GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「人生初の月例参加」

2012年02月27日 | Weblog
 

月例とは月1回、ゴルフ場で行うメンバーだけの競技大会の事。年12回行われ、12月には優勝者だけが集まって、その年のグランドチャンピオンを決める大会がある。この優勝が、どのゴルフ場でも最も権勢がある。その他、ゴルフ場によって初夢杯とか開場記念杯とかサマーカップ、シルバー杯、忘年会杯など様々な呼び名で競技が会員中心に行われている。

 私は平成2年10月の途中入社だが、タイガーズGCは平成7年6月4日に開場した。最初の所属は阪○電○の不動産事業部ビル経営部で、その頃毎年2回ほどゴルフコンペが行われていた。当初、タイガースGCはなかったので有馬カントリー倶楽部で開催されていた。ビル経営部で確か2回、タイガースGCが開場してからは不動産レジャー事業部で1回優勝した。親父がまだ元気な頃は商店街も元気があり、毎月コンペを開催していた。そこでは5回以上優勝して、なんとハンデが2になってしまった記憶がある。現在私はタイガースGCではハンデ19.7のBクラス(ハンデ18以下がクラス)。クラブハウスの2Fの壁には、ハンデごとに全メンバーの名札が飾られている。名誉会員の真弓明信元阪神タイガース監督はハンデ1の欄にある。とにかく入社以来、日曜日に休んでゴルフした記憶など一度もない。退職が決まったので、2回くらいは参加してもいいだろうと、人生初の月例参加となった。

 風の強い小雪舞う激寒での月例会となった本日の結果は、OUT-51(16)、IN-48(17)の99(33)、ネットで79.3だった。()の中はパット数。成績はBクラスの4位だった。A(16名)、B(13名)クラス合わせて29名。パーは3回、バーディ1回。OB4発、これがいけなかった。数日前に突然編み出した新スウィングで14回ティショットをドライバーで放ったが、4回がOBとなった。その他2回のミスがあり、成功が6回(ほとんど真芯)。よってフェアウェイキープ率は42.9%ということになる。こんな仮の話をしてもしかたないが、もしOBが1つなら優勝していたことになる。(優勝者のネット74.1)

 右手を少しかぶせ気味にグリップして左腕をしっかり伸ばす新スィングを、月例のような超本番で試してしまう自分の勇気、いや無謀・愚かさを「まだ若いなぁ」と自分で苦笑いしてしまった。しかし、今までと違うのは、途中で元のスウィングに戻さなかった点だ。ここが今までと全く違う。自分の練習成果を信じたことがその後の改造定着につながると思えたのだ。
 何度か日記で書いてきたが、今回パターと寄せの成果は目を見張るものがあった。1パットが4回もあり、おかげでバーディも1回取れたのだ。3パットは1回だけだった。この1回が今日最大の反省点となった。
 17番の174ヤード・パー3、池越えのアゲィストの風に向かって7番ウッドで打ったイエローカラーボールは、見事ピンから6m手前に落ちた。他の二人も3m、10mにナイスオンした。こんな風の中、しかも170ヤード以上あるショートホールに3人とも乗るのは滅多にないとキャディさんも驚いていた。他の二人は2パットのパーだったが、私だけ3パットしてしまったのだ。
 残り80cmでマークしようとしたが、最も近い人のラインの邪魔になりそうだったので、「お先に!」と少し急いで打ってしまったのだ。(いけない!)と心でイエローカードが出ていた。こんな失敗は過去にも何度もある。多くのゴルファーはこの気持ちをきっと共感できるはずだ。短い1m以内のパットを左に引っかけるミスだ。パーを取れなかった悔しさではない。イエローカードに気づいていたのに無視した自分が許せないからだ。

                

 もう一つ大きなミスを思い出した。355ヤードの16番。ティーショットは220ヤード。キャディさんが「残り125ヤードです」と云った言葉を信じて9アイアンを握ったことだ。ピンに真っ直ぐのナイスショットだった。しかし、結果は8ヤードほどグリーンに足りなかった。打ち終わってからすぐそばの排水溝に残り133ヤードと記されていたのに気づいた。それに目が届かなかった。(周囲に目が届いていない) ポケットに入っているショットナビで距離をチェックしたらセンターまで135ヤードと液晶盤に映った。これもチェックしなかった。何のためにポケットにいれているのか。とても気さくないいキャディさんだったが、アドバイスはあくまでアドバイスとして受け止め、最終は自己判断・自己責任がゴルフというスポーツの最も大切な点の一つだ。いつもいいキャディがいるわけではないのだ。自己判断を磨かずして上達などありえないのだ。

 バンカーからの50ヤードショットもピンそば1mにつけられたし、その他の寄せでもダフリやトップもなく、ほとんど合格点だ。新スウィングのおかげで、ウッドは3番も7番も同じグリップ・同じスウィングでミスなく打てた経験は、大きな自信となった。ドライバーでの4回のOBも原因がはっきりしていた。左腕が伸びていない事、体重移動が早すぎた事だ。(ミスを恐れずやり続けた成果と云える)

 初めて回る人達だったが、緊張することなくとても楽しいゴルフができた。神奈川湘南の鵠沼海岸に住んでいた頃、鎌倉カントリークラブに飛び込みで行き、3名でプレーされる方々に「ご一緒にプレーさせて戴けませんか?」という大胆な事としていた経験が今回も生きていたように思う。来月の月例にも参加する予定だ。

 ゴルフは私の若さを保つ最大の要因の一つだ。自分の技を磨き、その成果による自信、そして、より動じない精神の構築は、次なる高みへのエネルギーに昇華する。これが老化を防いでいると信じている。何でもかんでも次なる高みへと自分を導くのは不可能な事。時間も体力を知力も財力も限りがある。一つでいい。一つだけでいいから次なる高みへ挑戦できることを見つけよう。長崎旅行を終えてこんなことを思うようになった。

               

  人生という旅は何処かにたどり着く旅ではなく
  自分にとって大切な何かと出会う旅ではないでしょうか
  だから目的地に着かなくても許されるのではないか

  高校の親友のハッピースプリングさんが
  20周年ライブコンサートでこんなことを述べていた
  「もしレイニーブルーに参加していなかったら、どんなにつまらない人生だったか」

  私は大学時代に恭央という親友に出会えたこと
  人生の連れ添いに出会えたこと
  息子に出会えたこと
  いまだに続く先輩や親友達と出会えたこと
  そして、かけがえのないゴルフというスポーツに出会えたこと
  これらの出会いが私の人生の旅をとても有意義にしていると感じている


               

「最近1番の感涙映画!」

2012年02月24日 | Weblog
              

 映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」、かつて映画館でこんなに泣いた映画があっただろうか? 振り返ってみれば、「赤ひげ」、「風と共に去りぬ」を、まず一番に思い出す。明かりがついて席を立とうとしたら私の両親と顔を合わせた「フォレスト・ガンプ/一期一会」、そして、「ミリオンダラー・ベイビー」を最近では感涙映画です。連れ添いに尋ねてみると、映画館を出てもその余韻で涙が止まらなかった映画は「カラーパープル」と「ミリオンダラー・ベイビー」とのこと。彼女のこの映画の反応は、映画館を出て車に乗ると号泣に近い泣き方をしました。とにかく私も最近の映画の中で1番泣かせてくれた映画でした。

              

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、9.11アメリカ同時多発テロで最愛の父を失った少年の喪失と再生の物語。ジョナサン・サフラン・フォアの傑作小説を「リトル・ダンサー」「愛を読むひと」のスティーヴン・ダルドリー監督が、名優トム・ハンクス、サンドラ・ブロックを招いて映画化した作品。1月公開の「マイウェイ」は、見事に友情を描き人間愛を歌い上げましたが、この映画は家族愛がテーマです。父と子の絆、母が子を思う熱い愛が描かれています。多くの人たちに感動を呼ぶに違いないでしょう。

 すべての愛の基本はこの親子の愛にあると私は思います。つまり、親や子供に愛を感じなければ、その後の愛は構築できないのではないかと考えています。仏教では親子愛を小の慈悲としています。中の慈悲は教え子を導く愛、汝目覚めよという師弟愛。そして、大の慈悲は、浅ましさ、愚かさ、善悪を越えた人間に対する包み込むような愛、人間愛としています。

 ダライ・ラマ14世が云う人間の究極の本性は「慈愛と利他の心」つまり、中と大の慈悲を、人間の究極の本性といいます。きっと彼は性善説派だと思います。私は性悪説派だけに、少し理解しかねます。幼い頃、親の愛に気づくことはありません。我が子を持つような年頃になって初めて親の愛の深さに気づきます。幼い子には結婚式の親の涙の意味が理解できません。中高生の恋愛はとても純粋ですが、それが真の愛かと問われれば、私はそうではないように思います。真の愛を理解するには時間がかかる、だから私は性悪説派なのです。

 

 映画「負けざる者 インビクタス」はマンデラ氏の偉大な功績を描いた映画です。彼は大統領就任直後、「過去の弾圧や差別や人々が犯してきた罪を<許す>ことが我が魂を自由へと解き放つ」と南アフリカ領事館の白人の職員達や周囲の黒人達に人種を越えて訴え、「君たち(白人)の協力が必要だ」と付け加えました。しかし、マンデラ氏の妻や娘までが彼の意思を理解できませんでした。首相官邸には近寄ろうともしません。マンデラ氏の家族ですら、彼の意思を理解できないのです。これが私にはとても悲しく見えました。
 差別・弾圧し続けてきた白人達へ憎しみは、現在も続いています。酷い話ですが、権力を得た裕福な黒人たちが同じ黒人達をアパルトヘイト時代以上に搾取してる現状が報告されています。感情が理性を凌駕している現実です。現在の南アフリカ共和国は多くの白人たちがこの国を離れ、残された人々が混乱の中で暮らしています。アパルトヘイト全廃運動は、まだまだ国民の幸福には繋がってはいません。マンデラ氏が27年間の牢獄の末「私が我が運命の支配者、我が魂の指揮官だ。だからこそ、過去の弾圧や差別や人々が犯してきた罪を<許す>ことが我が魂を自由へと解き放つのだ」という崇高な理念(=理性)を得ました。しかし、アパルトヘイトから生まれた人への強い憎しみは、マンデラ氏の偉大な業績や崇高な理念を凌駕していることがとても悲しく思います。 

           

 さて、映画の話に戻りますが、トム・ハンクスは息子とセントラルパークを何日もかけて探索するシーンが描かれています。息子の閉ざされた心を必死にこじ開けようとしているのです。しかし、子供にはまだそれが理解できません。そして、父の突然の死を受け入れられない息子にとって、父との探索の想い出が彼を支え続けます。母の深い想いや父との想い出の中に詰まっていた愛に気づいて、彼の再生が始まります。この当たりの脚本が素晴らしく良くできています。母の深い愛に気づいたときの感動は感涙なくしては見ることができないでしょう。
 
 物質経済に侵食され自己愛が優先してしまった人達にも、この映画は心を打つに違いありません。映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は子供から大人まで共感できる素晴らしい映画です。多くの人に鑑賞して欲しいと願います。そして、愛の第一歩を改めて感じて欲しいと思います。

  


「長崎の奇跡」

2012年02月19日 | Weblog
           

35年もの時を経て 大学時代の親友と2度目の再会を果たす

しかし この再会は昨年の10月も感じたように35年の時の流れを感じさせなかった

お互いに連れ添いを見つけ お互いのファミリーを育ててきた長い旅

35年という長い別々の長い人生を旅してきたはず

なのに卒業後もすぐそばで二人が歩んできたかのような錯覚に陥るのは何故か

草の輝くような季節を 夢中で過ごしてきた時間がそうさせるのか


60歳を前にして お互いに残された時間は決して多くはない

大病を患っている彼は私以上にもっと切実に違いない

人生は砂時計を逆さにするようにはいかない

しかし 逆さにしたようなに新たな時間が加えられ 奇跡が生じている

あと3ヶ月という医者の言葉が真実なら

今まさに奇跡の季節を生きているのではあるまいか

私はこの奇跡を心から喜びたい


 

  心通じ合う連れ添いを得た私たち

  あなたの哀しみは決してあたなだけのものではなく

  あなたの連れ添いが

  大学時代の親友とその連れ添いが共有している

  これこそ数少ない奇跡ではないか

  この大切な奇跡を素直に心から喜びたい



残された季節はお互いにとって最後の季節となるだろう

結局 少し長いか 短いかの違いでしかないのだ


私たちが共感していることは 

今このとき 若い頃のように孤独ではないという事実だ

このことはお互いに事実だとしっかりと認識できるはず

このことも貴重な奇跡だ


これらすべての奇跡を大切にしたい

長崎に来てこの奇跡を強く感じた

あなたもこの<長崎の奇跡>を共有して欲しいと心から願っている


           

そして これらの奇跡は決して天が造り賜うものではない

我らがコツコツと作り上げてきた甘い果実ではないだろうか

残された季節の中でその果実を精一杯味わおうではないか

「ホイットニー、あなたの歌声は永遠に心の中に…」

2012年02月14日 | Weblog
 

 馬鹿な男性と結婚したために心と体の崩壊が始まったように思えてなりません。日本でも同じようなアイドル歌手がいましたが、本人の心の弱さが要因であるには違いありません。しかし、身近にいる夫の影響を受けないような女性は極めて少ないと思います。
 何故、そんな夫と結婚してしまったのか。彼女の歌はR&Bなどの伝統的黒人音楽とは一線を画していました。だからこそあれだけ多くの人から支持を受けたのでしょう。85年から88年までに発表した7曲が、続けて全米ヒットチャート首位になったという記録は、今後も破ることはできないでしょう。ボビーとの結婚はその批判を逃れようとしたのかもしれません。

 2007年にボビー・ブラウンと離婚し、昨年も薬の依存症治療を再開したとニュースで読みました。まだ心も体も病んでいたのでしょう。艶がありしかも透き通るような力強い高音と幅があり伸びやかなアルトは、彼女独特の歌声でした。少女時代からの教会のゴスペルで鍛えられたのでしょう。今まで幾度心を癒してくれたでしょうか。次回来日したときは必ずチケット購入するぞ、と心に誓っていました。だからこそ、「頑張れ!」と心から祈っていたのです。本当に、本当に残念でしかたがありません…

 

映画「ボディーガード」の好きなワンシーン。
ホイットニーとケヴィン・コシナーが偶然入ったレストラン酒場で、カントリーの
ドリー・パートンが歌う「I Will Always Love You」を聞きながら踊るシーンがあります。
野暮なケヴィンは「いい曲だね」というとホイットニーが歌詞に耳を傾け
「これは失恋の歌よ」と苦笑します。
あの笑顔、とても好きでした。

     I Will Always Love You


1989年、アリスタレコード創立25周年記念式典におけるスペシャルライブ。
これこそ彼女の最高の歌声です。これを聞いて心が揺さぶられない人はいないでしょう。

心からご冥福を祈りたいと思います。

     Greatest Love Of All

「DAVIS CUP初観戦!」&あいらんど食事会

2012年02月12日 | Weblog





 2月11日、山陽道三木東ICから3分にあるブルボンビーンズドームで行われたDAVIS CUPに応援に行って参りました。松岡君や錦織君も顔を見せていました。昨日、添田君が生涯で最高の逆転勝ちを見せてくれました。帰宅してWOWOWWで録画を見たのですが諦めない強い気持ちを最後まで持続し、本当に素晴らしいテニスでした。先日年下の錦織君が世界ランキング20位に昇格したことが、大きな励みになったように思います。

    


 今日は日本―クロアチア戦の第2日目、伊藤竜馬、杉田祐一対イワン・ドディグ、イボ・カロビッチでしたが、セットで敗れました。残念な結果でしたが、日本代表を応援できたことがうれしかったです。明日の最終日は、シングルス2試合が行われ、第1試合では錦織圭とドディグ、第2試合では圭君がどうにもならなかったカロビッチに添田豪君が挑みます。今日ダブルスで負けたために、明日は2試合とも勝利をおさめなければ勝ち上がれません。今日の敗退が結果的に明暗を分けるかもしれません。とても苦しい状況ですが、頑張って欲しいと思います。

    

 16:30、ブルボンビーンズドームを後にし、自宅で連れ添いを降ろして、御堂筋沿いにある「洋食 御堂筋 Katsui ロッジ」で行われた<あいらんど食事会>に参加しました。朝から 大変きついスケジュールでしたが、運ばれてくる昔ながらの美味なる洋食料理に癒されました。あいらんど氏はいつもとても美味しい店を選ばれるので、この食事会はいつもとても楽しみにしています。最初に出された2品の料理を食べ終わって、写真を撮ってないことに気づきました。それだけ美味しかったということでしょうか。見た目は決してイタリアンやフランス料理のようにファッショナブルではないのですが、味はとても家庭的で口に合いました。南船場にあるビルの地下一階奥という立地にも関わらず、家族連れや少し年配の人たちが席の8割ほどを埋めていました。気取らないロッジ風の内装もとても落ち着いた雰囲気を醸し出していました。穴場の食事処という感じです。

   

 大先輩のあいらんど氏を囲む食事会ですが、先日Rainy Blueの20周年ライブを終えて、ほっとした大先輩の笑顔が印象的でした。今高同期のハッピースプリング君も緊急参加して饒舌な彼の話はライブ同様に場を盛り上げてくれました。女性陣からはサプライズの「はあとえびせんべい」のバレンタインプレゼントまで戴き、DAVIS CUPの敗戦を忘れさせてくれました。今夜もとても楽しい時間が過ごせました。本当にありがとうございました。[m:42]

 私以外阪神・阪急・高島屋・大丸という百貨店関係のお仕事の仲間ですが、参加した男性4名はすべて府立今宮高校出身です。私の業界とは異なる話題が多いのですが、和気相合とした雰囲気と美味しい料理を囲む<あいらんど食事会>は私にとって至高のひとときとなっています。

 

<のめり込む>2

2012年02月10日 | Weblog
 映画にも、のめり込んでしまう作品がある。もう一度見たくなってしまう映画だ。かつては「ゴッドファーザー」「ジョーズ」「インディー・ジョーンズ」「ダイハード」。最近では「ボーン・アルティメイタム」「ダークナイト」だ。この2作品もブログに書いた。2回映画館に足を運んだ作品だ。

 黒澤明監督の「天国と地獄」は犯罪映画の頂きに位置する作品だが、新たな頂を形成したのが韓国映画の「チェサー」だった。本当に凄い映画だった。まさに震撼したと言っていい作品だったが、同じナ・ホンジン監督が「チェサー」のハ・ジョンウとキム・ユンソクを使って作った映画「哀しき獣」も映画館に2回足を運こばせた作品となった。ナ・ホンジンは<のめり込む>監督になった。

 前回は連れ添いが実家に帰った日に一人で見てしまい、どうして気持ちが落ち着かず、今日連れ添いを連れ出して再鑑賞して来た。

 

 アメリカ村にあるビックステップ3Fにある焼きそばとお好み焼きの「鶴橋 風月」でまずは腹ごしらえ。焼きそばはどこで食べても大差はないが、ここのお好み焼きは実に旨い。老舗の「ぼてじゅう」などと何が違うかと云えば、つなぎのメリケン粉の存在を感じない点だ。細く切られたキャベツがメインでつなぎは卵と山芋だけのような気がしてならない。
 目の前でお好み焼きの具をかき混ぜるが、メリケン粉の存在が見えてこない。だから鉄板の上にキャベツがボロボロとこぼれてしまう。時間をかけて卵とキャベツをかき混ぜ、鉄板の上で形を整えるときにこぼれたキャベツを一緒にする。そしてカツオブシをまぶす。(見つめていて写真を取り損なう)

 

 約8分。ようやく調理された2玉分の焼きそばが運ばれくる。キャベツはほどよく蒸らされて初めてのターン。(写真参考:ブタ・イカのお好み焼き)このキャベツの蒸らしが胃にもたれない絶品の味を作り上げる。「鶴橋 風月」のお好み焼きは、いいかえればキャベツの蒸らし焼きとえいるのではないか。大阪に来たときは一度「鶴橋 風月」のお好み焼きを是非、ご賞味して下さい。絶品ですよ。[m:42]

 

 一日一回の上映時間17:00の5分前に食べ終わり、4Fにあるシネマート心斎橋に入場した。客入りは4割(席数:110席)くらいか。日本では激しい暴力描写を好まない人が多い。よってこの手の映画は大劇場向きではないようだが、とても質の高い映画であることは保証する。

 2回目を見終わり、ビッグステップ1Fの前にあるベンチで火照った心を一休みしながら連れ添いといつもの映画談義。彼女の最初の一言がいつもながら興味深い。今回もぶっ飛んでいた。今見てきた「哀しき獣」の映画批評ではなかった。

「この間見た『マイウェイ』は、ハリウッド映画だったね
 そして付け加えた。「今日のは韓国映画らしい映画だったね」と。韓国映画の名作はどの映画も、何処か哀しく切ない。(これは私の感想)

 朝鮮半島は中国という陸続きの大国から長い間迫害を受け続け、島国の日本からも侵略を受け、しかも南北に分断されたという辛い歴史がどの作品にも伺えるからだ。バブル崩壊までの日本の繁栄を中国の人たちや朝鮮半島の人たちはどのように見ていたのだろうか。2回目の鑑賞でこんなこと考えてしまった。


今読んでいる大沢在昌の「魔女の盟約」の中にこんな記述がある。
日本と韓国と中国の違いをわずかでも感じ取って欲しい。

・韓国の組織暴力は、完全に地域密着型で縄張り意識が非常に強い。日本のような、
 全土に傘下を団体をもつ大組織は存在しない。
・韓国の政府公認の商品券は、実際には一切市場では流通せず、額面の九割で買い取り、
 パチンコ屋の景品として発給されている。
・韓国では国産自動車の生産が軌道に乗り、自家用車が飛躍的に普及した。
 その結果坂も多い国土ではどれほど短距離の移動であろうと車を使う人が非常に多く、
 朝晩の交通状態は東京を上回る。
・日本人の顔はやさしい。韓国人は日本人よりわずかだが険しい顔をしている。
 それよりさらに険しいのが、出稼ぎにきている中国人たちだ。
・韓流ブームの時は、スターの顔写真が入ったライターやカップが韓国で作れば
 日本で50倍で売れた。今ではより安い中国製が主流。(使い捨てライターを見よ)
・日本人は人とさわるのを嫌いすれちがうときさけるが、韓国人はよけない。
・釜山とソウルの距離408.5kmを高速鉄道KTXは2時間40分で走る。
 (東京と新大阪間552.6kmを最速ののぞみでは2時間25分)
・韓国で開催されたオリンピックやワールドカップを契機に警察の締め付けが激しくなり、
 工場の摘発があいつぎ、ブランド品のコピー技術者は中国に脱出した。
・韓国人は血縁者、親戚を大切にし、会ったこともない甥や姪に学費を援助する人たちがいる。
・上海は緯度的には鹿児島市と同じ。東京からの距離は、ソウルよりわずかに遠いが、
 沖縄本島とかわらない。
・上海の人口は1,400万人、北京は1,200万人。人口密度は上海が最も高く、金持ちも多い。
・日本は最も成功した社会主義国家、今の中国は最も資本主義的な国家。
・中国では百億以上の資産家がたくさんいるが、年収10万円に満たない農民が何千万人
 もいる。年収200万円以下が生活保護などの対象とすれば、格差は10万倍以上。
 つまり年収200万円の十万倍は2,000億円。日本ではそこまでの開きはない。
・中国内陸部から上海などの沿海部に出稼ぎに行く地方出身者の「民工」は、
 他人の土地に家を建て住み着くが、結局仕事にありつけず、
 地方ごとに黒社会(暴力団)を作っていく。
・中国では警察組織が「公安部」、諜報組織を「安全部」と呼ぶ。
 (日本の諜報組織は「公安」と「外事」)
・日本にはブランド品のコピーを作るヤクザはいない。まともな仕事にありつけない貧しい民工が、
 中国マフィアのシノギ(仕事)として命を削ってブランド品のコピーを作る。日本では主婦・OL、
 高校生までが、ブランド品を身に付けようとする。ブランド品を身に付ける自己愛のために。
日本人は小さな事(仕事)はうるさいが、大きな事(歴史)は忘れる。中国人はそれがいらつく。

 


 こんな内容の本を読んでいると、「哀しき獣」のような映画がとても身に沁みてくる。根底に流れているのは、貧困と差別だ。中国には漢民族、満州族、朝鮮族ら20以上の民族が住んでいる。ほんの一握りの富裕層が金と権力を握っている。年間に18万件以上も暴動が発生する中国。そんなに暴動が多い先進国はどこにもない。増大した民衆の怒りを抑えるため、そして巨大化した食い扶持を稼ぐため、無節操に資本主義を導入しているかにみえてくる。軍備の増大も枯渇資源確保への焦りに見えてくる。役に立ちそうもない知識が映画の陰陽をより際だたせる。映画のおかげで本がより面白くなる場合もある。新聞記事やニュース番組が役立つ場合もある。そして、これらの相互作用が自分自身の判断力や人間性の向上にも影響を与えてくていると思う。のめり込む対象が酒や女や賭事ではなく、本や映画なら周囲にも迷惑がかからず、本人とってもいいならこれほど平和なことはない。

<のめり込む>

2012年02月07日 | Weblog
 のめり込んでしまう作家たちがいる。最初は吉川英治の『宮本武蔵』を読んで、開眼したのは二刀流ではなく、読書だった。とにかく作品群を片っ端から読まなければ気が済まなくなるのだ。次はルパンシリーズのモーリス・ルブラン。純文学を目指していたルブランは、友人に依頼されいやいや書いた『ルパン逮捕される』が大評判を博し、書き続けることになる。『813』は、日本の名匠溝口健二監督がサイレント時代に映画化もしている一番のお気に入り作品だ。
 次にのめり込んだ作家は松本清張だった。『砂の器』が一番だが、兄の為に身体を張って悪徳弁護士に復讐を挑む『霧の旗』がとても好きだ。先生・医者・弁護士は私にとって3大聖職だったが、この本を読んで初めて悪徳弁護士が世間にはいるんだと知った記念碑的作品となった。そして、読んでいて夢やエネルギーが湧いてくる司馬遼太郎にものめり込んだ。五木寛之、城山三郎やアーサー・ヘイリーやエリザベス・ゲイジと読んでいるうちに、ハロルド・ロビンズという巨大な米国の流行作家に出会う。粗製乱造の通俗小説作家とも云われ、彼の書く本は暴力と野心、危ないセックスがてんこ盛りだった。世界で一番売れた作家は云わずと知れたウィリアム・シェイクスピアだが、近代に入ってからは、ミステリーの女王ことアガサ・クリスティーで、両者は累計で各20億冊と云われている。その次に売れた作家が7億5千万冊も売ったハロルド・ロビンスだ。私が表現した巨大な作家というのはこの数字からも伺えるだろう。天然系の私はロビンズの悪の世界に完全に魅了された。ついでにその他のベストセラー作家を紹介しておく。ダニエル・スティール(5,6億)、ジョルジュ・シムノン(5億)、トルストイ(4.13億)、シドニー・シェルダン(3.25億)、スティーブン・キング(3億)、日本では西村京太郎(2億)、司馬遼太郎(1.8億)、吉川英治(1.2億)、内田康夫 (1億)、 森村誠一 (1億)。

 日本でもハロルド・ロビンズのような作家がいる。西村寿行だ。但し、ロビンズ作品と西村作品の違いは、作品が持つ情念と重厚さだ。西村氏は題材については徹底した調査を行っており、1本の小説を書くにあたって積み上げて最低1メートルにはなる資料を読み尽す。だから説得力は半端ではない。圧倒的なリアル感と情報量はその豊富な資料に基づいている。
 西村氏は、網元の家の7人兄弟に生れ、満州馬賊でもあった父を持つ。新聞記者、タクシー運転手、小料理屋など20近い職種を経験する。南アルプスで猟師同然の生活を行っていた時期もあり、かなりハードな実体験を持っている。この経験が代表作『犬笛』に活かされる。特にネズミやイナゴがパニックを起こす『滅びの笛』『滅びの宴』『蒼茫の大地、滅ぶ』のパニックシリーズの壮大さと緻密さは他に類を見ない。1974年に生島治郎氏から冒険小説を書いたらどうかと勧められたことがきっかけで書いた作品が『君よ憤怒の河を渉れ』。この作品は大ヒットして高倉健と中野良子主演で映画化もされている。 海上保安庁特別警備監の関守充介が事件に立ち向かう『遠い渚』『ふたたび渚に』『沈黙の渚』『風の渚』は、シリーズものとしては緊張感が持続した優れた作品群だ。最も記憶に残っているのは、テロ対策として創設された公安特科隊の中郷広秋と伊能紀之が、狂気のテロリスト僧都保行と死闘を繰り広げる『往きてまた還らず』。簡素な文章に彼の凝縮した男の執念・生き様を感じた。2007年(平成19年)8月23日、肝不全のため東京都内の病院で死去。

「生島治郎」は、日本のハードボイルド小説の祖と云われている。生島氏は高校時代から小説を書き始め、早稲田大学第一文学部英文学科在学中は同人誌に所属し傍ら、港湾関係のアルバイトで肉体労働を経験する(早大英文の同級に小林信彦がいた)。1967年、『追いつめる』で第57回直木賞を受賞し、田宮二郎主演で映画化もされている。同僚を誤射し引責退職をし,妻と娘とも別れた志田刑事は、命を賭けて組織暴力団に挑んでいく。ヤクザと接近し過ぎて癒着した刑事たち、企業を守るためにヤクザに協力をするサラリーマンたち、部下の犠牲を省みない警察上層部、そして、強い意思を秘めた女たち。今の警察小説の原点があるような気がする。社会性を重視した新しい切り口は、直木賞の真骨頂的作品と云える。2003年3月2日、肺炎の為、逝去。70歳没。葬儀委員長は大沢在昌が務めた。

 今、のめり込んでいる作家は何度も書いてきた「大沢在昌」だ。大沢氏と生島氏の関係も面白い。大沢氏は中学の頃よりレイモンド・チャンドラーをはじめとするアメリカン・ハードボイルドを乱読し、この頃「ハードボイルド作家」になりたいという夢を持ったという。また日本では特に生島氏に心酔し、長文の手紙を送ったほどである。後に生島氏から長文の返信が届き感激し、作家になったおりそのことを話した。そのことがきっかけで生島が亡くなるまで二人の交流が続いた。この関係で葬儀委員長を引き受けたにちがいない。

                               

 あと20年もすれば、日本ハードボイルドの祖が生島治郎なら、中興の祖は大沢在昌と呼ばれるるだろう。今流行の警察小説は『新宿鮫』から生まれた新しいジャンルだからだ。中学2年生の頃、大沢氏は初めて自作短編を執筆。それらにはやはり生島治郎の影響が強かったという。1978年『感傷の街角』で第1回小説推理新人賞を受賞してデビュー。しかし、当初は全く売れない作家で、〝永久初版作家〟と呼ばれたほどである。その状態は1990年まで続いた。読者に気に入られる物語ではなく、書いた自分がスッキリする物語を書こうと、いわばヤケクソになって書き上げた作品が大ブレイクする。『新宿鮫』の誕生である。
1993年『新宿鮫 無間人形』第110回直木賞受賞。第12回吉川英治文学新人賞。
2001年『心では重すぎる』第19回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞。
2002年『闇先案内人』第20回日本冒険小説大賞日本軍大賞を連続受賞。
2004年『パンドラ・アイランド』第17回柴田錬三郎賞。
2006年『狼花 新宿鮫IX』第25回日本冒険小説協会日本軍大賞受賞。
2006年から2009年5月まで日本推理作家協会理事長を務める。
2010年 日本ミステリー文学大賞受賞。

この半年で読んだ大沢氏の作品を上げてみる。いかにのめり込んでいるかが分かる。
『新宿鮫X 絆回廊』(ネットにて)
『天使の爪』
『天使の牙』
『雪蛍』
『心では重すぎる』
『秋に墓標を』
『魔物』
『夢の島』
『パンドラアイランド』
『欧亜純白 ユーラシアホワイトI・Ⅱ』
『ザ・ジョーカー』
『冬の保安官』
『相続人TOMOKO 』
今年になって
『標的はひとり』
『黄龍の耳』
『魔女の窪顔』
『魔女の盟約』(現在読書中)
 
 大沢在昌は、私にとってもはやハードボイルドや冒険小説家とはとても語り尽くせない作家となった。私立探偵佐久間公を主人公にした『心では重すぎる』と『欧亜純白 ユーラシアホワイトI・Ⅱ』を読んだとき、そう思った。『心では重すぎる』は、ハードボイルドや冒険小説の持つスピード感がまるで感じられなかったのだ。物語の停滞ぶりがとても刺激的だった。こんな奇妙な読書感は初めてだった。失踪した漫画家の行方を探す物語で、主人公の佐久間は薬物依存者とのトラブルや、渋谷のチーマーややくざの組織との対立などを絡めながらて、物語が一気に展開していくのかと思ったが、テンポは最後までゆったりで軽快さとはほど遠い。しかし、その停滞さが、今の社会とリアルに共鳴していく。人間を荒廃させていく巨大なビジネスの漫画業界、少年たちを汚染する薬物依存、人の心をとらえる新興宗教など、登場人物たちの議論が繰り返されるうちに次第に人物たちは役割の域を越えて生々しい肉声を放ち、恐ろしいほどのリアリティをもって迫ってくる。ハードボイルドや冒険小説などのエンターテインメントを越えた大沢文学の一つの頂きだと感じた。
 最長編小説『欧亜純白 ユーラシアホワイト』は、それとは反対に停滞さは微塵もない。冒頭からアクションの連続で、しかも、グアム、モスクワ、ウラジオストック、東京とめまぐるしく舞台がかわり、人物たちが次々に出てきて麻薬戦争の現場を迫力たっぷりに描き、読者を引きずりこむ。しかし、従来のアクション系と一線を画しているのだ。物語の時代は、香港が中国に返還される1997年。アメリカやロシアでの麻薬がらみの事件がやがて東京で関係者が一堂に会し、混乱に拍車がかかる内容だ。主人公は三人の捜査官。厚生省の麻薬取締官の三崎、アメリカ司法省麻薬取締局(DEA)の捜査官のべリコフ、広東省珠海市公安局の刑事隊の趙。協力し合うはずのない中国の公安局の刑事趙の存在は目を見張る。荒唐無稽ではなく重厚な説得力を伴っているからだ。何よりも印象的なのは、麻薬をめぐってさまざまな対話や議論が何度もでてくる点だ。『心では重すぎる』では停滞さがリアリティを生み出す魅力的な議論で表されたが『欧亜純白 ユーラシアホワイト』では麻薬発生の歴史や詳細な情報の過剰さが緊張感とリアルな悪として、説得力を生じさせた。この社会批評的な分析がたまらなく面白かった。国際的な武器取引や反政府組織への援助物資とし麻薬が通貨の役目を果たしていることを初めて知った。金の流れは後に残るが麻薬のやり取りはそうではないからだ。麻薬の歴史的・社会的・金融的価値をさまざまな角度から論じて、未来社会を予見していく。最後には、混沌としているロシアや、国家企業として巨大化していく中国の将来を透視しながら、もはや麻薬との共存しかないのではないか、と見据えるのである。この分析に感嘆せずにはいられない。海外作品でもここまでは語らない。

 私がのめり込む作品の最大の特徴は<情報の質とその作家が持つ世界観>だ。今までで一番数多く読んだ作家は西村寿行だが、その数に急追しているのが大沢在昌作品だ。とにかく読ませる力は他の作家と比べて群を抜いている。初期の大沢作品にはあまり共感できないが、『新宿鮫』以降その成長ぶりが如実なだけにとても印象深い作家だ。西村氏と共通しているのが、作品の広さと<悪>に対してのスタンスが重厚でリアルな点だ。ともに重厚でシリアスな作品から荒唐無稽でユーモア溢れる作品も書いている。二人が描く暴力や銃撃シーンのリアル感は、サム・ペキンパーやブライアン・デ・パルマの暴力映画を凌いでいると云っても過言ではない。本当にそう思っている。

 寒い孤独な冬の夜を退屈せずに過ごすにぴったりの作品を紹介しておきます。アクション系なら西村氏の『往きてまた還らず』、大沢氏なら『魔物』。重厚モノなら西村氏の『遠い渚』、大沢氏なら『狼花 新宿鮫IX』、きっと震撼させながらホットになるに違いありません。

PS:ネットで毎週読めた『新宿鮫 絆回廊』は、大きな展開はないが、親子の絆、上司と部下の絆、恋人の絆など、登場人物たちの絆、それが物語の主軸となったとても切なく哀しい物語。大沢氏はハードボイルドは群像劇という。この『絆回廊』はまさしくこれに当たりそうだ。