数年前に、地震対策をしたのですが、も一度見直します。
(くらしの扉)揺れから身を守る 地震に備える:1
2015年3月2日05時00分
東日本大震災から4年になるのに合わせ、3月は地震への備えを5回にわたって取り上げます。初回は家の中で揺れから身を守るための対策を調べました。
■家で確実に生き残る対策を
NHK放送文化研究所の2010年の調査によれば、日本人が平日に家で過ごす時間は平均で15時間13分にもなる。いつ起きるのか分からないのが地震だが、元横浜市消防局予防部長の荒巻照和さん(現・相鉄ビルマネジメント業務部部長)は「まずは自宅で確実に生き残るための備えをすべきです」と話す。
対策の一つが家具の転倒防止だ。東京消防庁の調査では、03~08年に起きた新潟県中越地震など七つの大地震では、負傷者の3割から5割までが、家具類の転倒や落下、移動によってけがをしていた。
阪神大震災(1995年)の救命活動にあたった千里病院千里救命救急センター長の甲斐達朗医師は「倒れた家具で胸を圧迫されて呼吸ができなくなり、外傷性窒息死にいたるおそれがある」と警告する。太ももや腕が下敷きになった場合でも、2~3時間以上圧迫されると救出後に全身に毒素が回る「クラッシュ症候群」によって死亡する危険性があるという。
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上手な転倒防止策を、清水建設技術研究所安全安心技術センター所長の金子美香さんに聞いた。金具を取り付ける際には壁や家具の取り付け位置が頑丈かを確認する。突っ張り棒なら、家具上部の奥側(壁側)に設置するといい。フローリングの上にある家具は突っ張り棒をつけても家具の底が滑って棒がはずれやすいので、ストッパー器具をつける必要がある。強度のある天井と家具の間に段ボール箱を挟みこんで固定するのにも一定の効果があるという。
また、食器棚は食器が散乱するのを防ぐため、扉に留め具をつける。玄関や廊下、部屋の出入り口付近に花瓶などの割れ物や荷物を置くのは、避難の妨げになるので避けたい。寝室にスリッパや靴を置いておけば、避難時にけがを防げる。
大きく揺れたらどう身を守るか。米国発の訓練「シェイクアウト」では(1)姿勢を低くして(2)テーブルやカバンなどで頭を守り(3)揺れがおさまるまでじっとする、の三つの動作を促す。
揺れがおさまったら火の元を消す。万が一の出火に備えて、消火器やバケツを家にも置いておきたい。負傷した場合、救急車も頼りにできない。講習で止血方法など学んでおくと役立つ。救急病院の場所も把握しておく。
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地震が起きた時の行動を家族で決めておこう。どの部屋に逃げ込めば安全か、誰が火の元を消し、防災用品を持ち出すかなどだ。土砂崩れなど住まいがある地域の災害リスクを把握し、地震後すぐに自宅を離れる方がいいのか、とどまった方がいいのかも考えておきたい。荒巻さんは「頼れるのは自分と隣近所だけ。自ら考え、行動することが重要です」と話す。
(毛利光輝)
<頭と胸を守る> 食品宅配会社「らでぃっしゅぼーや」が阪神大震災で被災した利用者342人(うち女性323人)に尋ねたアンケートでは、震災時に最初にとった行動で最も多かったのは「子どもをかばう」(110人)だった。甲斐達朗医師は「命に直結するのは頭と肺と心臓へのダメージ。まずは頭と胸部を守ることです」と話す。
<家具を固定する> 自治体の中には家具を固定する金具の取り付けを無料でしたり費用を助成したりしている所がある。横浜市は75歳以上の高齢世帯や要介護・要支援認定者などを対象に家具二つまで無料で代行(器具代は除く)する。来年度も実施する予定だ。家具の配置移動は、引っ越し業者が有料サービスを提供している。
<シェルターを設置> 家全体の耐震化は難しくても、寝室のベッドや部屋一室を鉄骨で覆うなどして安全な空間を確保する耐震シェルターという対策もある。東京都の耐震ポータルサイトでは25万円~350万円程度でできる工法や業者を紹介する。「住みながらの工事や耐震改修工事に比べて短期間での設置も可能」と説明している。