異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説『呆け茄子の花 その八』

2016年04月20日 02時06分41秒 | 小説『呆け茄子の花』

こころにむち打ち出勤し続けた尚樹はとうとう出勤出来なくなった。

なんとか、デスクの上の携帯電話に手を伸ばして直属の上司に電話した。

上司は何のためらいもなく尚樹の訴えを認めてくれた。

その日、出勤しなくても良くなった安堵感でベッドからすぐに起き上がることが出来た。

これは尚樹自身も不思議に思った。

「なぜ体がこの様な反応をするのか?」

数日後、尚樹はかかりつけの内科医に相談した。

「そりゃあ、尚樹さんあんな酷い目に遭って、ただで済まないでしょ」

と、事も無く言い放った。

そこで尚樹は『ドグマチール』という薬を処方してもらった。

だが、尚樹の症状は上向くことはなかった。

尚樹の疾病は、医師や尚樹自身の想像もしないものだったのだ。

 

 

その九に続く

 



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