楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

悪あがきのすすめ

2007-07-21 23:51:29 | 人間
悪あがきのすすめ
辛 淑玉
岩波書店

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1週間も時間をあけて本屋へ行くと新刊の新書が溢れている。氾濫とはこのことであろう。
出版界の事情を反映して、キャッチーなタイトルが並ぶ。そんな新書事情を見ると、うんざりし、眺めるだけで買わないことも多い。古本屋の方がいいや、などという気になる。
そんななかでもやはり題名に引きつけられ、手にした一冊。
岩波新書と言えば、新書の老舗。
しかし、最近の新興新書群に押されて、また他の出版社の最近のeasy going路線に押されて不振であったと聞く。
そしていつだったか、岩波新書は新戦略を取る!と宣伝された。
 岩波書店と言えば、リベラルと上品な知識普及を売りとし、それを読む人は「岩波文化人」とさえ呼ばれた。
この本は、そのようなかつての本ではない。岩波新書がより大衆化したことを示している。それは良いことではあろう。
どのような本が多く読まれるかは、実に日本人の政治感覚や思想感覚を左右していく。最近の出版はそれを示していると思う。
この本は、著名な在日である著者の思いの丈を語った本である。このような本が出なくなったら日本のリベラリズムは消え去るであろうと思う。著者も岩波書店はそのことを強く自覚していると思わせる一冊であった。
 読むことぐらいしか私には出来ないが、今後も奮闘して欲しいと思う。
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エーゲ永遠回帰の海

2007-07-21 23:19:52 | 読書
エーゲ―永遠回帰の海
立花 隆,須田 慎太郎
書籍情報社

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 写真に引きつけられて手にした。しかし、文とあわせて眺めているといくら時間があってもすすまない。結局2ヶ月、トイレの10分、寝る前の10分を重ね、少しずつ眺めながら読み(見?)おえた。この本、値段の割に大変もうかった気分になった。あとがきを見ると、この本が生まれるまでの経過が記してある。長い間、暖められていたのである。
 私はこのエーゲ海、ギリシャという世界はいったことがない。しかし、人類の歴史を俯瞰しに、是非いって見たいものである。哲学の祖といわれるミトレスのタレスという人物はどんな人間であったのか、前から興味があったが、その背景をやはりはがめて見たいものである。この本で少し、かいま見た気になった。

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授業おわり

2007-07-20 13:58:52 | 教育
今週やっと授業が終わった。6月と7月は週4回。それぞれ90分なので、へろへろである。学生の側は眠たければねて、休みたければ休む。遅刻するのも権利。しかし、教える側はそうはいかない。若い時はへっちゃらであったが、年をとると実にしんどい。まして、事前にパワーポイントの準備やらプリントの準備やら、そもそも講義内容の準備やらでたいへんだ。昨日夜、アメリカ人と話をしていて、「ひゃー、週2回もやったら他に何も出来ない!ティーチングアシスタントはいないの?」と聞かれた。
アメリカでは基礎的な講義はもっぱら教育専門教員と院生をティーチングアシスタントとして雇って教育をする。そして研究のための時間を作り出す。日本は管理業務を含めて何から何まで平等。そして、研究の成果だけを求めるし、評価の対象はそれだけ。これっていいようで悪平等。できるわけないじゃん!と思う。全てをやろうとすると睡眠時間を削るしかなくなる。そして、本来は楽しいはずの研究も義務感でするようになる。こんな状態で創造的研究なんかでるわけないじゃん、と思う。大量の紙くず論文を書くことがだけ評価の対象だなんて、絶対におかしいぞ!書かねばどうしようもないけれどね。それは、やった!と心から沸き上がる満足のいくもんであることが理想。文筆家や音楽家だって一緒だね。粗製濫造は滅びる。
 来週はまたサンフランシスコで会議だ。

 
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激日

2007-07-13 01:23:26 | 生活
今日は激烈な一日。
朝、
4時起床ー本日の講義の準備開始。
7時ーシャワーを浴び、準備。
7時半ーNHKBS朝ドラ「どんと晴れ」を見たい気持ちを押さえて、出発(今日は車)。
8時15分ー大学着。やった!NHK朝ドラ「どんと晴れ」を見れる!カーナビテレビ、switch-on。
<おいおい、どーなるの?この四角関係?多体問題はわからん!まして人間の!>
8時35分ー素知らぬ顔で授業開始(5分遅れ)。
10時15分ー授業終了時刻を忘れて熱弁 (本来は10時終了)。
<やば!次の授業が始まっている!>
別の建物へ、キャンパスの中を車で移動(歩くと10分はかかる)
10時30分ーごめん、1コマ目、時間を忘れて話しすぎて。
11時45分ー2コマ目終了!「来週は最後です」「試験ですか?」と学生が聞いてくる。
<え!試験?面倒くさいな~。まだ話したいこと残っているし、どうしようかな?>
「どうするんですか?」
「どうしてほしい?」
「え!?」
「よし、今日の宿題を来週まで。試験するかどうかは来週決める。するとしても夏休み明けだ」
言ってから気がつく<9月って学会でびっしりじゃないの?>

で~、部屋へ帰って、寝てしまう。
午後1時ー<やば!会議に間に合わない!>
あわてて、車を飛ばして、都内某所まで。1時間540円の地下駐車場へ。
1時28分ー2分前セーフ。
3時過ぎ、文部科学省から,これまたあわててやってくる。5分ほど説明して。
「これから、財務省へいって説明しなければならないので、これで失礼します」
彼はドイツでも一緒だったが、本当に忙しい人たちだ。分刻みで仕事をしている。
<研究者からは突き上げられ、財務省からは絞られる?からだに気をつけて、財務省いじめるなよ!>
てな気持ちになる。
5時過ぎ、終了!
<おっと、今日は学生どもと飲もうと話をしたんだっけ。うまいビールを飲もうと>
<でも車だし、明日はまた朝から授業、その後、病院で検査。ここで負けてはいかん!>
てな、ことで6時過ぎから、ノンアルコールで学生と付き合い、馬鹿話がはじまる。
9時ー<さ、帰ろうかな?でもこいつらカラオケしたそ?>
「1時間だけいこうか!」
「カラ館」を携帯ナビで追跡する院生。
うたいまくった60年代、70年代、80年代。そこまで。
<え!こいつらの年代って?こんな古かったっけ?ま、いいや!>
11時ー「ぐえ!また時間を忘れてた」<今日は2回目だ!>
「帰るぞ!」
車でぐるっと回って、学生を配達。
帰宅午前1時。ねるぞ!
<明日の授業の準備はどうする?>
<あした、電車の中でかんがえよ!>


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inside-the-park home run

2007-07-12 04:35:52 | 教育
イチローがランニングホームランを打った、というのが昨日の大きなニュースであった。
しかし、このランニングホームランとは和製英語。どうも inside-the-park home runというのが本当らしい。
というのは、かつて私のところにいた日系ブラジル人女性が、アメリカ人と結婚をしていまサンフランシスコ近くに住んでいるのだが、昨日ひょんなことからメイルをくれて、そこでイチローのことがうれしそうに記してあった。

さて、その元学生のことでも記そうかと思う。彼女がひょんなことから私のところに来るようになったのは、もう15年も前である。当時はバブルの絶頂。多くの日系ブラジル人が日本へとやってきた。
ある日、書類が舞い込んだ。当時私のいた県からのお尋ねである。1年間、日系ブラジル人の研修生を受け入れられるかと。
田舎大学でそんなことは一度もなかったので一も二もなくOK.
そして、彼女がやって来た。ミニスカートに、どはでな紫の上下スーツ!
しかも、底抜けに明るい!
<なな、なんなんだこれ!?>
その時、卒業論文のために私のところにいた学生は男子が2名、女性が2名。
彼女の明るさに引っ張られ、新任の教員も含めて、連日、学生達と飲んで騒いで、なんか連日カーニバル!
周囲にいた学生とも瞬く間に仲良くなった。
しかし、ーーーー
ほどなく私は体調が最悪で動けなくなった。朝も起きられない。どんどんやせる。
病院へ行くと、即刻入院命令!
「エ!どうしよう?この子達の面倒?」
というか、楽しい日々が突然中断されることによるパニックである。
それだけではなく、カナダから帰ったばかりの私はいろいろと張り切り、次々とやりたいことを始めていた矢先でもあった。
(つづく)
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