穏やかに…シニアブログ

日常・民話など

河童の願い事

2020-02-26 12:28:00 | 昔っこ・民話

むかしむかしある村の淵に河童が1匹いたんだと。この河童

時々、人に悪さをするんだと。ある夏の暑い日の事村の男が馬に水をかけて

冷やしてやろうと思って、その淵さ行ったわけだ。淵の河童はずっと前から

人の家の中を見てみたいとずっと思っていたんだと。

そこに男が馬を連れてきたもの。

今だと思って河童は馬の尻尾に飛びつくと、ギッチリとしがみついた。

男は尻尾の河童には、気が付かねぇまま家にもどってきたわけだ。

 

家に帰りついたとたん、河童は馬のシッポから離れてするするっと、

馬桶をかぶって隠れておった。しばらくして男が馬にエサをやろうと馬屋にきた。

でな、馬桶をひっくり返して、どでんしたのなんの。見たこともねぇような

生き物がいるんだもの。それから男は気を落ち着けて、よくよく考えてみたんだと。

せば、頭に皿があって背中に甲羅があって、これだば

河童に違いないと思ったわけだ。

 

そこで大声を上げて「河童だ!河童がいるど!」て人を呼んだ。この声に

そこらあたりから人が、わらわらと集まって来て、

「河童だと、殺せ、殺せ」ってみんなして騒いだもの。河童はすっかり

震えあがってしまって「そんたごど言わねで、なんとかごめんしてけれ、

ごめんしてけれ」何度も、何度も言った。

その様子を見てたばなんだかかわいそうになってきてな、

男はこう言ったど。「河童、おめぇな、人さらったり、人にいたずらすればだめだ。」

「わがった。わがりました。二度とそんなことしね(しない)。

しねども一つだけ願い事があるんす。聞いてけねべが」「なんだべ言ってみれ」

「へば、お願いだす。おら、キュウリが大好きだがら、切り初(そ)めの胡瓜を

川さ流してけねべが。あど悪さなどしねもの。なんとかお願いするす」

 

なんとこれだば簡単な願いだもの。男は願いを聞いて河童を逃がしてやった。

こんなわけで、それからこの村では毎年夏の始めに初物の胡瓜2本、

川に流して河童に上げることにしたんだそうな。して、河童も悪さをすることが

なくなったど。えがった。えがった。とっぴんぱらりのぷう。

仙北地方に伝わるお話より

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