愛は本能ではなく 学ばなければ習得できない
先生がいなければ習得できないものだ
わが身を可愛がり過ぎて その愛を習得できない人
痛い、怖い、悲しい、楽しい、美味しいと自分は実感できても
他人の痛みや恐怖や悲しみに共感はできない
かまってもらえず放って置かれた長くて暗い孤独感
自分がどんなに求めても
その想いが伝わらない
そのことが愛の習得を遅らせ
ついには愛を知らないままに大人になっていく
他人や動物、植物、自然を大切にし
音楽や芸術の世界に足を踏み入れることは
愛の習得と同様に人間以外には決してできない
人間が万物の霊長たるゆえんだ
愛の習得は同情する気持ちから始まる
悲しい話に出会った幼い心
小さな波紋が時間をかけて大きな波となる
悲話に登場する人物に共感する気持ちは
やがて同情という気持ちに育っていく
私に最初の波紋を投げかけた悲話は『安寿と厨子王』(森鴎外:「山椒太夫」)
学校に上がり小学校の講堂で見たアニメ映画だった
豊かになった現代
悲しい話を耳にすることが少なくなった
親たちも幼稚園でも あえて悲話を伝えることが少なくなった
悲しい現実のニュースが溢れているせいかもしれない
テレビから流れる物語の多くが冒険物や探偵物や勧善懲悪もの
殴ったり蹴ったり殺したりするビジュアルゲームが散乱する
荒々しい気持ちには共感し興奮しても
悲しみを共感する気持ちや他人に同情する気持ちは少ないのではないか
これでは幼い心に同情心や愛の波紋が生じてこない
蜂やアリがせっせと巣に食物を運び
子孫を残す女王に仕える姿から愛は見いだせない
母犬が自分の子に母乳を飲ませ 舐めるように可愛がる
その子犬が違う家にもらわれ 大人になって出会うと
牙をむき出しながら争い 餌を取り合う
あの場面を思い出すと 今もとても悲しくなる
大切にしてくれた主人が亡くなったことが理解できず
渋谷駅に毎日迎えにきた忠犬ハチ公
犬は犬に愛を教えることはできない
しかし 人は犬に愛を教えることができる
愛情を注ぐことによって犬は情を返してくれる
「生みの母より育ての母」
子育ての間に悲しい話も楽しい出来事も
共有し共感しながら幼心に波紋が広がっていく
この波紋によって心は豊かになり
愛が育まれていく
だから生みの母より育ての母が優先する
若者がアルバイト先で
嫌やな先輩やイジメに遭遇する
すぐに辞めてしまう人と堪えようとする人がいる
明日のご飯や来月の家賃に迫られている人
目的を持っている人はそう簡単に辞めるわけにはいかない
嫌な職場でも感情を抑え我慢してでも給料を得ようとする
バイトを始めたそれぞれの動機が行動の違いを生む
豊か過ぎる時期を過ごしてくると
感情を優先する人が育ってしまうのではないか
夫の給料が足りず 働いて我が子を育てようとする人
夫の給料で自分を着飾り余暇を優先して楽しむ人
子育てを妻に任せっきりにする夫
離婚して女手一つで我が子を育てる人
離婚して男手一つで我が子を育てる人
親もそれぞれなら 我が子への愛もそれぞれ
子供たちはそんな親たちから
何かを感じ取っていく
そして 愛の波紋が生じたり
暗くて深い孤独の海に沈んでいったりする
日本が豊かになりすぎて
自分の欲望を消化する習慣を身に付けてしまった人
子育てはきっと重荷に違いない
結婚して家族を作るべきではないのかもしれない
豊か過ぎた負の遺産
本人たちはそのことに気がつかない
不幸の連鎖が始まっていく
「家庭の幸福は諸悪の根源」と語ったと云われる太宰治
明治末期に生まれ 大戦後に自殺した
豊かさを勝ち取るにはあまりに生命力が欠如していたのかもしれない
繊細な心はハングリーに生きるためには不必要というより
破壊を招くガン細胞のようなものかもしれない
感情や欲望を優先するDoing志向の人がどんどん増加している現代
Beingから生まれる愛が欠乏していくのは悲しい現実
だからこそ愛は本能から生じない
文字や言葉、箸の使い方や自転車運転のように
習得しなければ得られないといいたい
親たちが先生でなければならないということはない
たった一人でいい
無償の愛を伝えさえすればその子は その若者は
人生のコーナーをみごとに曲がりきれるだろう
暗くて深く 冷たい孤独の海から
もがきながらも浮かび上がることができるだろう
先生がいなければ習得できないものだ
わが身を可愛がり過ぎて その愛を習得できない人
痛い、怖い、悲しい、楽しい、美味しいと自分は実感できても
他人の痛みや恐怖や悲しみに共感はできない
かまってもらえず放って置かれた長くて暗い孤独感
自分がどんなに求めても
その想いが伝わらない
そのことが愛の習得を遅らせ
ついには愛を知らないままに大人になっていく
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他人や動物、植物、自然を大切にし
音楽や芸術の世界に足を踏み入れることは
愛の習得と同様に人間以外には決してできない
人間が万物の霊長たるゆえんだ
愛の習得は同情する気持ちから始まる
悲しい話に出会った幼い心
小さな波紋が時間をかけて大きな波となる
悲話に登場する人物に共感する気持ちは
やがて同情という気持ちに育っていく
私に最初の波紋を投げかけた悲話は『安寿と厨子王』(森鴎外:「山椒太夫」)
学校に上がり小学校の講堂で見たアニメ映画だった
豊かになった現代
悲しい話を耳にすることが少なくなった
親たちも幼稚園でも あえて悲話を伝えることが少なくなった
悲しい現実のニュースが溢れているせいかもしれない
テレビから流れる物語の多くが冒険物や探偵物や勧善懲悪もの
殴ったり蹴ったり殺したりするビジュアルゲームが散乱する
荒々しい気持ちには共感し興奮しても
悲しみを共感する気持ちや他人に同情する気持ちは少ないのではないか
これでは幼い心に同情心や愛の波紋が生じてこない
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蜂やアリがせっせと巣に食物を運び
子孫を残す女王に仕える姿から愛は見いだせない
母犬が自分の子に母乳を飲ませ 舐めるように可愛がる
その子犬が違う家にもらわれ 大人になって出会うと
牙をむき出しながら争い 餌を取り合う
あの場面を思い出すと 今もとても悲しくなる
大切にしてくれた主人が亡くなったことが理解できず
渋谷駅に毎日迎えにきた忠犬ハチ公
犬は犬に愛を教えることはできない
しかし 人は犬に愛を教えることができる
愛情を注ぐことによって犬は情を返してくれる
「生みの母より育ての母」
子育ての間に悲しい話も楽しい出来事も
共有し共感しながら幼心に波紋が広がっていく
この波紋によって心は豊かになり
愛が育まれていく
だから生みの母より育ての母が優先する
若者がアルバイト先で
嫌やな先輩やイジメに遭遇する
すぐに辞めてしまう人と堪えようとする人がいる
明日のご飯や来月の家賃に迫られている人
目的を持っている人はそう簡単に辞めるわけにはいかない
嫌な職場でも感情を抑え我慢してでも給料を得ようとする
バイトを始めたそれぞれの動機が行動の違いを生む
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豊か過ぎる時期を過ごしてくると
感情を優先する人が育ってしまうのではないか
夫の給料が足りず 働いて我が子を育てようとする人
夫の給料で自分を着飾り余暇を優先して楽しむ人
子育てを妻に任せっきりにする夫
離婚して女手一つで我が子を育てる人
離婚して男手一つで我が子を育てる人
親もそれぞれなら 我が子への愛もそれぞれ
子供たちはそんな親たちから
何かを感じ取っていく
そして 愛の波紋が生じたり
暗くて深い孤独の海に沈んでいったりする
日本が豊かになりすぎて
自分の欲望を消化する習慣を身に付けてしまった人
子育てはきっと重荷に違いない
結婚して家族を作るべきではないのかもしれない
豊か過ぎた負の遺産
本人たちはそのことに気がつかない
不幸の連鎖が始まっていく
「家庭の幸福は諸悪の根源」と語ったと云われる太宰治
明治末期に生まれ 大戦後に自殺した
豊かさを勝ち取るにはあまりに生命力が欠如していたのかもしれない
繊細な心はハングリーに生きるためには不必要というより
破壊を招くガン細胞のようなものかもしれない
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感情や欲望を優先するDoing志向の人がどんどん増加している現代
Beingから生まれる愛が欠乏していくのは悲しい現実
だからこそ愛は本能から生じない
文字や言葉、箸の使い方や自転車運転のように
習得しなければ得られないといいたい
親たちが先生でなければならないということはない
たった一人でいい
無償の愛を伝えさえすればその子は その若者は
人生のコーナーをみごとに曲がりきれるだろう
暗くて深く 冷たい孤独の海から
もがきながらも浮かび上がることができるだろう