新型コロナ「不都合な真実」をあなたは受け入れられるか

2020年03月21日 | 人類滅亡



新型コロナ「不都合な真実」をあなたは受け入れられるか

3/17(火) 13:36配信

ニューズウィーク日本版
新型コロナ「不都合な真実」をあなたは受け入れられるか

新型 コロナウイルスへの対抗策について説明するジョンソン英首相(3月16日) Richard Pohle/REUTERS

[ロンドン発]新型コロナウイルスの大流行が中国から欧州に移ったことを受け、ボリス・ジョンソン英首相は毎日記者会見を開くことになり、3月16日、いつものようにイングランド主席医務官と政府首席科学顧問と並んで会見した。

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ジョンソン首相は「感染拡大のスピードが上昇し始めた。5日ごとに倍になっている」として(1)1人でも高熱か長く続く咳の症状があれば2週間、家族全員が自宅に留まる(2)市民全員に自宅勤務と、パブ・クラブ・レストラン・映画館・劇場を避けることを呼びかけた。

妊婦・70歳以上・基礎疾患のある人に特に注意を促した。今後数日中にリスクグループは12週間自宅に留まることを求められる。不要不急な高齢者入所施設への訪問は避けることも求めているが、休校措置はまだ含まれていない。

英保健・社会福祉省によると16日時点でPCR検査の陽性者は1543人で、うち55人が死亡。英国のトレンドは、集中治療室(ICU)と人工呼吸器不足で死者が2158人に達したイタリアの3週遅れ。いつも目一杯の英国民医療サービス(NHS)が持ちこたえられるか心配になる。

<「集団免疫」の真実>

前回ジョンソン首相は「多くの家族が愛する人を失うことになる」と率直に語りかけた。封じ込めが破綻した今、抗体のできた人が盾となって流行を終息させる「集団免疫」獲得の方針を明らかにしたため、英免疫学会などから「シミュレーションモデルを示せ」と厳しく批判された。

そのため今回は一転「生命を救い、人々を守る」決意を表明した。

集団免疫宣言には筆者も驚いたが、戦いが始まる前にベースラインを示しておくことは不可欠だ。最初に楽観的な見通しを示すより、国民に正直に「不都合な真実」を知らせておかなければならない。これは未知のウイルスと人類の英知と人道主義をかけた“戦争“になるからだ。

英政府の行動計画は英インペリアル・カレッジ・ロンドンMRCセンターの感染症数理モデルに基づく。同センターは1人の感染者から生じうる二次感染者数を示す基本再生産数を2.6と推定する。集団免疫獲得のために必要な免疫保有者の割合を集団免疫閾(しきい)値と言う。

(1- 1/基本再生産数)×100の簡単な式で計算できるので2.6を入れて計算すると閾値は61.5%という答えが出てくる。同センターは致死率を1%弱としているので。どれだけ犠牲者が出るか誰でも試算できる。

6644万人(英国の人口)×61.5%(閾値)×1%弱(致死率)=約40万人が集団免疫を獲得するまでに亡くなる。これが新型コロナウイルスを巡る「不都合な真実」だ。医師や統計学者なら誰でも知っている事実で、一般市民に隠す方がおかしい。


<高齢者を見捨てる政策?>

前回の記者会見では削減率は次のように説明された。それでも相当な数の高齢者らが亡くなることは明白だ。

(1)熱や咳の症状がある人は1週間、自宅隔離→ピークを20~25%削減
(2)症状がある人の家族全員が14日間自宅に留まる自宅検疫→ピークを25%削減
(3)新型コロナウイルスに脆弱な高齢者をケア→死亡率を20~30%削減

日本ほどではないにせよ、英国でも高齢化が進んでおり、5人に1人が65歳以上。シルバーデモクラシーは欧州連合(EU)離脱でも大きな原動力となっており、集団免疫獲得を目指すというのは高齢者を見捨てることかという反発を招いても何の不思議もない。

<3つのコロナ関連死>

クリス・ホウィッティ主席医務官は記者会見で3つの死を考える必要があると問いかけた。新型コロナウイルス肺炎による直接的な死、ICUや人工呼吸器などNHSの医療資源が枯渇することによる間接的な死、隔離など公衆衛生的介入による負の影響──だ。

インペリアル・カレッジ・ロンドンMRCセンターは世界中に広がった批判に応えるため、英国や他の国の政策のもとになっている感染症数理モデルを公開した。

(1)症例の自宅隔離。咳または発熱がある人は7日間自宅に留まる
(2)自宅検疫。症状がある人の家族全員が14日間自宅に留まる
(3)社会的距離。世帯・学校・職場の外で接触を4分の3減らす
(4)高齢者の社会的距離。深刻な疾病リスクが最も高い70歳以上の人々のみ社会から距離を置く
(5)学校および大学の閉鎖

こうした公衆衛生的介入によって2つのシナリオが想定されるという。

【シナリオ1】介入は感染拡大を遅らせるが、感染を完全には妨げない。このためハイリスクグループを保護しながら医療への需要を減らす。春から夏にかけての3~4カ月の間に流行のピークが訪れる。

最適な政策(自宅隔離、自宅検疫、高齢者の社会的距離の組み合わせ)によりピーク時の医療需要が3分の2減少し、死亡が半減する可能性がある。

しかし流行は依然として26万人の死をもたらす可能性が高い。医療制度、特にICUを圧倒する恐れがある。

【シナリオ2】より集中的な介入は感染を止め、症例数を低レベルに減らすことができる。ただ介入が緩和されると症例数は増加すると予測される。症例数は減少するが介入し続けない限り、冬に流行するリスクがある。

全人口の社会的距離、症例の自宅隔離、家族の自宅検疫(および学校と大学の閉鎖の可能性)の組み合わせが必要になる可能性が高い。

対策を一時的に緩和することが可能かもしれないが、症例数が増加した場合は迅速に再導入する必要がある。今後数週間の中国や韓国の状況を注視する必要がある。



<東京五輪・パラリンピックは無理>

インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授は「世界は何世代にもわたる中で最も深刻な公衆衛生上の危機に直面している。おそらくワクチンが利用できるようになるまで特に大規模な社会的距離を何カ月もの間、設置する必要があるだろう。国々や世界への影響は深刻だ」と語る。

どこかの国の研究者が世界の先陣を切ってワクチンの開発に成功したとしても、それが日本に優先して配分される保証は何一つない。

私たちは生物学的な死を免れることができても経済的な死、社会的な死、そして人道的な死と闘わなければならない。これでも、まだ東京五輪・パラリンピックの開催が可能だと考えているとしたら、どうかしている。政治指導者にはもっと過酷な選択がこれから待ち受けている。

余談になるが筆者は「ドリトル先生航海記」や人形劇「サンダーバード」を観て育った世代。今も英国の子供たちはSFテレビドラマ「ドクター・フー」が大好きだ。ニュートンやダーウィンを生んだ科学の祖国・英国の決断を見守りたい。

木村正人(在ロンドン国際ジャーナリスト)



uya***** | 3日前

先月までは日本批難をしていた国々がすでに立場が逆転しているのに驚きです
日本ではスポーツ大会やコンサート自粛などに不満を言う一部の人もいますが欧州やアメリカの対策に比較しても外出禁止令が出てる訳でもなく現状でもかなり緩い事を自覚した方が良いと思います

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mol***** | 3日前

欧米の自治体には、危機的なパンデミック時にワクチンや薬を若い世代から優先的に供給するという取り決めを数年前に下したところがある。遅まきながら日本も今のうちにそういう決断をしておかなければならない事態となった。優先順位をどうするかは議論して決めないといけないが、本末転倒な結論になりかねない事を憂う。

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ねこまんま |3日前

確か以前の新型インフルエンザ特措法制定時に、議論されてます。
記憶間違いがなければ、まず医療関係者、および統括する機関、人だったかな。
そのあとに市民だったはずです。

実際には知事の専決事項だったかな。運用は厚労省の指示になるはずです。
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oys***** |2日前

日本って「一人が落命するのも許せないが、みんなが落命するなら仕方ない」みたいな精神性があるように思うんだよなぁ。

合理的な対策が貫徹できるかどうか。
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sig***** |2日前

少し古いが、厚労省のパンデミック発生時のワクチンの接種順位の考え方を見ると、医療従事者、社会機能維持者(警官とか?)、国家公務員、地方公務員の優先順位が高い。

社会機能維持者の中にはインフラ系企業の従業員も含まれる可能性が読み取れる資料もある。

それ以外の国民は妊婦、基礎疾患のある者、幼児の優先順位が高く65歳以上の高齢者は低く、健常成人は最下位。

国家を維持していくには概ね理にかなっている順位付けだと思ったが、基礎疾患のある者のうち65歳以上の高齢者の順位はもっと低くても良いと思った(高齢者の優先順位を高くするケースも想定されているが)。

ワクチンが潤沢にあるなら別だが未来ある若者の命を優先するべきだろう(どんな禄でもない若者であってもだ)。

かくいう自分はほどなく65歳の高齢者だ。
みんなはどう思う?
パンデミック ワクチン 優先順位 で検索
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for***** |2日前

いざそうなれば
あーだこーだ理由つけて
年寄りからになるかもね

長年
与党は年寄りの票で成り立ってますからね
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kok***** |2日前

優先順位なんて言ったら優先されるのは高齢者ですよ。
日本はそういう国。
その方が選挙で票とれるんだから。
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has****** |3日前

>優先順位をどうするか・・・

いわば「社会的トリアージ」と言うべきかな。
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kan***** |3日前

SARSは毒性が猛烈だったからそれで良い、しかしコロナウイルスは若く健康体なら自然治癒するから、その決断は時期尚早でしょ?
私はイタリアは死なせずに済む老齢者を進んで死なせてるように思える。
人が死ぬ判断を下した政治家の自画自賛は醜い、特に隣国が検査体制の右往左往で80人も死者を出してるのにドライブスルー検査を自画自賛してる姿はヘドが出る。
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mol***** |1日前

> もしくは若者も多数亡くなるという妄想を持った変人さんでしょうか?

優先順位は議論する必要がある、とちゃんと言っているのですがね。今後ウィルスは変質する可能性も指摘されているので、状況に応じて他の人が言っている様な「適切な」優先順位になるべきでしょうな。間違っても票田の大きさで決められるのではなくてね。
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orz |3日前

若い人間からすれば、高齢者の辺りから使って貰いたいかな。

若い人はあまり気にしてませんし。
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Kake jiji |3日前

アビガンがあるので大丈夫です。
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hi****** | 3日前

蔓延が避けられない現状では、誰が罹っているかよりも誰もが罹患していると想定して全国民が自制的に過ごしながらも重症者を手厚く治療していく方針は、感染ピークをゆるやかにシフトさせる日本のやり方と似ていると思います。
全員を救う事が出来ないのなら犠牲を最少に抑えるという合理性は、一見理不尽で冷たく見えるものですね。

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you***** | 3日前

数学的な確率で考えて、戦略のリスクを見積もる。
本来ならば、WHOが率先してやればよかったのに。
いつも変なことを言って、今では無意味な検査をしろと喚くバカの写真がページの横に見える。
EU離脱もそうだが、この状況下で戦略をオープンにして選択する英国の姿勢は潔いと思う。日本だと、インフルエンザを元に、致死率を0.02%と見積もれるが、殆どは70歳以上の高齢者。イギリスよりも高齢者には残酷な数字が出そう。

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swn***** |3日前

致死率が0.02ってどの数字を見たらそうなるんだよ
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ペジェグリーノ |3日前

ジョンソンがこの演説で「季節性インフルエンザと比べる人がいるがそれは誤り、免疫を誰も持たずさらに危険」って言ってるよ
その0.02%ってどこから持ってきたの?
日本はろくに検査してないんだからマスコミが発表する感染者数も死亡者数も全くあてにもならないだろ
もはや消えた年金問題みたいになってると思うわ、放置してたらどんどん事態が悪化して実態を把握して発表すると国民がパニックになるだろうと官僚が真っ先にパニックなってるんじゃね
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toto3 |3日前

>WHOが率先してやればよかったのに。

バカか。無知すぎる。率先してやっているのがWHO.
知ったかするなよ。
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zazaza | 3日前

仮に日本がコロナをどうにかしたとしても、世界のどこかで流行してたら世界中から人を集めるオリンピックなんて開催不可能だろうね。
延期が妥当だろう。

世界中で大流行してどこの国でも感染リスクは同じような状態になるか、それこそイギリスじゃないが多くの人が罹患し集団免疫を獲得すれば話は別かもしれないが。

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okk***** | 3日前

さらに言えば、この中には経済の圧迫による失業、貧困などによる餓死、自殺等も加味して行かなければいけない。感染を抑制するために、経済活動を抑制していくと上記の死者が増えていく。どこら辺りで釣り合いを取るか。施政者のさじ加減による。戦争に勝利するためには、指揮官はどれだけ効率よく自軍の兵士を死なせるか、というのは事実だろう。全く、傷つかないでこの戦いに勝利することはできないのだから。

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osa***** | 3日前

若い世代に死亡者が少ないといってもゼロではなく、一旦感染すれば死のリスクがあることを認識したほうがよい。つまり程度の差はあるが、治療薬、ワクチンが発見されていない現在、誰もが死と隣り合わせだということ。
米国や欧州を中心に外出禁止令が出ている国が多いが、感染が終息に向かう兆しはない。
一方日本では日々の感染者が二桁程度で欧米に比較すれば少ないと政府にも国民にも何となく安堵感があるように見えるが、人の移動がそれほど規制されていない現在、一旦感染が急拡大すれば欧米と同様になることは十分ありうる。
国民の命と健康を最優先に考えるならばオリンピック開催などと言っている場合ではないことは明らかだ。

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soe***** | 3日前

今のところ日本はシナリオ1に近いやり方で、状況も何とか踏みとどまっていると思います。何とか自宅隔離にまで進まないで抑えて欲しいものです。木村氏の記事は納得できるものばかりですが、「新型コロナウイルス感染拡大にも慌てないフランスの手腕」という記事を書いたフランス在住の記者さんは、今どうお考えでしょうか……。

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kam***** | 3日前

決断することが先進国のリーダーには必要で。その結果がどんなに悲惨な事になっても受け入れるしかない。
本当に最悪なのは決断すらできずにズルズルとごまかしことで、これが最初の武漢市の悲劇だった。
政府の特措法改正で緊急事態宣言の素地を築いたことすら批判する輩がいるが、それは何もしないという最悪を選べというのと等しい。

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hid***** | 3日前

原始時代だったらそうだろう。医療崩壊しないように感染を抑えながら早ければ来年の冬には危ない年寄りにワクチンを展開できるんじゃないか。科学の進歩、人間の英知が救ってくれることを期待します。

コメント
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