奈良くるみの3回戦はかつてのナンバーワン、今大会第9シードのエレナ・ヤンコビッチ。この日も奈良選手は立ち上がりから2回戦と同様攻撃的なテニスを見せてくれた。
第1セットの第3ゲームを先にブレーク。第4ゲームにすぐブレークバックされたが、奈良は冷静に持久戦に持ち込んで焦りを引き出した。本当に惜しかったのは3-3からの第7ゲーム。15-30から反撃して2本のブレークポイントを握ったが攻めきれなかった。
それでもヤッコビッチ相手に巧みなドロップショットを見せるなど奈良の攻撃的テニスに何度も拍手を送った。簡単なアンフォーストエラーが少ないのも見ていてうれしい。フットワークを駆使しながら取りまくる奈良、ループを混ぜて緩急を付けながらガンガン打ち込んでいく攻撃的テニスに観客はきっと魅了されたに違いない。2回戦を見ても思ったが、相手の嫌がることを平気でやり抜いていくタフさは圭のテニスと同質のものを感じた。残念ながら第10ゲームをブレークされ第一セットを失った。
第2セットに入っても奈良の攻撃的テニスは変わらなかった。ヤンコビッチは自分のペースをつかめず、終始いら立ちを隠せず、長いラリーに入れば防戦一方となった。第1ゲームから奈良は小気味のいいブレークをして順調なスタートを切った。TV画面を見ながら奈良の小気味のいいテニスに何度も拍手を送った。ヤンコビッチから2ブレークを取り、2-5と追い詰めた。しかし、さすがにもと世界No.1、ブレークされてもブレークする力を持っていた。ここからヤンコビッチのなりふり構わない攻撃が始まった。奈良にはエースが取れるようなサーブ力のない。これは日本の全選手の欠点でもある。ブレークしてもサービスをキープできない。伊達選手も圭も同じだ。
第10ゲームにセットポイントがあったが、ここを叩かれ追いつかれた。第12ゲームをブレークされ、タイブレークにもつれ込んだ。タイブレークではサーブ力の差が明確に出る。テニスでは勝っていたのにサーブと経験の差で負けてしまったように見えた。奈良選手は間違いなく自分のテニスに自信をつけたはずだ。
全国中学生テニス選手権大会女子シングルス部門で優勝、全日本ジュニアテニス選手権18歳以下シングルで優勝など輝かしい経歴を持っている奈良くるみ。この全米オープンで元世界No.1のヤンコビッチに大きな冷や汗(4回のブレーク&3度も決めたドロップショット)をかかせた経験は、彼女を大きく飛躍させるだろう。
くるみちゃん、オイラもファンになったよ!