はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.227 きっとここが帰る場所

2012-11-05 09:11:09 | 映画



きっとここが帰る場所

原題はTHIS MUST BE THE PLACE。
この映画の音楽を担当しているデビッド・バーン率いるトーキングヘッズの曲のタイトルだそうだ。
この曲の歌詞のはじまりがHome is where I want to beだから邦題が「帰る場所」でもいいのだ。

でも、帰る場所って、いったいどこ?

30年間縁を切っていた父親。
ユダヤ人としての宿命。
ポジティブで献身的で愛おしい妻のジェーン。
あるいはシャイアン(ショーン・ペン演じる主人公)ではなくトニーから見た(あるいは逆にトニーの母親から見た)母親。
トニーに自分を重ねるシャイアンにとってのトニーの母親。


映像は美しく淡々と流れていく。
物語のコアにナチスのユダヤ人虐殺があり、
悲しみは深く、憎しみは深いのに。
美しい映像は淡々と流れていく。
秘めた激しさをストイックに押さえて、とても静かに、滑稽なほど穏やかに。

僕もまた、よけいなことを考えないようにして淡々と映像を追いかける。


ザ・キュアというバンドに今まで興味を持たなかったので、実はロバート・スミスのことをよく知らない。

なるほどロバート・スミスにシャイアンのビジュアルはそっくりだ。
外見をモデルにしたのはわかるけど、中身のモデルにもしたのかな?


翻訳がうまいのか、原文のセリフがいいのかはわからないが、言葉が印象的で、美しいと思う。


寂しさと寂しさは相性が悪い。

不運だけど、それが人生。

恐怖心がいつも救ってくれる。

人生は美しさで満ちている。

Vol.226 第8回出版甲子園 決勝大会

2012-11-05 07:43:10 | ビジネス




第8回出版甲子園決勝大会を観覧。

出版甲子園とは学生の出版の企画を競うもので、決勝大会は今回のように公開審査となり、優秀な企画は実際に出版が実現され書店店頭に並ぶことになる。
出版甲子園を運営する実行委員も学生。8回目の大会なので発足した学生はすでに卒業して社会で活躍しているのだろうけど、発足者がいなくても組織が継続して、なおかつクオリティの高いイベントを実現してしまうのだから恐れ入ったとしか言いようがない。

午前中にキャリアカウンセラーのトレーニングのプログラムに参加してきたので、開会式と、第一部「出版業界ギリギリ質問会」には間にあわなかったけれど、第二部のファイナリストの全員のプレゼンテーションを見ることができた。

プレゼンがはじまって最初の休憩時には、
「昨年の方が質が良かった。今年は応募が少なかったのかな?」なんて思ったりもしたけれど、発表が進むうちに感心するような企画が多く登場する。


農ガールが教える。カワイイ野菜作りの本

僕も妻の実家の農家を妻と一緒に継いで、販売や農家レストランなどのビジネスをいずれ考えていかなくてはならないので農業については思っていることがある。
「農業はそんな甘いものじゃないでしょ」と農家の皆さんの気持ちを逆なでしない、程よいゆるさとポジティブな発想が好感を持てるし参考になると思った。企画者のキャラクターもいい。本が出たらきっと僕は買う。


COS☆GUIDE~誰でもなれる!コスプレイヤー~

コスプレ衣裳の販売はなんと400億円。そのマーケット市場の規模に驚いた。
であるならばコスプレのガイドブックが発行されたらそれはそこそこ売れるんだろうな。
イベント慣れした、声優チックなプレゼンターのキャラもよかった。
個人的には好きな世界じゃないし、本もきっと買わないけど。


わくわく ぶつぞう ぶっく

みうらじゅん&いとうせいこうの「見仏記」を10数年前に読んで以来仏像には興味があるので、二番煎じのような、どこかで見たことのあるようなところもあったけれど、子ども向けの仏像絵本というコンセプトが好い。それから耳にこびりつくゆるゆるのテーマソングも良かった。
たぶんこの本を僕は買う。


自宅で作れる骨格標本の作り方 金魚からイルカまで

国立博物館で恐竜の骨格標本レプリカや大きな動物やクジラの骨格標本を見るのは嫌いではないけれど、どうしても見たいと思うほどではないし、ましてや作りたいと思ったことはない。多くの人がそうだろう。よもや本当に骨格標本を作らせたいということではないのだけれど「自宅で作れる骨格標本」というのが好い。むかし「じょうずなワニのつかまえかた」というアーティスティックな本があった。もちろんワニを捕まえることなんて日常ではないので、その非日常性に興味を抱いた。
企画者のキャラもサイコー!演出ではなくて素のキャラに魅力がある。
また、絞り出した企画ではなくて零れ出た企画であることが伝わる。
買いです。イチオし。僕の中では優勝。

自分は出版社の人間ではないので個人の興味で、自分だったら買うか買わないか図書館で借りるか、という視点で見ていたけれど、出版社の人間ならば売れるか売れないかを考える必要があることはもちろん理解できる。当然、見方や評価が変わってくる。

どうやら優勝は農ガールらしいことはツイッターで読んだけれど、もっと迅速に結果を発表できる仕組みを運営者が考えるともっと好いね。
誰が入賞したのか詳細をここに書けないのは残念。