豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスーパーは個数制限で買い占め防止
3/10(火) 18:13配信
ニューズウィーク日本版
豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスーパーは個数制限で買い占め防止
トイレットペーパーをめぐって乱闘......
──使いかけソープの転売、病院の消毒液盗難も......
日本では特売品が「お一人様○個限り」と制限されるのは以前からめずらしいことではないが、欧米ではあまり一般的ではない。しかし、新型コロナウィルスが原因のパニック買い防止のために、大手スーパーが続々と購買個数制限を導入している。
●動画:トイレットペーパーをめぐって乱闘やもめ事
まるで戦時中のようだが、必需品をより多くの人々に届けるための工夫を世間は概ね歓迎しているようだ。
■ 使いかけソープの転売、病院の消毒液盗難も
新型コロナウィルスへの恐怖からトイレットペーパーやハンドサニタイザーなどの買い占めが続くイギリスでは、テスコ、ウェイトローズ、ブーツなどの大手小売業者が次々に配給制を導入している。イギリス小売最大手のテスコでは現在、店舗・オンラインショップの両方で、トイレットペーパー、ハンドサニタイザー、パスタ、ロングライフミルク、水、缶詰、子供用の医薬品の一部などの購入が1人5つまでに制限されている。
イギリスでは政府のキャンペーンにより、便乗値上げは罰金刑の可能性があるにもかかわらず、ハンドソープやサニタイザーがeBayにて定価の50倍もの値段で流通している場合もあるようだ。インディペンデントによると、なんと使いかけの液体ソープにまで入札する人もいたり、また、イギリスの病院では、病室や受付の壁に備え付けてある消毒液を盗む人もいるようだ。
■ 過去には砂糖や赤ちゃん用粉ミルクも対象に
ドイツのディスカウントストア大手アルディ・ノードでは、9日からハンドサニタイザー、除菌スプレー、除菌ティッシュなどを今週の特売品として売り出しているが、状況を鑑みて購入は1人につき3つまでに制限される。商品は店舗限定で、オンラインでは購入できないようだ。
同社のスポークスマンによると、今回の売り出しはとくにコロナ対策というわけではなく、毎年の春の旅行シーズン前の定番企画のようだ。だが、週替わりの限定商品のため、個数制限をすることによってより多くの顧客に行きわたるよう配慮したという。
ドイツでは2011年、ポーランド国境付近で、砂糖の値段がポーランドより半額近く安いドイツのスーパーで砂糖が買い占められたときや、2015年に中国人観光客による赤ちゃん用粉ミルクの買い占めが起こったときに、一人当たりの購入限度を設定する配給制がとられたことがある。粉ミルクは今回も、本当に必要とする人々の手に商品が届くよう配給制をとる店はあるようだ。
■ オーストラリアではトイレットペーパーを巡って乱闘、警察沙汰に
トイレットペーパーの買い占めは南半球でも起こっている。オーストラリアのシドニーで7日、大手スーパーのウールワースでトイレットペーパーをめぐる乱闘が起き、23歳と60歳の母娘が起訴された。
SNSでシェアされたビデオによると、カートいっぱいにトイレットペーパーを積んだ女性2人が、別の女性に掴みかかり、怒鳴りつけている。この女性はトイレットペーパーを1パックだけ譲ってほしいと頼み、それを2人組が拒絶したことが原因のようだ。同スーパーでは先週初め、パニック買い対策として、1人4パックまでとトイレットペーパーの購入を制限したところだった。同様の小競り合いは他のスーパーでも起きているようだ。
オーストラリアの再生トイレットペーパー生産業者フー・ギブズ・ア・クラップでは、先週4 日に在庫が底をついたという。同社の売り上げは買い占め騒動で8倍も上がった。同社は声明にて、「みなさんの優しさ、共感、冷静を呼び起こすのに私たちにできることは何か、思考を巡らしています。もし余分なトイレットペーパーがあったら、近所の人々が必要でないか確認してください。お気に入りの中華料理店に足を運んでサポートしてあげてください。仔犬のビデオを見てください」と、顧客に落ち着くよう呼びかけている。
モーゲンスタン陽子
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