しかし、尚樹は勤め先の障害者パート職員という身分でしかない。
対して上司は『部長』という役職で、役員であってもおかしくない地位にあった。
朝夕、起き上がれなくなった尚樹はベッドの中で「頭重」に苛まれているだけであった。
全く思考は働かない状態だったのである。
ようやく、正月も月末になり尚樹の脳の中はしだいに鮮明になってきた。
思考も回り始めた。
今までの経験で尚樹なりに考えると、自分の考えだけで先行することは失敗が多かった。
そこで、気の置けない職場の友人に相談してみた。
彼は『N』といい、いつも冷静な答えを出してくれる友人であった。
彼に尚樹がPCで書き連ねた文書を手渡し、意見を聞いた。
年下のNはいつもの冷静さで尚樹に答えた。
「尚樹さん、この文章で良いと思います。
まずは尚樹さんの主治医に相談してみてはどうでしょうか?」と。
「Nくん、ありがとう。」といって、職場を後にし自室で思った。
「さぁ、反撃だ!」と。
その三十二に続く・・・