異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説『呆け茄子の花 その七』

2016年04月17日 21時52分03秒 | 小説『呆け茄子の花』

大三郎の件の前から尚樹の精神中枢は異常を行き足していた。

退院後二ヶ月して会社から『出社命令』が出て50%を焼けただれた体で出社した。

更衣室で数人の同僚と一緒になったが皆尚樹の体を見て絶句した。

付け加えておくが、大三郎はこの先も尚樹の体を一度も見ることはなかった。

体の傷もさることながら、精神をも焼かれたといっても良い。

尚樹にとって一番の衝撃は、爆発事故と同じ場所で同じ仕事をしたことだ。

これが「ダメ押し」となって、尚樹の脳裏に深く刻み込まれることとなる。

これ以後、尚樹は同じ作業に二の足を踏みながらも自分にむち打ちながら、

約一年続けることとなる。

そして、いつもの出勤の日に尚樹は起き上がれなくなった。

「行かなくてはいけない・行って嫌な目を見たくない」という

葛藤をベッドの中で毎日繰り返していた。

 

 

その八に続く

 

 

 



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