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知的遺産のピラミッド作り

ファインマンさん最後の授業

2007-08-10 22:29:09 | 科学
ファインマンさん 最後の授業
レナード ムロディナウ,Leonard Mlodinow,安平 文子
メディアファクトリー

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これも随分前に買った本。世にファインマンの名のついた出版は溢れている。専門外の私にもどうしても目に留まる。
この本はカルテクで80年代、同じフロアにいた研究員の随筆風思いで話である。
門外の私が読んでも引きつけられる。
何に?
1つは人間模様。同じノーベル賞を取りながら、全くそりの合わないマレーとファインマン。
その根本に原理還元主義のマレーと森羅万象直感重視のファインマンがあり、あうはずもない人間模様を描いている。
これはおもしろい。
遠いギリシャの時代、還元主義のプラトンに対して弟子のアリストテレスは猛反発した構図と同じである。
20世紀物理帝国主義の構図は、物理の中においてさえ究極の還元ーひも理論とその他の物理を巡る関係にもある、とする。
科学におけるヒエラルキーがそのまま科学者におけるヒエラルキーに置き換えられてしまいそうなところは、ノーベル賞のメッカ、カルテクにおいてさえ、いやそこだからこそ貫かれているのかもしれない。究極の物理学者以外は皆、その意味で劣等感に苛まれているのかもしれない。
「ひも理論」を皆やってしまって、あるいは皆、物理をやってしまったら世界は解かれるの?と問わねばならないのだろうね。
だとしたら、不遜で横柄な人間と劣等感に苛まれる科学者の構図は自然を知る上で全く無駄なことだね。
「おー、あれもおもしろい、これもおもしろい」「おもしろいことが一番」といったファインマンが受ける理由はそこにあるのだね。皆、励まされるのだ。

義務感なんかで研究するなんて、やめちまえ!
てなファインマンの声が聞こえてきそうだ。
今日は暑い!猛暑日!

コメント
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