(7日、プロ野球 阪神7―3広島)

 阪神の新人、近本の今季140本目の安打が試合を決定づけた。3点を追加した三回、なお2死満塁から中前に2点適時打を放った。

 制球に苦しむ広島2番手・中田の144キロ直球を逃さなかった。「序盤ですけど点は取っておいたほうがいい。しっかりヒットを意識しました」。負ければ自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消えてしまう試合。崖っぷちのチームを救った。

 これでセ・リーグ新人の安打数で、1998年の巨人・高橋由伸に並ぶ歴代3位タイ。トップは58年の巨人・長嶋茂雄の153安打で、2位は2年前の中日・京田陽太の149安打。長嶋の数字は130試合制でのものだが、近本には残り16試合ある。ノルマの「1日1本」を積み重ねれば新記録の樹立も夢物語ではない。

 170センチ、72キロ。関学大2年までは投手で、外野手に転向後も「プロ野球は大きい人がやるもの」と思っていた。プロ入りを意識したのは、大阪ガス入社2年目の昨年だった。

 プロのシーズンは長い。交流戦では打率1割6分5厘と苦しんだ。好不調の波はあったが、「ずっと打てないというのも(毎日のように試合がある)プロ野球だな」と感じたという。

 まさか自分が立てると思わなかった舞台。結果も重要だが、それ以上に毎日をかみ締めるように過ごしてきた。適時打の直後に、リーグ単独2位となる29盗塁目にも成功。タイトル争いの渦中にもいる。