はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.56 MY SFブーム

2010-05-17 18:21:03 | 文学
 突然、SFが読みたくなって「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と「ニューロマンサー」を続けて読んだ。

 普通、小説は実在の背景や歴史を借りて、それを前提として物語が進んでいく。前提を理解していないと物語を把握することが困難になる。理解しておくべきことが日常のことである場合もあるし、歴史についてしっかり知識が必要な場合もある。
 例えばウンベルト・エーコの「薔薇の名前」を読むには多少キリスト教を理解しておいた方が良いし、ゲーテの「ファウスト」を読むにはギリシア神話の知識が必要だ。

 ただし、本の場合なら調べながら読むこともできるし、繰り返して読むことで理解できることもある。

 映画の場合なら、やはり事前に予習しておく方がいいと思う。チェ・ゲバラの映画を楽しむにはキューバ革命の歴史を知っていたほうがより理解できる。
 「アリス・イン・ワンダーランド」だったら原作を読んでおかないと、パロディやデフォルメに気がつかなくて残念なことになるだろう。

 「ニューロマンサー」はコンピュータ用語なのか、俗語なのか、聞きなれない言葉が多いし、何が本物の人間なのか、どこまでがバーチャルで、どこからがリアルかの境界がわかりづらいし、整理がつかないから、頭の中でビジュアル化できないし、イメージ化しづらい。
 「ニューロマンサー」には前作にあたる作品があるので、あるいはそっちを先に読んでおけば少しはましなのかも知れない。
 サイバーパンクのアニメやゲームに詳しい人なら全然理解できるものなんだろうか。
 映画化された映像を見れば不明な部分が納得できるかも知れないな。

 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は「ニューロマンサー」と比べるとだいぶわかりやすい。でも「ブレードランナー」を良く覚えていないのは、下準備しないでいきなり映画を観たので物語をきちんと理解できなかったためかも知れない。

 クラウス・ノミの「NOMI SONG」という映画のDVDを持っているので、久しぶりに見た。これもまた宇宙人ぽい感じでいいね。
 
 思えば僕は妖怪と同じくらいUFOや宇宙人に興味があったんだった。
 

Vol.45 フィッシュストーリー

2010-03-04 05:23:25 | 文学
 読み終わるまで気がつかなかったが、この小説、映画にもなってるんだった。伊坂幸太郎の小説、すごい勢いで映画化されてる。面白いから人気があるんだなあ。
 
 何が面白いか。①台詞が洒落ている。 気が利いているし、かっこいい。「今度どこかで使おう」と思うような台詞が随所にある。
 ②登場人物のキャラクター。愛すべきキャラクターが多く、思わず感情移入して応援している自分がいる。主役級の登場人物があっさりと死んじゃうことが多いけれど、「フィッシュストーリー」収録の短編では死なないのがいい。やっぱり人が死んじゃうのは苦手だ。

 こんな小説を書きたいものだ。今年、僕の夏までのテーマは「小説を書く」だ。
 
 

Vol.43 アルケミスト

2010-02-24 12:13:09 | 文学
 「アルケミスト 夢を旅した少年」(パウロ・コエーリョ著)を読んだ。

 内容はいわゆる英雄の旅。
 エジプトのピラミッドに行けば宝物を見つけられるという夢を見た少年が、セイラムの王様や錬金術師と出会い、自分の心と言葉を交わし、動物や砂漠や風や太陽の言葉を理解し、終に宝を手に入れるというお話。さらりと読んでしまえばありがちな話である。

 「夢をあきらめるな」とか、「何かを望むならそれは叶う」とか、そういうメッセージがこめられていないことはないけれど、そんなお説教くさい感想を書きたいわけではない。

 問題は僕がなぜこの本を読んだのかということだ。

 一言で言えば知り合いから紹介されて読んだだけなのだが、この物語にたどり着くのに、ビジネスの話、組織改革の話、カーネギー、マインドマップ、フーチー、ダウジング、ペンデュラムの話が先にあった。

 いろんなことを人づてや、ビジネス書や、研修・セミナーの中で学んできたが、いつかそれがあちらこちらで繋がってくることがわかった。そしてそれらは僕の中で意味を持つようになった。

 セレンディピティとかプランドハプンスタンスセオリーと云う言葉がある。

 なぜ僕は「アルケミスト」を読んだのか。
 きっとそこに意味があるはずだ。
 
 「マクトゥーブ」。書かれているから。
 
 

Vol.42 不思議の国のアリス

2010-02-21 06:24:02 | 文学
 4月にティム・バートン&ジョニー・デップの「アリス・イン・ワンダーランド」が公開される。予習のためにルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」を読んだ。

 おなじみの白兎、帽子屋、チェシャ猫など個性豊かな人や動物が登場し活躍する。
 
 中学生の時の英語の教科書に登場したハンプティ・ダンプティは続編である鏡の国の住人だった。

 彼らはアリスの前に登場してへんてこな詩を暗唱し、言葉遊びでだじゃれを言って、揚げ足をとって理屈をこねる。
 
 そのからみ方、くだらなさは、かのバカ田大学の人々とそっくりである。
 
 バカボンパパはアリスのようにキュートではないが、アリスも決してクレバーではない。純粋で無垢な女の子である。パパだって41歳ではあるが純粋で無垢なのだ。誰かに騙されて、よく点のように小さい目から涙を流した。時々は確信犯のようにすべてを理解した上で無知な振りをするずる賢さもあったけど、初期のパパは純情だった。
 
 だとすれば「天才バカボン」はまぎれもないファンタジー。

 まさしく天才、赤塚不二男。

 ティム・バートンによるアリスのキャラクターたちと出会えるのが楽しみだ。

 そしてアリスの次はぜひティム・バートンの「天才バカボン」を見たい。パパはもちろんジョニー・ディップ。


Vol.39 斜陽

2010-02-12 18:33:33 | 文学
 さて、30年振りに「斜陽」を読んだ。
 この間「人間失格」を読んだ勢い。
 30年前、僕は中学生。しかもこの小説で読書感想文を書いている。中学生の僕何を感じて、どんな読書感想文を書いたのか。
 白状すると、夏目漱石よりも芥川龍之介よりも、太宰治を読む、ということがなんとなくかっこいい気がしてたんだ。

 太宰治が斜陽を書いた年齢よりも上の年齢になった僕が読んで、中学生のときにはわからなかっただろうこともいろいろ感じたし、当時よりよほどディテールも理解していると思う。

 弟、直治の手記。僕が大学生の時に書いていた日記にも似ているし、忌野清志郎の「10年ゴム消し」の日記のようでもある。若くて蒼くて、切ない。

 姉、カズ子の書いた3通の手紙。怪談みたいなものだな。ストーカーものの怪談。会社のアドレスに山のように送られてくる迷惑メールの内容みたいでもある。

 そして、彼女が読んでいたのはローザルクセンブルク。どんともやはり太宰は読んだのだろうか。