穏やかに…シニアブログ

日常・民話など

猿に嫁いり

2020-02-09 09:22:04 | 昔っこ・民話

むかし、たいしたぼた餅の好きな爺さんがおったと。

ある日山仕事をしていると、急にぼた餅が なんとしても食べたくなって、思わず

「ああ。ぼた餅持って来てくれるこったら、猿でもいい。

 お礼に俺の娘どごくれてやるどもなぁ」と言ってしまったんだと。

それから昼寝をして目を覚ますと、目の前にぼた餅がある。おかしいなと思ったが

ついつい、全部食べてしまったんだと。

 

次の日、爺さんの家に1匹の猿がやってきて、

「爺さん、約束の嫁っこもらいに来たす」というではないか。

昨日のぼた餅は、そういうわけだったのかと思ったが、もう遅い。

約束は約束だから、爺さんは泣く泣く娘に、猿のところさ嫁に行ってくれと頼んだ。

けれど、1番目の娘も、2番目の娘もかんかんになって怒るばかり💢😠💢

そこで3番目の娘に恐る恐る頼んでみると

「わがった。おら行って来るだ」と承知してくれた。

 

いよいよ猿に嫁入りする日になった。娘は爺さんに餅を一臼ついてもらうと

迎えに来た猿に臼ごと背負わせたんだと。そして二人はそろって山に入っていったが

やがて谷川に出た。そこには1本の大きな桜の木があって、なんとも見事に咲いている。

娘はそれを見て「お猿さん、あの桜の花コおまえさんの 家へのお土産にしたいもの。1枝折ってけれ」

猿は臼を背負ったまま するすると木に登っていったと。

猿が「この花か」と聞くと 娘は「もう少し上」と答えた。 「これか」「もう少し上」

何度も繰り返すうちに 猿は細い枝の先の方に来てしまった。

そして、とうとう臼の重みで 高い枝先から川に落ちて、そのまま流されてしまったんだと。

                 とっぴんぱらりのぷう        (角館地方に伝わる民話)

(私の思いですが、娘さんの知恵、機転は素晴らしいのですが、猿がちょっとかわいそう・・・)

                         

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