楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

大人の見識

2008-02-20 08:14:13 | 読書
大人の見識 (新潮新書 237)
阿川 弘之
新潮社

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ひさびさに本屋に顔をだすと、2ヶ月の留守の間に大量の本が出ている。
いきつけの本屋では配置も変わっている。
自然科学本が少々隅に追いやられ、ちょっと寂しい。

さて、どれを読もうか、どれを買おうか?
と、手にしたのがこれ。
著者はもちろん有名人。
娘も有名人で、私たちと同世代。

例によって、新潮文庫は読み易く、電車の中と、これも久々の喫茶店ぶらりで読んだ。

このリベラリズムは実に私にフィットする。

幼き頃、親達の世代が「陸軍は奴隷、海軍は自由」と話していたことの記憶がよみがえる。
私は、その時、一世代前の悲惨な戦争の時代にいいことなどあったなど、全く信用はしていなかったが、

そこに青春時代を過ごしたこの著者たちのリベラリズムと国家観や靖国観などは共感できる。
ただ、「あなた達高学歴の人たちはエリートではなかったのか?」との疑問はやはり拭えてはいない。

そして、このこの歳になると、次の世代を思う。
この著者は私たちより30年前、今の若者は30年後、

その間の私たちの青春の現実はすでに遠い過去なのだと。

しかし、この著書に見る、このさわやかなリベラリズムは時代を超えて変わらぬ真実なのだと思いたい。

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ウェブ時代をゆくー元旦読書

2008-01-02 04:08:29 | 読書
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
梅田 望夫
筑摩書房

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機器の故障で正月が生まれた。そこで久々の読書。

ウェブ時代をゆくー若者諸君へ絶対おすすめの一冊だ。

船に乗り込む前に慌てて買った持ち込んだ1冊。

これは凄い本だ。人類史上未曾有の大変革の中で如何に生き抜いていくのか、を著者の実体験、突き抜けた巨人達の教訓から描き出している。3年をかけて書いた重みがある。読んだ後にめらめらと勇気がわいてくる。

ネット社会が定着し、それを能動的に人生の中に取り込んで生きる事が当たり前となり、それをする個人がリーダーとして突き抜けていっている今。
そして人間の過半数が当たり前のようにネット社会となると著者が予測する2015年から2025年に私がまだ生きている可能性は大変低い。
私はそのような世代だ。

しかし、なぜこの本はそんな私にも勇気を与えてくれるのだろうか?
いつの時代にも通ずる、「ねばならない」ではなく「好きだから」にこだわり真剣に生きることを強く主張し、それが筋としてはっきりと伝わってくるからだ。
そして、現在の人類未曾有の情報革命の混沌の変革の時代にこそ、そのことが人生の分かれ道となっているのだからだ。それは普遍なのである。
「あちらの地球、こちらの地球」「リアル世界ネット世界」「学習の高速道路とけものみち」「高く険しいみちといばらのみち」「新しい職業と古い職業」など2分法の論理によるわかり易い表現によって一層迫力を持って迫る。2分の境界領域にこそ無限の可能性が広がっているというのもたまらなくわくわくさせる。

私はいま、船の上での2ヶ月にわたる国際プロジェクトのまっただ中にいる。アメリカ人が3分の1、日本が3分の1、欧州中国などが3分の1、の混成チームだ。どのようにリーダシップを形成していくか、ということを観察していると、実にこの著者の記す通りなのである。積極的に情報を収集し、前へ前へと提案していく。とにかく、オープンに議論を重ねる。その分、文句も一杯言う。しかし、全体としてはそのリードによって前へ進んでいくのである。

アメリカ社会が「あちらの地球」「ネット世界」「けものみち」を引っ張っていく深い理由がそこにあることがひしひしと伝わってくる。

私はもはや、この「けものみち」をドンと生きるほど若くもなく、ある意味では大組織にのってしまっているが、「すきなこと」にこだわり、「けもの」さえ通じていない「踏み分け道」でも細々と作ろうかと思う。だって、「けものみち」の行方は人間は知らないが「けもの」は知っているんだよ。

著者の梅田さん、勇気をありがとう。
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日本は戦争をしてきた

2007-12-08 17:42:18 | 読書
戦後日本は戦争をしてきた (角川oneテーマ21 A 75)
姜 尚中,小森 陽一
角川書店

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現代史、現在進行形の政治をめぐる対談。
両者の人生を交えつつ、なされている。
私は世代が同じなので、時代認識を共有できる。
私は、彼らのようにメッセージを発する立場にはいないが、この間の政治の混乱の時代背景に対する1つのアンティテーゼ的見方がよくわかる。

自らを”ゴーマニズム”と称した論陣が大きくなっていた日本社会の中で、この著者らのような反権力的陣営が縮小している日本に居心地の悪さを感ずる人たちも多いはず。このような本が店頭にたくさん並び、論壇のバランスをとるのはいいことだね。

アメリカ社会だって、一方の極端が暴走すると必ず反対のバネが機能する。
それが民主主義だろう。
日本はどうも一方的論陣が氾濫し、少数をバッシングするという極端なところがあって居心地が悪いね。
まだ、民主主義60年だからね。やっと2世代目だからね。今の若者の祖父母は戦前派だからね。無理もない。
その時、異論は牢獄の時代だからね。

アメリカだって、ブッシュ的ネオコンはもう末期だ、と思っている(期待している?)人が多いのだろう。
そして逆のバネが働き、それがまたゆきづまる。
ーーー、そして歴史という時間が重ねられている。

そんな人間社会の現代の一コマだって、長い長い人類の歴史、長い長い生命の歴史、長い長い地球の歴史から見たら、
「お~い!一回きりの人生。頑張れよ!」かな?



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暁のひかり

2007-11-16 17:33:31 | 読書
暁のひかり 新装版 (文春文庫 ふ 1-41)
藤沢 周平
文藝春秋

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船の中で、隙間時間によみふけりの一冊。
暁のひかり
短編6編。
本当に心が洗われる。
余韻がほろ苦く、ここちよく、人間の性を残していく。
どうしたらこんな小説を書けるのであろうか。
本当に作家になりたくなる作品ばかりだ、と同時に自分の人生を重ねてしまう。
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風の果て(上)(下)

2007-11-10 22:56:40 | 読書
風の果て〈上〉 (文春文庫)
藤沢 周平
文藝春秋

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今日からまたまた出張。あすから1週間、船だ。
新幹線と電車の移動中5時間、久しぶりに読書。
今、NHKで放送中の「風の果て」(上)(下)を読んだ。
だって藤沢周平だからね。
彼の時代小説は本当にあったかくてよい。
これは特に、下住みから権力者へののし上がる主人公。
竹馬の友との関係がねじれて、それでもやはり友である心の葛藤。
権力者の誠実と欲の狭間。
そして最後には時間がすべてを押し流すさわやかさとむなしさ。
なぜか、こころが洗われる。
それが藤沢周平。
映像は半分を過ぎたあたりだが、後半の盛り上がりをどう描き出すのか楽しみだ。

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