楽学天真のWrap Up


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知的遺産のピラミッド作り

研究のレビュー不足

2021-03-05 04:21:36 | 科学

研究のレビュー不足

 今日の記事は珍しく少々の不満を述べる。若者の研究発表を見るとprevious studies のレビュー不足が目に余る。既に発見されている現象が引用、レビューもなく自分の発見の様に報告する。何度も議論され、決着済みの問題を蒸し返し、自分が初めて決着したかのように報告する。地球科学は一般論に加え「地域」と言う問題を伴うが、地域が異なれば他地域での同じ現象の研究を無視していいというわけにはいかない。

 ツッコミどころが満載で質問する気にもならない。卒業論文ならまだしも、修士論文や博士論文ではディフェンスに通らないだろう。大昔でさえ、卒業論文では関連論文20編は読め、修士論文では100編は読め, 博士論文では関連全ての読むのが理想だと言われていた。もちろん容易ではない。が、肝は発見・発明とは何かを知れという意味だ。

 発見・発明は主観ではなく客観的でなければならないと言うことである。目の前の専門家聴衆や専門家読者に「聞いたことがある」とか「読んだことがある」とか判定されてはいけないのである。SNSやウケ狙いマス・ミニコミだけで発表しても駄目なのである。それを判定するために研究は最終的には査読制度を持つ科学雑誌に発表されなければ発見も発明も客観化されないと言うルールが出来上がっているのである。ルネサンス以来の知的先取権をめぐる繰り返されたバトルの結果の人類の知恵である。

 学生がそのような発表ができないのは一言で言って指導者の責任。なぜ指導者ができないのか、そこには本人にだけには押し付けられないかと根深い問題がある。免罪論にならないように機会を見て論じよう。

 

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