風の果て "足るを知らず”

今夜は　毎週楽しんでいたNHKの木曜時代劇『風の果て』の最終回だった。貧乏侍の次男坊が筆頭家老まで登り詰めていくその生き様を藤沢周平独特の作風で語られていた。友情や藩内のしがらみに悩みながら時代の流れを知って家老は隠居を決意したが、五十三の手習いといって書いた最初の文字が『風の果て　尚、足るを知らず』だった。副題の”足るを知らず”　ちょっと難しかったが録画を二度見てやっと理解できた。

★近くの里山に新しく文殊観音が建立された★


還暦を迎えた9年前、小さい会社を任され、それなりに育ててが性根尽きて”グッドバイ”と突然手を上げて辞めてしまった日の事を思い出した。一緒に苦労した創業者から若い二代目に移って2年目、もう良かろうと決断したのだった。誰からも命令はされないし、誰にも指示はしたくないと決断しての事だった。確かに若い2代目との意見の対立も有ったのは事実だったが、「もうよかろう」と思ったのも事実だった。　　意見の違いは企業倫理に関してのことだった。「職場は人生の道場だ」の持論を批判されてのことだった。あの時の事をチラッと思い出しながら苦笑してしまった。以来その会社には顔を出していないが最近大手の食品会社の傘下に収まったと聞こえてきた。何があったのか気になることだが何故かどうしても顔を出す気にはなれない。
　　　　
それに検索で吉田松陰が語ったされる言葉を見つけて、更に理解を深くして嬉しくなった。現在の世相を見つめると「何と、足りるを知らない世相なのか」と悲しくなるし、人類がこの青い地球を灰色の汚れた地球にしてしまうのか！・・・いい加減にせよと叫びたくなった。

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「人間の欲望には限度がない。…この欲望との対決がある意味では人間練成の要になる。この要をはずして育ててゆくと、足るを知らず、恵むを知らないどんらんな獣性だけが伸ばされる。人間の社会は獣の社会であってはならない。足るを知らなければ満足はなく、満足することを知らなければ感謝の念の涌きようもない。そして感謝が無いということは、きわめてあらわに、その人間の不幸を決定づけるということだった。…言葉を変えて言えば、『足るを知らない人間は生涯幸福にはなり得ない』という厳しい答えに通じてゆく。」・・・『吉i田松陰(山岡荘八)著より』
　NHK 月面探査機の「かぐや」のハイビジョンカメラで映し出した月面に上る青い地球