GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

試写会「天地明察」

2012年09月07日 | Weblog

               

 碁方の安井家の安井算哲が、1685年、国産初の暦を作り、初代幕府天文方に任ぜられるまでを描いた映画が、「天地明察」だ。仇討ちやお家騒動、座頭市や用心棒の映画のように血なまぐさい時代劇ではなく、「武士の家計簿」のそろばん侍や碁方や天文方に焦点を当てた時代劇も本当に楽しませてくれる。時代劇というだけで観たくなるのは西部劇と同じだ。腰に差した刀、腰に下げた拳銃が醸し出す、死が身近にあるという一種の緊張感が心を捉えるのだろう。しかし、この「天地明察」にも、ある緊張感がみなぎっていた。それは間違ったものを正したいという安井算哲の強い意志と云えるだろう。862年(平安時代)に唐よりもたらされた宣明暦を用いていたが、800年間で1日以上の誤差が生じていた。失敗や挫折を経験しながらも自分が新たに考えた日本独自の暦が間違っていたら命をかけるという展開に今までにない緊張感が溢れていた。しかし、その道は決して容易ではなかった…    

 この映画が共感を呼ぶのは様々な人との出会いが算哲を支え、まるで導かれるが如く天命に気づいていくストーリーだろう。まさしく私が何度も語ってきたメンターとの出会いを大切にし、彼等の願いと尊敬の念を忘れることなく、自らの知識の欠如を自覚し学び続けた姿に、すべての人の胸を熱くするに違いない。

               

 「神様のカルテ」の宮崎あおいよりもこの映画のあおいの方が共感が持てる。どこか「篤姫」を彷彿させるものを感じるからだ。あのペコちゃんのような笑顔では悪役の依頼はないだろう。「神様のカルテ」の妻はどこか人間味が欠けていたが、この映画では、まさにはまり役と云えるだろう。

               

 久しぶりに家族連れでも十分楽しめる時代劇映画ではないだろうか。「るろうに剣心」のような血なまぐさい映画ではなく、今後もこのような人物を描いた時代劇作品を期待したい。