4月1日の午後に遡りますが、日本望遠鏡工業会の技術研修会に参加してきました。内容は昨年のブログでも紹介した国立科学博物館の中島隆氏を招き、「日本の双眼鏡の歩み(戦前編)」について話をしていただきました。
日本製双眼鏡の発達は軍需によって支えられたといっても過言ではありません。陸海軍それぞれで企業を指導し、そうした中でいろいろな光学会社が立ち上がり、性能や製造技術の向上に明け暮れることとなりました。しかし、太平洋戦争での敗戦で一旦終わりを告げることとなります。幸いなことに光学機器関係は空襲による被害が少なかったことから、戦後になると光学メーカーはまず双眼鏡の生産と進駐軍の兵隊への販売から徐々に立ち直っていきます。
とても濃い話でブログでは書ききれませんが、実機の構造紹介と解説を通じ、当時の双眼鏡製造に関する技術・工夫・問題点などがわかりました。また後のニコンの前身となった藤井兄弟をはじめとしてさまざまな方も登場してきます。余談ですが、昭和15年に品質(見え味)とメーカー出荷価格の勘案に際して評価員会が立ち上がりますが、その委員長は五藤光学研究所 五藤齊三が務めるなど当時から望遠鏡だけでなく双眼鏡にも関わっていたことも興味深いエピソードです。
さて、中島先生ですが、5月に地人書館から「図説 双眼鏡の歴史 光学系と製作技術の進化をたどる 」が出版されるとのこと。
http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN978-4-8052-0886-1.htm
これは思わず欲しいと思ったのですが、価格が・・・(笑)
会社の経費で買ってくれないかなと思ってしまいました。(kon)