騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 | ||||
村上 春樹 | ||||
新潮社
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今、最もポピュラーな最新村上本を連休に読んだ。正確に言えば、読むことに流された。
考えねばならぬこと、記さねばならぬことがかつてないほど多いにも関わらず、何故流されたか?
それは、人生この歳に及んで、なお「ねばならないこと」に身を費やす自分、その中で生き長らえようとするジレンマからの逃避があったからだろうと思う。
読んでどうであったか。スッキリ爽やか!
この作の中の具彦(=騎士団長=イデア、と思う)の死に様、「私」の「父」としてのリセット、少女まりえの初期人生の飛躍、それぞれの人生の再生が「騎士団長殺し」というところに鍵があったというパラドックス人生賛歌。
村上は大衆迎合作家と言われながらも根強いファンをもつ秘密を見た気がする。読んでよかった。つけは大きいが。
読書途中で、さる女性教授(同僚というか後輩というか)と、この小説の話をしたら、「私は処女作から村上は読んでいて、もうxx年の付き合い!全部読んでいるわよ」と。
「え!今回は少々エロいのに、どう思う?」と・・、出そうになった言葉を飲み込んだ。
そう言えば彼女、熱気球とか、ファンタジー溢れる趣味で有名な人でもある。確かに村上春樹に出てくる女性のようだ。