心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

想いは伝わる・・・7 ~真理子のこと~

2024-02-06 22:44:00 | 想いは伝わる


昨夜は真理子と飲んだ

真理子とは
高校生の時からの付き合いで
お互い仕事は順調だ
真理子は童顔で
いまだに学生かと思われることがあるが
酒は強いし
修羅場経験も豊富な
頼もしい女友達だ
何といっても 
肝が据わっている

家は大きなお屋敷で
お嬢様と呼ばれて育ったのだが
家には普段からあまり寄りつかず
帰るのは
兄夫婦が子供を連れてやってくるとき
くらいだった
今はひとり 
素晴らしく眺めの良い部屋に住んでいる

いわゆる不倫というヤツも経験済みで
その時の相手の奥さんと
飲みに行ってしまうほどだ
恋愛においては
深入りしない
というか本気にならないような恋を
好んでいるように思う

どこをどうすれば
あんなに割り切っていられるのか
とにかく
強い女
私には到底まねできない

私は昔から臆病で
今でこそ強がりも平気で言うが
昔、真理子が
とてもつらい思いをした時には
どうしてあげることも出来なかった

真理子が以前
一度だけ取り乱して
泣いたことがあった
それは大切な
大好きだった杉山くんが
事故で亡くなった時だった

その後何年かは塞ぎ込み
外へ出ることも出来ない時期があった

あれからだろう

きっと真理子が強くなり
恋愛に対して
冷めた目を
するようになったのは
いや、本当は
フリをしているだけ
かもしれないが
心の中を見せてくれないように
なった気がする

真理子
あんまり無理しなくて良いんだよ

私はいつか真理子に
あの時と同じように 
笑って過ごせる相手が
現れることを願っている



想いは伝わる・・・6

2024-02-06 21:54:00 | 想いは伝わる
千秋さん?


あ、やっぱり千秋さんだ!!
大きな声で私の名前を叫びながら
走ってきたのは
石川知史

石川?
あらやだっ 
なんでここにいるの?
石川くん 
きみサーフィンするの?


ええ
言ってませんでしたか
いやぁしっかし驚いたな
綺麗な お姉さんがひとりで
さみしそうに
アッ イテッ!


さみしそうは余計よ
それにしても、寒くない?


あ、サムイッすよ
水の中の方が暖かい
そろそろ昼飯食おうって
みんなで言ってたんです
よかったら千秋先輩もどうですか


そういえば、何も食べていなかった
ありがとうそうさせていただくわ


全体に程良く引きしまった身体
石川の仲間たちは
みんなそれぞれにいい身体をしていた
実は私、
筋肉フェチなのよね
しかも二の腕あたり
ふふ、これはナイショだけど

あらいやだ
わたし 今
いやらしい目していなかったかしら
ふと自分を客観視して恥ずかしくなる
最近の私
相当ヤバいな


結局
石川知史の仲間とランチを食べて
そのまま夜は
飲みに行こうという話になった
一旦車を置きに帰って
待ち合わせの場所へ
今夜は
石川くん以外の男の子が2人
どうやら
石川くんの大学時代の友達らしい
それにしてもみんないい身体してる
冬だと言うのに
ダウンジャケットの下はTシャツ姿
小麦色に焼けた肌によく似合う

いやん わたし、ホント筋肉には弱い

私の頭の中とは裏腹に
話題はもっぱらスポーツの話
私のいやらしい想像とは別に
健全な話で盛り上がっている
この石川知史
学生時代はゴルフ部に所属していて
かなりの腕前だったらしい
他の彼たちもゴルフは
そこそこかじっているらしく 
話がますます盛り上がる

私も趣味としてゴルフをやっている
今は寒くて
クラブさえ触ってないけれど
なので
話は十分楽しいもので 
大いに盛り上がった

春になったら
4人でラウンドしようという話まで
持ち上がっている
きっとこの子たちも
私のこと女と思ってないでしょうね
ま、別にいいけどね





想いは伝わる・・・5

2024-02-06 21:45:00 | 想いは伝わる


でもよくよく考えてみると
タカシが大人だって思ったのは
私が大学生だったせい
あの頃のタカシは
まだサラリーマンで27歳
大人といっても
今から考えれば
石川くんたちと変わらないお年頃
まだまだやんちゃ坊主であっても
おかしくないわ


あの頃の世間の雰囲気と
少し大人びた表情というのか
いわゆる決して童顔ではない 
顔つきのせいで
27歳という年齢より 
もう少し上に見えたのは確かだ

おい 千秋、大丈夫か?
気分悪いのか?

え、いいえ
大丈夫ですよ、すいません

岡崎が心配そうにのぞき込む

そろそろここは出よう
そう言ってそっと背中に触れる手
いやらしい手つきではなく
そっとエスコートしてくれる
そんな感じのものだ

ねぇ、タカシ
あなたには
どんなふうに見えたかしら
足元が少しふらついていた

不覚
やはり 1次会のあのノリ
男の子ってやっぱよく飲むわよね
釣られて結構飲んじゃった
しかも
こんなところでタカシに出会って
少し酔いがまわっちゃったかも

あの岡崎さん、
わたしちょっと

ん そうだな
今日はすまなかったな
またよかったら
ゆっくり飲まないか
その様子だと今夜は
ちょっと飲み過ぎだろう
今夜は帰ってゆっくり休むといい

やばっ
ばれてる?
でもこの人のこういう心遣いが
女にもてるところなんでしょうね 
でも岡崎さんったら
自分が会社で 
どれだけモテているか
なんて
きっと考えてもないでしょうね

ごちそうさま
ありがとうございました
今夜は楽しかったです
いろんな意味で

そう言って
この日は店を 後にした

タカシ
少しは気にしてくれた?
この後の私たちを 
想像したかしら


12月も半ば過ぎると
世間はますますクリスマス気分
あちこちのウィンドウには
サンタのディスプレイ 
にぎやかなChristmas songs
Jewelry shopでは
沢山のカップルで賑わっている

そんな様子を横目で見ながら
私は気分を変えるため
久しぶりにひとり車で
出かけることにした

久しぶりの海
さすがに
こんな時期にいるのは
元気なサーファーくんたちだけね

車を止めて 
ひとり冬の海を見つめて考える

はこれからどうしたいのか
どうやって生きてゆくのか

仕事は順調だ
しかもいつまでいてくれてもいい
という雰囲気でやりやすい
なので一応お金の心配はない

それでも
このままずっとひとりで生きてゆくのは
正直さみしいし
情けない気がした

幸せな結婚をして
幸せオーラ全開の友達が何人もいる

女の幸せって
やっぱり結婚して子供を産んで

そうなのかしら