前々から楽しみにしていた写楽展。
今日は年に1度の東大病院での目の検診の日(10年くらい前に網膜剥離の手術をしたため)で会社を休んだので、これはチャンスと午前中に写楽展に行った。
5月15日で終わっちゃうからギリギリだなあと思っていたけれど会場についてびっくり。震災で開催期間が変更になっていた。
4月5日~5月15日のはずが5月1日~6月12日へ。慌てる事はなかったし、はじまってすぐに行っていたら開催していなかったわけだ。
京極夏彦の京極堂シリーズの小説に時々登場する築地の先生、明石散人の著書「東洲斎写楽はもういない」で東洲斎は「とうじゅうさい」と読むと説明されている。
写楽展での東洲斎写楽の英文は「Toshusai Sharaku」。ということは、今回の催事には明石散人は関与していないということか。
会場は2部構成。見応えたっぷりで、全部見終わるのに2時間弱かかった。
第1会場では役者ごとに、写楽の他、豊国、春艶、春英などの絵師が描いた浮世絵が並べられている。タッチがもちろん違うのだけれど、眉毛の形や、あごや、目や、役者の特徴が当たり前だけど一致していて、ああ同じ人を描いたんだなあと実感できて面白い。写楽よりもっと漫画っぽくはあるけれど、特に半身像が、春英の浮世絵と写楽の浮世絵と似ているなと思った。ちょっと意識し合っていたんだろう。
第2会場では写楽の作品を4期に分けて紹介している。
第1期は写楽と聞いて僕らが真っ先にイメージする黒雲母摺の半身像が主流。落款は東洲斎写楽画。
第2期は全身像が主流。落款は第1期と同じく東州斎写楽画。
第3期は黒雲母摺ではない半身像と第2期より線が太く雑な感じのする全身像が中心になる。落款は途中から写楽画に変わる。
第4期は全身像。第3期の延長な感じで線が第2期より太くて雑。まあ雑な方が迫力がある気はするが。落款は写楽画。
第1期の半身像は、顔が大きくて手がやけに小さかったり、「初代大谷徳治の奴袖助」などは親指がまったく変だし、肩幅が狭くて子どものようだったりでバランスが悪い。
ところが全身像になると一転してスタイルが良くなる。8頭身以上ではないだろうか。
全身像でも第2期と第3期では雰囲気が違う。第2期でも顔や手足や髪の毛の線は緻密だが着物の線は力強い。決して細くはない。が、第3期はもっと迫力が出ると云うか雑な感じになる。タッチが変わってる、と思えちゃうんだよね。
4期に分けているけれど実は第1~3期が寛政6年で第4期が寛政7年と短期間に制作されたものなのだ。
そう考えると写楽の正体、「共同制作説」を支持したくもなる。僕の推理では写楽は実は3人のユニットではないだろうかと思うのだが、いかがなものかな。
で、今日の優勝は「中島和田右衛門のぼうだら長左衛門と中村此蔵の舟宿かな川やの権」。ガキデカだ!