20代の頃、仕事で東京を往復する事が多く、仕事仲間で気の合う友人が3人居た。
一人は「オヤジ」という名のたくましい女の子。もう一人は体のラインも細く、如何にも、かよわそうな、でも芯はしっかりした美人。
その3人で旅した時のことを。
目的地に着くと、私達は周辺の景色を見ながら、腹いっぱいご飯を食べた。
温泉にも入っていい気分になり、布団を並べて寝ることにしたのだけれど、ここまでは何もなかった。
夜中に、熟睡していた私の腕を誰かがしつこく叩きつける。暗闇の中でオヤジが小さな声で「助けて」と言っている。慌てて、電気を付けてみて私はビックリ!!ひっくり返ってしまった。
なんと!!パジャマ姿の美人が布団の上で半回転し、オヤジの首に足をからめて
グイグイ締め上げていたからである。もちろん美人は熟睡していてオヤジの苦しみなど全く知る由もない。
私は美人を揺り起こし、股間からオヤジを救出した。そして眠いので何事も無かったかのように再び眠りに落ちた。
次の日、私はオヤジと昨夜の件について、美人が話を切り出さない限りは、追及するのは止めようと話し合った。
ところが・・・・美人からはひとことも無かった・・・・・。
これからの事を考えて言ってあげるべきなのか?どうなのか?散々、気を揉んだのだけれど、結局オヤジと私の心の中にずっとしまっておくことにした。
それから2か月後だったと思う。急に美人から結婚式の案内が来た。
私もオヤジも披露宴に呼ばれた。美しい花嫁姿を見乍ら、私もオヤジも、あの夜の事を思い出していた。可笑しいのと心配なのと気持ちが入り乱れて、笑ったり、ため息をついたり・・・。
せめて新婚当初は新郎を羽交い締めしないでほしいと祈るのみだったけれど
当時、何も言って来なかったから円満に暮らしているのだろうと思っている。
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