はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.35 人間失格

2010-01-25 15:33:33 | 文学
 今日は仕事で北海道。さっきホテルに到着したところ。なので、こんな時間にブログを。
 
 めずらしく文学を読んでいて、ついさっき電車の中で読み終えた。
 
 人間失格。
 
 映画化されると聞いて、今更ながら読んでみたくなった。家の本棚を探してみたらやっぱりあった。妻が昔読んだのかも知れないし、もしかしたら僕が中学生くらいのときに買ったのかもしれない。とにかく内容はまったく記憶にない。隣に「斜陽」が並んでいたけど、こっちも内容が思い出せない。読書感想文を書いた覚えがあるので読んだには違いないだろうけど。

 失格とは評価のこと。他人は自分が思うほど自分に関心を持っていないものだから失格なんて評価は自己評価に決まっている。
 失格のアントニムは合格?
 人間のアントニムは廃人か狂人?廃人が喜劇名刺ならば人間は悲劇名刺。
 まったく生きていこうとするエネルギーを感じないネガティブな話だ。こんな主人公がどうなろうと知ったことではないし、ドラマでもないし面白くもない。
 
 僕は結婚して子どもができてからと云うもの、ポジティブをエネルギーにしているので、映画や小説の物語も前向きなものを好んでいる。自殺する人間が書いた物語は理解できなくなってしまった。
 
 神経が繊細と云えば聞こえがいいだろう、ただ生きていくこともままならない、無責任で弱い人間が酒や薬におぼれて挫折していく。酔いどれ天使ユトリロやモジリアニを連想する。彼らには作品があり、芸術の誕生にはそういう生き方が必要だったのだろうが、その人生はキャリアカウンセラーである僕にはもはや理解不能である!

Vol.6 ノルウェイの森

2009-05-11 05:52:41 | 文学
僕が大学生の頃、80年代の終わりにベストセラーになった小説。文庫で安く出ていたので読んでみた。80年代後半の頃を懐かしくむ気持ちがあっただろうか。それは、清志郎の死ともつながっているのだろうか。
小説でも詩でも、評論でも、歌詞でも、ビジネス書でも、お笑いでも、魅力を感じるものは、「理解できるもの」、「共感できるもの」である。主人公を応援できること、感情移入ができることがベストセラーの条件なんじゃないかと思う。
「ノルウェイの森」が書店で平積みされていた頃、確かにこういう雰囲気の小説が流行っていた気がするし、当時は僕もそういう流行を洒落ていると感じ、好んでいた。
愛情が深いわけでもなく、特別優しくもなく、強い思いもなく、夢があるでもなく、特別な能力があるのでもなく、努力家でもない。そんな主人公が女の子にモテるという簡単に言えばそんな筋の小説。登場する女性たちは、チャーミングというよりは下品で、別にこの人たちに好意を持たれなくてもいいやと思うし、主人公の大学生のどこに魅力を感じるのかが理解できない。時代性なのかな。

Vol.4 魔王

2009-04-22 06:05:03 | 文学
昨日、BSで伊坂幸太郎原作の映画「アヒルと鴨のコインロッカー」を放映していた。気がつくのが遅かったので、後半部分をちょっとだけしか見られなかった。映画は監督のモノと良く云うけれど、僕は原作に忠実な映画の方が好みだ。前半がどうだったのかは良くわからないが、後半を見る限りでは原作通りで、キャスティングも良かった。録画ができなかったことが残念だ。
引っ越してからは、通勤の際に電車で座れることがことが多いので読書がすすむ。ビジネス書を読んでいることが多いが、小説で一番最近読んだのは伊坂幸太郎の「魔王」だ。キャラクターの作り方なのか、文体が独特なのか、読めばすぐに伊坂作品だとわかる。アヒルと鴨でもそうだが、伊坂作品には淡々と人が死ぬシーンがあることが多く、ドキッとする。死があっさりとやってくるので「ああ、死ぬなんてこんなもんか」と思わせられる。死ぬ本人にとっては最悪の結末なのに、読んでいて、なぜかほっとさせられるところが怖い気がする。