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韓国、「曲解」日本の中期防計画を悪意で捉える意図「憎悪の反映」

2018-12-22 16:32:18 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


2018-12-22 05:00:00

韓国、「曲解」日本の中期防計画を悪意で捉える意図「憎悪の反映」

テーマ:ブログ


日韓関係は、いつもギクシャクしている。今度は能登半島沖の海上で、12月20日午後3時ごろ、海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国海軍の駆逐艦から射撃用の火器管制レーダーを照射された。

防衛省によると、現場は日本の排他的経済水域(EEZ)内で、竹島からは離れているという。

レーダー照射を受けて、海自はその場で韓国側に意図を確認したが、応答がなかったという。

海上自衛隊のP1哨戒機は、日の丸を付けている。そこへ韓国海軍駆逐艦が、射撃用の火器管制レーダーを照射したことは極めて悪質である。

韓国社会の「日本憎悪」を表わした行動だ。

複数の韓国メディアは21日、韓国国防省関係者の話として、韓国海軍艦艇のレーダー使用は遭難した北朝鮮船舶捜索のためで、海上自衛隊の哨戒機を狙ったわけではないと報じた。

これは、言い逃れである。海自は、その場で韓国側に意図を確認したが、応答がなかった事実に示されている。意図的にやったので答えられなかったのだろう。

韓国国内はこういう雰囲気の中で、日本の防衛問題を過大評価し、騒ぎ立てる悪弊がある。

日本の防衛力整備計画をすべて「戦争のできる国」論に結びつけているからだ。

どこの国でも、軍隊は「オモチャの兵隊」ではない。

外敵が侵入してきた場合、敢然と闘う集団である。その意味で、絶えず「戦争のできる軍隊」でなければならない。国家の安全保障は、軍隊の防衛力にかかっている。

韓国は、日本がすべてにおいて弱い存在であれば、ご機嫌の国である。

現実は、逆の存在になっているから、余計に癪に障るにちがいない。

だが、日本が中国の軍事的な野望に対応して、軍備を整えることは安全保障上、当然である。

中国にとってはまさに、「安全保障のジレンマ」に陥っている。中国だけは軍拡が許される。

日本は平和憲法を守って、「裸同然の軍備のままいろ」というのは虫が良すぎる要求なのだ。

韓国は、この中国の主張に乗っている。

日本へ、「戦争のできる国家」というレッテルを貼っているが、それは大変な誤解だ。

自衛隊は、いい悪いは別として米軍と共同歩調である。

その自衛隊が、米軍の抑止を振り切って単独で、米韓軍事同盟で結ばれている韓国軍を攻撃できると思っているのだろうか。

それは、不可能な話だ。韓国駐留の米軍は、自衛隊と闘うという最悪事態を迎える。また、こうした決断を下した時の日本の政権は、国民の批判で総辞職となろう。


自衛隊が、装備を近代化する背景を指摘しておきたい。

それは、少子高齢化が自衛隊の隊員募集で人員不足の事態に陥っていることだ。

隊員の退職年齢の引き上げも議論されている。また、「女人禁制」の潜水艦部隊に女性隊員を勤務させる計画まで上がっている。

こういう事態を迎えている自衛隊が、装備を近代化して「省力化」を図るのは当然の動きである。

国防力を落とさないためにはハイテク兵器を導入して、隊員減をカバーすることだ。製造業が、新鋭機械を導入して省力化を図る構図と何ら変らない。


『中央日報』(12月20日付)は、『戦争できる国』の野心表わした日本、米『支持する』」と題する記事を掲載した。

(1)

「日本政府は18日、安倍晋三首相主宰で閣議を開き、防衛計画大綱改定案とこれを反映した2019~23年の中期防衛力整備計画をそれぞれ議決した。

防衛計画大綱は自衛隊の配置運用に対する基本指針をいう。改定案によると日本は今後5年間に防衛費として27兆4700億円を投じる。これは過去最大予算だ。

合わせて戦闘機搭載空母の運用を公式化し、ステルス戦闘機と長距離巡航ミサイルなど先端兵器を大挙導入する。

特に日本は中国と北朝鮮などの安保脅威を指摘し、この戦闘機は日本列島と東シナ海周辺に配備するといった」


日本は、国防費の対GDP比で1%枠を守っている。韓国は2%台である。

韓国メディアは、こういう自国に不利になることを絶対に言わない点で、アンフェアである。


日本が、限られた防衛費の中で最大限の撃退能力を発揮するには、兵器の高度化が当然の道である。


東南アジアでは、中国軍が暴走している背景に、これを抑止する国家が存在しないことが指摘されている。

そこで、日本にその役割を果たしてくれ、という要望もあるほど。

だが、これこそ日本の「専守防衛」の枠を乗り越える事態だ。日本が果たす役割ではない。東南アジアでは、中国の軍事的な台頭を最も恐れている。韓国は、この事実を知るべきだ。すでに、視野狭窄に陥っている。

(2)

「こうした改定案は、攻撃を受けた場合にだけ防衛力を行使するという日本の『専守防衛』の原則と衝突するという指摘が出ている。

日本は第二次大戦敗戦後に作った現行憲法第9条1~2項で戦争・武力行使の永久的放棄、戦力(軍隊)不保有と交戦権不認定をそれぞれ規定している。

このため、日本の今回の決定は中国の脅威と安保を口実に『戦争できる国』を作るという日本の軍事大国化の野心を本格的に表わしたとの解釈が出ている」

このパラグラフでの反論をまとめたい。


① 戦闘機搭載空母の運用を公式化し、ステルス戦闘機と長距離巡航ミサイルなど先端兵器を大挙導入することが、専守防衛と矛楯するという指摘は正しいだろうか。


中国が原子力空母まで含めて3隻の空母体制をとる。

日本が、これに対抗するには「竹槍」で済むはずがない。中国の軍拡に沿った軍備を持つことは認められないのか。

中国の空母3隻に異論を唱えないで、日本だけ批判する。

これは、韓国特有の中国べったりの「事大思想」そのものである。中国が軍拡に走れば、日本も「専守防衛」で高度の武器を揃えざるを得ない。これが、「安全保障のジレンマ」と言われる現象である。




② 現行憲法第9条1~2項で戦争・武力行使の永久的放棄、戦力(軍隊)不保有と交戦権不認定をそれぞれ規定している。現在の防衛計画はこれに反するだろうか。


現行憲法は、1940年代後半の世界情勢を反映したものだ。憲法発布時、米ソ対立の兆候はあったが、まだ冷戦は顕在化していなかった。

日本人は、一途に太平洋戦争の惨禍を繰り替えさないという決意を固めたものである。これは、日本が紛争処理の手段として武力に訴えないという決意表明である。

あれから70年以上も経て、国際情勢は完全に変った。

中国公船が、尖閣諸島を巡り頻繁に領海侵犯している環境である。

中国軍の攻撃を想定して、日本が守備を固めることが非難されることだろうか。

韓国の感情では、「尖閣が中国に奪われれば気味がいい」程度の感覚で、日本批判をしているとすれば、韓国の批判を真面目に受け取る必要はない。

日本は、戦争の惨禍を招かないために、軍備の高度化を図っている。それが、少子高齢化時代の日本の選択なのだ。

北欧のスウェーデンが、第二次世界大戦後の冷戦時代、「中立」の立場を表明しつつも、ソ連の攻撃に備えて戦う準備をしていた事実を知るべきだ。

「無防備中立」は、侵略を呼び込むようなもので危険性が高い。これと同様に、「専守防衛=低級レベルの軍備」も侵略リスクを招くであろう。世界情勢は、弱肉強食である。それを地で行っているのが中国である。



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