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伝説・赤沼のオシドリ

2021-06-16 19:39:56 | 昔っこ・民話

 

        赤沼のオシドリ

          ―平鹿郡大雄村―

みちのくの田村の郷(旧・平鹿郡大雄村田根森字田村)に 馬の允(すけ)

という男がいて、タカを飼いならし、狩りの仕事をして暮らしていた。

ある日、いつものとおり狩りに出かけた。どうしたものか1日中 獲物を探し求め

駆けまわったが、何一つ獲物もなく、むなしく帰る途中、赤沼という所で

美しい水鳥が二羽なかよく 寄り添って遊んでいるのを見つけた。

何も獲れないでガッカリしていた馬の允は「しめた、何も獲れなかったのは、

残念だったが、あの二羽はきっとしとめてやろう」と

ぐるり(鳥などを痛めずに取る矢の一種)で 狙いを定めて射ると

うまく当たって オス鳥1羽を 射止める事が出来た。

「獲物も獲れた、家のものにも いいわけが立つというものだ」

大喜びして獲物を 獲袋に入れてわが家に帰り、それを囲炉裏の上の

火だなに吊るしておいた。

 その事があった次の晩のことである。 1日中狩りで、あちこち歩き回り

疲れた馬の允は、ぐっすり眠ってしまったが、真夜中の事である。

夢の中に 上品で美しい女の人が枕元に立って、さめざめと泣いている。

不思議なことだと思い「あなたは、どなたなのですか。どうして、私のまくらもとに

来て、そんなに泣くのですか。そのわけをしらせてくれまいか」と、たずねると

女は悲しそうに哀れな声で

「あなたは、きのうの夕方、赤沼で 1羽の鳥を殺しましたね。あれは、やがて、

私の夫となる人でした。わたしは、あまりにも悲しさに耐えきれず、殺したあなたの

枕元に偲び参り 泣き悲しんでいる所です。こうなってしまった上は、あの人の

なきがらのおそばで死んで、あの世で ともにむつまじく暮らしたいと思います」

 顔に手を当てて、なおもさめざめと泣き続けていた。

やがて、静かに顔を上げて、夫となる人を失った 哀しみの歌を1首よみ、すっと

その姿は、かき消えてしまった。

馬の允は夢が覚め、不思議なことがあるものだと、寝付かれぬまま夜明けを待って

えものを入れた袋を見ると、中には若いメスのオシドリが、口ばしで自分の

腹を深く突き刺し、血に染まってオス鳥のそばに 寄り添うようにして

死んでいるのを見つけた。

このありさまを 目の当たりに見た馬の允は、わけもなく射殺したオシドリの事が

悔やまれてならなかった。自分の命をすててなお思う オシドリの愛情の深さに

心打たれた馬の允は、それ以後 無慈悲な狩りの生活を ふっつりやめ、

髪を切って出家し、仏の道を求める生活に入ったということである。

―県国語教育研究会編― 文・五十嵐兵治さん

 お話を楽しんでくださいね~     

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         ワンコ 立派な毛皮を着てるのに・・・お洋服暑いだろうな

 



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