穏やかに…シニアブログ

日常・民話など

男竜・女竜・伝説

2019-07-21 18:08:06 | 昔っこ・民話

むかし、大阪に鴻池(こうのいけ)という商人がいた。心の優しい人で、良く人々の

面倒を見ていた。また、七面様を信仰して、朝も夜もお祈りをかかさなかった。
 ある夜、鴻池は夢を見た。美しい少女が現れて 
「わたしの正体を見せてあげましょう。どうか水をいっぱいください」
 
鴻池が床の間の生け花から水を汲んで差し出すと、少女はそれをさっと自分の
体にふりかけた。すると少女はたちまち美しい女竜になり、
「あなたの信仰心が嬉しくて、私は、神体を見せてしまいました。どうか、このあとは

生きている間、私につかえると約束してください。そうすれば、あなたは いつまでも
心も体も健やかで 何度も危険な目に遭っても それを乗り越えることが
出来るでしょう
さぁ、あなたに、羽後の国阿仁の庄(阿仁町)萱草の宝を差し上げますから
これから、出かけなさい」
 
女竜はそういったかと思うと、雲とともに身延の七面山に飛び去った。
鴻池は迷った。七日目になってとうとう決心して 阿仁の庄を探して旅に出た。
いく日も、いく日も山を登り、谷を渡って ようやく萱草にたどりついたが
疲れ果てて 今にも倒れそうだった。
 
小さな川に出た鴻池は、清く澄んだ水を両手ですくって飲み、冷たい水に
疲れた足をひたした。そのとき、急にあたりが暗くなり サラサラという妙な
音がした。ふと、顔をあげると、自分のすぐそばに、直径1メートル以上もある
 
大蛇がいるではないか。鴻池は夢中で逃げた。サラサラと大蛇の追ってくる音を
聞きながら、必死で逃げた。疲れきっていた鴻池は、大きな岩の前に倒れたまま
気を失ってしまった。
 
長い時間たって正気に帰った鴻池は、辺りを見回した。
いま、自分が逃げてきた岩に、はっきりと大蛇の体をこすったあとが残っていた。
また、木という木には、何百、何千匹のヘビがぶら下がっていた。
 
彼はあまりの恐ろしさに、生きた心地もなく、再び逃げ出した。
そして、山の上の小さな沼のほとりで、ついに気を失ってしまった。
どのくらい時間がたったろうか。鴻池は、顔に落ちかかるしずくの冷たさに 目を覚ました。
 
しずくは鉱石のつゆであった。かれは、夢に現れた少女のことから今までのことを
じっと考え込み それから歩き出した。
やがて、かれは夢に見た場所とそっくりのところに出た。
 
そこで、彼の見たものはキラキラと黄金色に光る岩だった。佐山鉱山は、こうして開かれた。
鴻池は、いよいよ信仰心が深くなり、大蛇の消えた大岩の洞穴の前に
神社を建てた。萱草七面様である。ご神体は女竜である。

その後、夜になると風が吹き荒れ。山を崩し岩を飛ばして、火を噴きながら
萱草と露熊の間を飛ぶ 男竜を見たといううわさが広がった。
露草七面様として、この男竜を祭ると 山は静まったという。
 
北秋田 阿仁町に伝わる伝説   阿仁の七面さまのお祭りは 有名です。 

敷地のルドベキアが、雑草にも負けず花盛りです。

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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ちどりさんへ (ミルク)
2019-07-24 06:56:59
おはようございます。
遅くなりましてすみませんです。所用があり、昨日PCを見ていなかったのです。
伝説ですからどうぞ。メールアドの方へ入れさせて頂きました。
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このお話お借りできませんか (ちどり)
2019-07-23 11:04:12
作者があるのでしょうか。もし言い伝えられたお話しだったら、番組で使わせていただけないかしら。今回ちょっとコメントも少なくてリスナーコーナで紹介させていただけると嬉しいです。それとミルクさん折句はどうでしたかしら?確か汗だけ頂いてのでは?もし送っていてももう一度私へ送ってください。まだでしたら明日まででですよろしく。そ・う・だです。
mailto:chidori@iwa.bbiq.jp
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すずさんへ (ミルク)
2019-07-22 21:35:12
こんばんは。長文を読んで頂きましてありがとうございます。
気持ち悪い場面がありましたね。ごめんなさいね<(_ _)>
女竜がいるか、どうか、わかりませんが伝説ですので。
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ミッキーさんへ (ミルク)
2019-07-22 21:29:28
こんばんは・コメントありがとうございます。
長文で面倒だったと思いますが、読んでくださりありがとうございます。
こちらには、民話はたくさんあります。
子供の頃祖母に たくさんのお話を聞いて楽しかったので、
どなたか楽しんで下さればいいなぁと思いながら記載しています。
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ひろこんさまへ (ミルク)
2019-07-22 09:54:15
民話は豊富ですが、やりたいとは思いましたが
かたりべのグループもけっこうあって、入会は難しそうで、す(^^;
ですあから、こうして書いてどなたか読んでくださるといいなぁと思います。
長文でごめんなさい。
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のりさんへ (ミルク)
2019-07-22 09:50:50
お母様の故郷でしたか。
阿仁町の伝説です。七面様神社はいまでもあります。
私は行ったことが無いですが、県内各地からいくようですよ。
現在は北秋田市といいますが、合併してから私は区分けがさっぱり、わからないです。(^-^;
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ちわきさんへ (ミルク)
2019-07-22 09:46:55
コメントありがとうございます。
七面様のお祭りに、私は行ったことがないですが
神社は拝観したことあります。人里から離れたうっそうとした場所にありました。
東北の祭りにお出かけですね~♪この時期は北の方は涼しいかと思うでしょうが
本当に暑いです。熱中症にお気を付けて楽しんで下さいね。
秋田はこのところ毎日30度くらいで暑いです><
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ちわきさんへ (ミルク)
2019-07-22 09:46:39
コメントありがとうございます。
七面様のお祭りに、私は行ったことがないですが
神社は拝観したことあります。人里から離れたうっそうとした場所にありました。
東北の祭りにお出かけですね~♪この時期は北の方は涼しいかと思うでしょうが
本当に暑いです。熱中症にお気を付けて楽しんで下さいね。
秋田はこのところ毎日30度くらいで暑いです><
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おはようございます! (すず)
2019-07-22 02:18:08
ミルクさんが語る秋田の民話。
とても面白いです。

大蛇に追いかけられるシーンは特に、大迫力~正直、怖かったです。
木にぶら下がる、たくさんの蛇まで想像してしまいました。

女竜って…竜に性別があることも知りませんでした!

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ミルクさんへ (ミッキー)
2019-07-21 21:44:15
民話の世界は楽しいですね。
ドンドンその世界に引き込まれていきます。
このお話が肉声で語られたらもっと生き生きと輝きを増すのでしょうね。
秋田は民話の宝庫ですか?
きっと数えきれないほどのお話が残されているのでしょうね。
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こんばんは (ひろこん)
2019-07-21 21:07:00
ミルク様
そちらの方は民話が沢山有るのでしょうね。
こちらは、民話はないです。。
一つや二つはあるのかも知れませんが、私が知らないだけかも・・
ボランティアで民話を語られたりもするのでしょうか?
語りも楽しいでしょうね。。
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阿仁町!? (のり)
2019-07-21 20:47:58
北秋田の阿仁は亡き母の故郷なのですが、そこの伝説なのでしょうか。 昔、子供の頃に2度ほど母に連れられて行ったことがあります。 阿仁合川という川があれば・・・ 十和田湖に近い所でした・・・ 70年近く前のことですから・・・ でも、何だか懐かしい香りがします。 
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Unknown (ちわき)
2019-07-21 20:21:55
ミルクさん、こんばんは!
面白いお話ですね。始めて聞きました。
阿仁の七面さまの祭ってどんなんでしょう。行って見たい!ナマハゲも写真でしか見たことがありませんので…
いろいろとこちらでは考えられないようなお話が多いんでしょうね。あの柳田邦男の『遠野物語』の遠野にも行ってみたいんですけど、やっぱり〝と~おい~の~〟です。八月は秋田の〝竿燈〟、青森の〝ねぶた〟山形の〝花笠踊り〟、それに仙台の〝七夕〟を見に行きます。楽しみです。ずんだ餅も食べたい!ああ、雨が降らないといいのになあ~。そちら今もこちらより暑いんですか?
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