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2019年は書店員としてのお仕事のめくるめく素晴らしい日々を。時々エレカシ・ミッシェル・Suchmosなど

真摯なことばで

2007-07-03 | マンドリンのことなど

 

6月29日に「マンドリンの音色」という記事を書いたのですが、その翌日から、実は、自分が軽率な言葉と態度で、綴ってしまった・・・と後悔と恥ずかしさが日々、つのっていました。

そして、昨日、今もいろんな団体で演奏活動を続けている素晴らしい演奏家の友人から、メールをもらったのです。

「楽器を手放して本当に後悔しませんか?」と、優しい気遣いの言葉。

そのときに、思いました。

自分が楽器を寄贈しようと決めるまでの経緯(心のうごき)を きちんと、真摯な気持ちで、書いておこうと思ったのでした。

 

マンドリンを初めて手にした頃、大学1・2年の頃は、親戚の家にお世話になっており、1日中、自由に存分に、大音量で練習したものでした。

先生につき、月2回ほどのレッスンにも通って、毎日毎日、基礎練習に励んでいました。

でも、3年になる頃には、大学の近くで一人暮らしを始めた。   そうなると、自分の部屋では楽器を弾くなんてことは、当然できず、練習できる場所は、学内の部室か開いている教室。

人のいない時間にしか弾けないので、自己練習の時間が、とたんに限られたものになりました。

 

今、思えば、休日でも、許可を得れば、部室を利用できたのかもしれないのですが、当時はそれを思いつかず、「休日、どうしよう・・・合奏までにもっともっと、弾きこみたいな・・・」 と、近所の公園をふらふらと、人のいない場所をさがしては、ベンチで弾いたりして・・・  気がつくと、手が砂でざらざらしていたり、虫が寄ってきたり。

何より、楽器が傷みそうで心配でした。  寒風や直射日光。

時間も周りの環境も気兼ねなく、存分にこころゆくまで、練習できたらなぁ、と、いつも思っていたような気がします。

 

社会人になったとき、とうとう楽器を弾く場所がなくなった (部室にはもう行くことはできないので) な・・と思いつつも、その頃は、会社生活に慣れるのに必死で、マンドリンのことはいつしか、心の中から消えていました。

でも、楽器を手放すことは全く考えたこともなく、引っ越す先々、つねに大事に手元においていました。

あっという間に、10数年が過ぎ、主婦になり、ちょっと時間ができた頃、無性に弾きたくなりました。

きちんと団体に参加して、合奏をしたくて、練習日程に無理のない、主婦のサークルに入りました。

 

大学卒業以来の合奏は、楽しかった。  でも、自宅での自己練習ができない環境での合奏参加は、回を追うごとに複雑な気持ちになりました。

私は今現在も、借り上げ社宅住まいで、自宅で楽器を音を響かせることはできないのです。

自宅でできる練習・・ 左手の動きを何度も繰り返して、覚える・楽譜を暗譜する、音を響かせないようにして、ちいさな音でトレモロなしの練習くらいならできた。

そんな練習だけで、合奏に臨んでも、納得のいく音なんて出せない。

合奏を楽しむことが、できなくなりました。

あっさり、やめてしまった。  「子どもの幼稚園の役員で忙しくなったので、申し訳ありません・・」 と半分うそをついてしまった

 

それからまた、あっという間に3年近く過ぎた頃、何の気なしに訪ねたある団体のHPで、2006年夏の演奏会のCDを購入したことがきっかけで、またマンドリン、弾きたい・・今度は無理せず、何とかできないものかな・・と思うようになった。

 

とにかく、まずは、楽器をメンテナンスに出そう。  

そのときは、再び、自分が弾く気持ち満々で、はりきってメンテナンスに出しました。

メンテナンスに出している間に、いろいろと考えてみました。

 

自宅で音が出せないんだったら・・・ じゃ、やっぱりまた、公園。   あんまり親子連れのいない公園、探せば、あるんじゃない?  あ、親子連れならもし、いても、うるさいなんて言われないよね・・  で、そこで、存分に音を響かせて練習して、自宅では、音を出さない練習で・・・ 

やってみたら、案外いけるかも。

今度は団体に所属するのではなく、個人レッスンだ。

でも、今は、子どもの学校のことでちょっと時間はとれないな・・

時間がとれるようになったときには、そのときは、できるだけ近所の個人レッスンできるところをさがして、なんとかやってみよう。

 

そんなことを考えていました。

 

 

そして、先週の金曜日、楽器を受け取りに行きました。

自宅に着いて、楽器を手に取り、「あぁ、楽器がつやつやしてる。  弦も張り替えてもらって、生き返ったねぇ」 と、しばらく、じっと楽器をみつめてました。

ちょっと音もならしてみました。  いい音・・・

 

そのとき、思ったのです。

「私、時間ができたら、個人レッスンを・・って思ってたけど・・・

時間ができるっていつだろう?

また、3年5年10年、あっという間に過ぎてしまうんじゃない?

夏はむしむしして湿度が高く、冬は結露がひどくて湿気だらけのこの家で、「楽器、大丈夫かな」って心配しながら、またあっという間に何年も過ぎてしまうんじゃない?」

 

 

ここまで読んでくれた方、なんらかの楽器を弾いている方、みなさんこう思われると思います。

「結局、練習する環境がととのってないって、環境のせいにしてるだけで、真剣にやる気が無いんでしょ。  時間も環境も、自分のやる気さえあれば、どうにでもなるのに。   いいわけばっかりしている」

そんなふうに思われるのではないでしょうか・・・

 

私もここまで書いてきて、そうなのかも・・と、思ってしまいました。

話をどうまとめていいか、分からなくなってしまいましたが・・・

 

 

そう、メンテナンスを終えて、戻ってきた楽器を手にしたときに、私が強く思ったことは・・・

 

今すぐ、この楽器を弾かなければ!  存分に音を響かせてあげないといけない。 

それをするのは、私じゃなくても、全然構わない。

とにかく、今すぐ、この楽器は弾いてもらわなくてはいけない。

心ゆくまで、存分に、この楽器の音を響かせるのにふさわしい場所に、楽器を大切に弾き続けてくれる人たちがいる場所に、この楽器を持って行くべきなんだ。   今すぐに。

 

 

長々と書いてきましたが、これが、私が、私の母校である広島の高校のマンドリンクラブに、自分の楽器を寄贈することに決めた、経緯なのです。

 

真摯な気持ちで、書いてきましたが、どうでしょうか・・・   長すぎましたね。すみません・・・

 

 7月7日(土)のエルマノマンドリンオーケストラ 東京公演  楽しみです

           

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