開業、沸く北陸 新幹線、東京―金沢2時間半 企業進出・観光拡大
2015年3月15日05時00分
北陸新幹線の長野―金沢間228キロが14日、開業した。最速型の「かがやき」は東京―金沢(450・5キロ)を最短2時間28分、東京―富山(391・9キロ)は同2時間8分で結ぶ。開業で、北陸へ向かう下りの場合、それぞれ1時間23分と1時間6分短くなった。▼11面=社説、39面=沿線の思い
この日朝、「かがやき」の最上級席「グランクラス」で金沢に着いた東京都世田谷区の会社員工藤貴史さん(33)は「快適な旅だった。日本海の景色がよかった」と話した。
運行は東京―上越妙高(新潟県)をJR東日本、上越妙高―金沢間をJR西日本が担当。両社が共同開発した新型車両のE7系、W7系は最高時速260キロで運行する。
北陸新幹線は、東京から北陸をへて大阪までの約700キロを結ぶ計画。国は1972年に基本計画を決定。97年に長野まで先行開業し、延伸は18年ぶりだ。
金沢駅周辺は、昨年9月発表の基準地価が、商業地では全国一の上昇率に。高層ビルやマンションに加え、ホテルの開業が相次ぐ。石川県は昨年30万人弱だった外国人宿泊者数を、50万人に増やす目標を掲げる。
富山には企業進出が続く。YKKグループは本社機能の一部を東京から黒部市に移転中。本社社員約1600人のうち約230人を移す計画で、単身寮もつくる。ハンドクリームなどで知られるユースキン製薬(本社・川崎市)は来年3月以降、工場機能を横浜市から富山市に移転する。
日本政策投資銀行は、首都圏からの観光・ビジネス客は石川県で年間32万人増、富山県は21万人増で、経済波及効果は各124億円、88億円と試算する。
旅行業界も熱い。富山駅から立山黒部アルペンルート(富山・長野)、金沢駅から永平寺(福井)、白川郷(岐阜)――。JTBの担当者は「移動が楽になり、北陸での滞在時間が長くなった分、商品が作りやすい」と話す。今月上旬時点で、4~6月出発の北陸方面への旅行の申し込み人数は、JTBが前年同期比で約6倍、日本旅行は約4・7倍、近畿日本ツーリストは約10倍増えた。