国の中で、ホストである安倍総理と会談しない唯一の首脳になるのではないかとの懸念が高まっている。そうした対応をとる安倍総理に対する批判もあるが、それ以上にここまで日韓関係を悪化させた文大統領に対する批判が高まっている。

 それと合わせ、韓国の外交が各国から疎外され、文在寅大統領の外交が無能なのではないか、外交部が今の長官の下で機能していないのではないかという現実にも注目が集まっている。韓国の大統領府も国内の外交批判に神経質になっている。

● トランプ大統領に訪韓を懇願したことを暴露され怒る文大統領

 トランプ大統領はG20後に韓国を訪問することになったが、そこに至る経緯が韓国では大騒動になっている。

 在米大使館の外交官が、米韓首脳の電話会談の内容を高校の先輩である野党議員に漏らしたのだ。これを受け、姜孝祥(カン・ヒョウサン)議員は9日記者会見し、文大統領が5月7日の電話会談で、トランプ大統領に5月の訪日後に「少しの間でも韓国を訪問してほしい」と要請したことを公表した。

 これに対し大統領府は一旦「事実と異なる」と否定して「無責任な主張に姜氏は責任を負うべきだ」と非難。外交部と与党は「韓米関係の危機をもたらした」として姜議員の辞職を求め刑事告発した。また、当の外交官は懲戒免職になっている。政権内の混乱が読み取れ、事実をむしろ政権側が暴露しているようなものである。

 いずれにせよ、「大統領の訪韓おねだり」が重大な外交機密に該当するとも思えないが、大統領の面目が失われたということであり、これが大問題に発展するのが文在寅外交の置かれた現状である。


韓国は米国にとって重要な同盟国である。同盟関係が強固であれば、懇願されなくてもトランプ大統領は訪韓するだろう。しかし、トランプ大統領は日米首脳会談で「文在寅大統領は米日韓連携に何故そのように消極的なのか」と安倍総理に聞いたという。これは日米側にはっきりと同調しない韓国の態度に、不満を示したものだろう。

 G20後のトランプ大統領の訪韓では、米韓同盟の強化の問題や、日米韓の関係が話し合われるだろうが、それに加えファーウェイの問題も対応は難しい。今、韓国のIT企業各社は米中双方から、「こちらの味方になれ」と強要されている。韓国の企業にとっては死活問題だが、韓国政府は各企業に「自分で判断しろ」という方針だ。

 この問題は、トランプ大統領が火付け役だ。文大統領との会談で米国側に付くよう強い要請があるのは必定だが、韓国政府の対応は遅れており、外交部にやっと小規模な対策班を設けたばかりである。片方の肩を持つことで他方を敵に回したくないのが本音だろうが、米中が覇権争いをしている中でそれは許されない。きちんと国益を考えて決断するのが大統領の役割だ。しかし、文大統領にはその決断をするつもりがないのだろうか、ただただ、逃げ回っているばかりである。

● 習近平国家主席の訪韓はなくなった

 文政権は、中国の習近平主席にもG20前後の訪韓を要請していた模様だ。しかし訪韓は実現せず、G20での会合となった。ここでもファーウェイへの対応が問題となろう。

 どうするのか。米中双方にいい顔をするのだろうか。2月の米朝首脳会談が物別れに終わった理由の一つが、文大統領が双方に調子のいいことを言い、ミスリードしたからだろう。だから、会談後米朝双方から仲介役失格の烙印が押されたのである。米中の間でも同じことを繰り返すのだろうか。それではますます信頼を損なうばかりだ。

 中国との会談は、北朝鮮を巡り中国の協力を得るためだろう。しかし、今の中国は米国との貿易戦争に追われ北朝鮮に構っている余裕はない。金正恩委員長がロシアのプーチン大統領を訪ねたのは、中国があてにならないからだ。文大統領は中国を味方にするために、ファーウェイ問題で中国寄りの対応をしようとすれば、それはあまりにも東アジアの地政学を理解していないと言わざるを得ない。これまで、韓国に協力してきた国は米日であり、中国ではない。


韓国外交部は、かつては日本と中国を他のアジア諸国と切り離して、東北アジア局として対応していたが、日本は他のアジア局に組み入れ、中国だけ独立の局としている。ここまで重視してきた中国ではあるが、中国の方は韓国を重要視しているようにはとても思えない。片思い外交の典型だろう。

● 文政権の外交失敗の根本原因は北朝鮮への過度な融和姿勢

 結論的にいって、韓国の外交は理念に立脚するでもなく、国益に対する明確なビジョンもなく、ただ迷走するか、何もしないかだけである。あるのは北朝鮮と融和を図りたいとの一点のみ。このために、韓国の外交は各国から批判され無視されている。 

 故盧武鉉元大統領も北朝鮮との融和には熱心であったが、中東に韓国軍を派遣するなど、国際協力にも務めた。しかし、文大統領は北朝鮮との融和を図りたいがために米国との同盟関係を危うくし、中ロに寄り添い、日本とは歴史問題で決定的に対立している。

 北朝鮮の非核化は、世界の課題だ。そのため、遠く英仏も北朝鮮の瀬取り対策に協力している。しかし、韓国にはこれを見逃がそうとしている疑いがある。フランスのマクロン大統領との会談では、文大統領は北朝鮮の非核化意思を誇張し、制裁の緩和への協力を求めた。

 世界共通の課題に、当事国である韓国が背を向けるのであれば、韓国の外交の出番はない。今回のG20は、このことを実証することになるだろう。

 (元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)











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