悪あがきのすすめ辛 淑玉岩波書店このアイテムの詳細を見る |
1週間も時間をあけて本屋へ行くと新刊の新書が溢れている。氾濫とはこのことであろう。
出版界の事情を反映して、キャッチーなタイトルが並ぶ。そんな新書事情を見ると、うんざりし、眺めるだけで買わないことも多い。古本屋の方がいいや、などという気になる。
そんななかでもやはり題名に引きつけられ、手にした一冊。
岩波新書と言えば、新書の老舗。
しかし、最近の新興新書群に押されて、また他の出版社の最近のeasy going路線に押されて不振であったと聞く。
そしていつだったか、岩波新書は新戦略を取る!と宣伝された。
岩波書店と言えば、リベラルと上品な知識普及を売りとし、それを読む人は「岩波文化人」とさえ呼ばれた。
この本は、そのようなかつての本ではない。岩波新書がより大衆化したことを示している。それは良いことではあろう。
どのような本が多く読まれるかは、実に日本人の政治感覚や思想感覚を左右していく。最近の出版はそれを示していると思う。
この本は、著名な在日である著者の思いの丈を語った本である。このような本が出なくなったら日本のリベラリズムは消え去るであろうと思う。著者も岩波書店はそのことを強く自覚していると思わせる一冊であった。
読むことぐらいしか私には出来ないが、今後も奮闘して欲しいと思う。