奈良県内の旅館やホテルの女将(おかみ)たちが「奈良の女将のお酒」をつくった。その名も「大和(やまと)の露(つゆ)」。コシが強く、すっきりした辛口の純米吟醸酒に仕上がったという。県内で栽培される希少な酒米「露葉風(つゆはかぜ)」を使い、奈良市の蔵元に醸造を依頼。奈良を「清酒発祥の地」としてアピールしようと、今月下旬から県内の旅館などで販売する。

 県旅館・ホテル生活衛生同業組合に加盟する女将らでつくる「あゆみ会」の企画。あゆみ会はこれまでも「奈良の女将のお勧め」として、県内の仏像や花、スイーツなどを紹介してきたが、今回は日本酒で奈良の魅力を発信することにした。

 県農業研究開発センターによると、露葉風で醸造すると淡麗な味わいの酒ができる。1960年代に命名され、愛知、高知、奈良の3県が普及を奨励した。栽培の難しさから90年ごろにほぼ途絶えたが、2000年ごろから奈良で栽培が再開され、現在はほぼ奈良だけで栽培されている。今年度の作付面積は16ヘクタール(県の推計値)。

 ログイン前の続き女将たちは、ほぼ奈良だけで栽培されていることから、露葉風を酒米に選び、奈良豊澤酒造(奈良市)に醸造を依頼した。その際、豊澤酒造の酒蔵を見学したり、露葉風を栽培している山添村の農家で収穫の様子を見せてもらったりした。

 300ミリリットル瓶で税込み800円。県旅館・ホテル生活衛生同業組合に加盟する旅館やホテルで順次、販売していく予定だ。あゆみ会の上田トクヱ会長は「奈良だからできる、奈良にしかないお酒。その誇りをお客様に伝えたいです」と話す。

 問い合わせは同業組合(0742・22・3675)へ。