暖地の崖を覆っている オオイタビに、実のようなものが見えました。
オオイタビは イチジク亜属で、雌雄別株
私たちがイメージする 一般的な花はつけず
実のように見える 花嚢の中に、雌花 雄花 虫えい花 があります。
雄花嚢には 雄花と虫えい花、雌花嚢には雌花が 入っていて
外見上は、雄花嚢か雌花嚢かは わかりません。
落ちていた実(?)を割ってみると
これは 雄花嚢でした。
クリーム色が雄花、ピンク色が コバチが産卵する虫えい花です。
落ちていたなかには、雌花嚢は 見つけられませんでした。
熟すまで 木についているのでしょうか。
~ イチジク亜属の 受粉システム ~ ~
イチジク亜属(イチジク、イヌビワ、オオイタビなど)は雌雄別株で
雄花嚢には雄花と虫えい花、雌花嚢には雌花が入っている。
受粉を担うのは、イチジクコバチ科のハチで
雄花嚢に入り込んだ雌は、虫えい花に産卵し
花嚢内で羽化したコバチはそこで交尾し、雄は花嚢の中で一生を終える。
雌は、雄花嚢の口部付近にある 雄花の花粉をつけて外に出ていく。
外に出た 雌のコバチが雄花嚢に入れば、そこで産卵し
若い雌花嚢に入り込んだ場合は
花柱の長い雌花には 産卵できず、花粉を渡すだけで、実ができる。
というサイクルで
雌が どちらの花嚢に入るかの確率は 五分五分だそうです。
うまくできていますね。
~ 他のイチジク亜属 ~ ~ ~ ~
★ イヌビワ
★ イタビカズラ
(葉は拡大します)
★ ヒメイタビ
(葉は拡大します)
それぞれの名にある 「イタビ」とは、イヌビワのことで
イヌビワは ビワの仲間ではなく、イチジクの仲間なのでした。
~ 日本にあるイチジクの木 ~ ~ ~
尚、日本では 寒さのために イチジクコバチは生育できず
受粉しなくても果実を形成する「単為結果性」の木を栽培しているとのことです。
参考 *******************************************************
身近なイチジク属の植物の教材化
JAグループ 福岡「アキバ博士の食農教室」
「知識の宝庫!目ガテン!ライブラリー 」
https://www.ntv.co.jp/megaten/archive/link/right_library.html
「植物ジャンル」から 下のページを開いてください。
#797 2005.9.11 放送
何だか申し合わせたみたいですね。びっくりしました。
オオイタビもイタビカズラもヒメイタビも、若い未熟な花嚢、産卵後、受粉後
と、いろいろな段階のものが観察できるといいのですが
いかんせん個体数が少ないので難しいですね。
多摩NTの住人さんは、近くで見つけられて、さすがですね。
千葉県北部がイヌビワの北限と聞きましたが、温暖化のせいでさらに北上しているらしいです。
自然の仕組みはほんとに 素晴らしいですよね。驚くことばかりです。
イヌビワは紫黒色に熟すと食べられるようですね。
でも、雌のイヌビワコバチが一匹入っている・・・
そして、千葉県北部がイヌビワの北限でしたか。図鑑では関東以西になってますね。
教えてくださってありがとうございます。