東京大理学部相原教授最終講義
東京大学は数年前からの定年教授の最終講義をYoutubeで公開している。この形式は、コロナ禍で急速に全国へ普及している。ちょっと前の私たちの時代にはなかった急展開。興味深すぎて、かじりついてしまう。昨日は東大相原教授の1時間40分を聞いた。
https://www.youtube.com/watch?v=mlsAfnGnFDQ
すでに隠居の身でありながら気になるのが昨今の科学動向と科学政治動向。過ごしてきた地球科学動向はさておき、今日は科学政治動向について記そう。明治以来の歴史を反映して科学政治動向には圧倒的に東大の影響が強い。まずは背景解説。
中でも文系の文学部、理系の理学部は、世の動向に揺り動かされることなく我が道をゆく原理・理念主義。民主党政権の時、事業仕分けによって真っ先に潰されるかに見えたこの二つ。しかし、日本のノーベル文学賞の全ては東大文学部。素粒子物理の最近のノーベル賞(南部、小柴、梶田)は理学部。
この理学部の中枢、素粒子物理の2本柱の1本が先日逝去されたカミオカンデの小柴先生から梶田先生へ、そしてもう1本の柱が加速器を使ったチーム。そこに相原先生がいる。
最終講義とは、自分の研究を振り返ると共に、その人の繋がりの蓄積もよく見える。東大理学部素粒子チームは、科学政治もリードし続けてきた。今後も続けるだろう。今の東大総長の五神先生もそうだ。
相原先生は、これまで理学部長(研究科長)、学術会議第三部長(理工系)、東大副学長、理事、と理工系政治の中枢で指導されてきた。定年後のこの四月からも東大新体制で理事として残られる。産学協同担当をされるという。東大はGoogleと結び、それを中軸として産学協同を進める。満面の笑顔で鋭くリードされることを期待したい。
内閣府によってぶち上げられた学術会議潰しに対し、この東大中心のアカデミーの真っ向勝負が静かに続いている。間もなくその勝負の山(学術会議総会)が新年度冒頭に訪れる。