異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説『呆け茄子の花 その四』

2016年03月18日 04時23分05秒 | 小説『呆け茄子の花』
ここで尚樹自身について触れておこう。

尚樹は今年31歳になり、今の会社に就職したのは高校卒業時だった。

なので、今年はちょうど10年となり、祝えるような年であったが、

尚樹はそんなことを気にする余裕は無かった。

尚樹の実家は両親が尚樹の幼少時に離婚し、尚樹は母に引き取られた。

だが、「女の腕一本」では、『豊かな生』は望むべきもなかった。

しかし、それが原因でいじめに遭うこと無かった。

それは尚樹持ち前の『明るさ』であった。

それも今回の事故で『仮面の笑顔』になった。

幼少ながら尚樹の笑顔は『本当の笑顔』であったが今回はさすがに堪えきれなかった。

笑顔も激減し、やっと出た笑顔もどこか引きつったものがあった。

それは、尚樹を徐々に襲ってきた『うつ病』のサインであったが、

その知識も無かったが、後にイヤと言うほど味わうこととなる。








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