むかし、たいしたぼた餅の好きな爺さんがおったと。
ある日山仕事をしていると、急にぼた餅が なんとしても食べたくなって、思わず
「ああ。ぼた餅持って来てくれるこったら、猿でもいい。
お礼に俺の娘どごくれてやるどもなぁ」と言ってしまったんだと。
それから昼寝をして目を覚ますと、目の前にぼた餅がある。おかしいなと思ったが
ついつい、全部食べてしまったんだと。
次の日、爺さんの家に1匹の猿がやってきて、
「爺さん、約束の嫁っこもらいに来たす」というではないか。
昨日のぼた餅は、そういうわけだったのかと思ったが、もう遅い。
約束は約束だから、爺さんは泣く泣く娘に、猿のところさ嫁に行ってくれと頼んだ。
けれど、1番目の娘も、2番目の娘もかんかんになって怒るばかり💢😠💢
そこで3番目の娘に恐る恐る頼んでみると
「わがった。おら行って来るだ」と承知してくれた。
いよいよ猿に嫁入りする日になった。娘は爺さんに餅を一臼ついてもらうと
迎えに来た猿に臼ごと背負わせたんだと。そして二人はそろって山に入っていったが
やがて谷川に出た。そこには1本の大きな桜の木があって、なんとも見事に咲いている。
娘はそれを見て「お猿さん、あの桜の花コおまえさんの 家へのお土産にしたいもの。1枝折ってけれ」
猿は臼を背負ったまま するすると木に登っていったと。
猿が「この花か」と聞くと 娘は「もう少し上」と答えた。 「これか」「もう少し上」
何度も繰り返すうちに 猿は細い枝の先の方に来てしまった。
そして、とうとう臼の重みで 高い枝先から川に落ちて、そのまま流されてしまったんだと。
とっぴんぱらりのぷう (角館地方に伝わる民話)
(私の思いですが、娘さんの知恵、機転は素晴らしいのですが、猿がちょっとかわいそう・・・)
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