記事入力 : 2018/10/02 09:14
韓国の自動車産業、崩壊すれば衝撃はメガトン級
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
9月20日、京畿道金浦市にある自動車部品メーカーS社のオフィスを訪れると、半分が空いていた。
現代・起亜自動車の2次下請け業者で、銅塔産業勲章(2003年)、500万ドル輸出トロフィー(14年)などを受賞した同社は今年7月に破産した。
従業員は「事務職と役員の大半は会社を去った。
数カ月月給が支払われていないが、それでももしかして何とかなるのではという思いで、一部の従業員が残り、工場を稼働させている」と話した。
仁川市富平区、全羅北道群山市に自動車部品工場を置いていた年商1000億ウォン台のA社は、韓国GM群山工場が今年2月に閉鎖手続きに入ると、自社の群山工場も閉鎖した。
今年上半期の売り上げは半減し、営業損益は赤字に転落した。
900人いた従業員は30%削減し、600人前後となった。
A社代表は「自動車製造業を40年営んできた。苦しくても希望があれば研究開発投資をしてきたが、今は希望が見えない」と話した。
韓国の自動車産業全体が揺らぎ、部品メーカーが立ち行かなくなっている。
自動車産業の直接雇用規模は39万人で、造船業(12万8000人)の3倍に達する。
自動車製造業は16-17年に直接雇用40万人を維持してきた。
従業員1人が4人家族だとして、160万人の生計を支えてきたことになる。
しかし、雇用人数は今年初めから毎月1000人、2000人のペースで減少し、8月には39万1000人まで落ち込んだ。
韓国GMの危機で退職した約2700人をはじめ、中小企業でその2倍の失業者が生まれたことを示している。
韓国の自動車メーカー5社が1日発表した9月の経営実績も深刻だ。国内販売台数は前年同月比17.5%減の11万130台、輸出は6.5%減の56万8320台にとどまった。
■融資も得られず
仁川市の自動車部品メーカー、タソンのパク・チェホン常務は苦悩している。
9月7日に産業通商資源部(省に相当)主催で開かれた自動車部品メーカーの懇談会で、パク常務は「韓国GMはに依存する事業構造を変えるため、メキシコに工場を設置したが、当面の資金が足りず、工場経営に支障が出ている」と訴えた。
産業通商資源部関係者は「信用保証基金の特例保証が残されているので、適切に活用してほしい」とアドバイスした。
しかし、数日後に訪れた信用保証基金の話は違った。基金側は「タソンには既に融資を行っている上、自動車部品業界全体の業績が悪く、融資はできない」と突っぱねた。
苦境の部品メーカーを崖っぷちに追い込む部署もある。
雇用労働部が韓国GMなど大企業だけでなく、中小部品メーカーにも「下請け企業の従業員を直接雇用しろ」と圧力をかけているのだ。
今年8月、慶尚北道の中小部品メーカーには、大邱雇用労働庁の職員が訪れ、違法派遣の調査を行い、数十人の直接雇用を命じた。
同社代表は「会社がつぶれる危機なのに、政府までもが会社に指図してくるため、会社経営は『恐怖』に近い」と話した。
メーカーは最低賃金引き上げ、労働時間短縮、違法派遣是正などの政策も自動車部品業界など危機業種には猶予を与えるべきだと訴える。
慶尚南道の自動車部品メーカー協会で会長を務めるクムソンボルトのキム・ソンオ代表は「大統領の公約だからといって、全て推し進めなければならないわけではないはずだ。
実際に見て問題点が見つかれば、国民とブレーンを説得し、猶予を与えたり、政策を展開したりするなど柔軟に政策を展開してほしい」と注文した。
テイル特殊鋼のイ・ウィヒョン代表は「人件費が先進国よりも高い上、韓国の強硬な労組のせいで、採用を行うのが怖い。政府には現場の話を真剣に聞き、実質的な対策を論じてほしい」と語った。
■造船業の二の舞いに
特定のメーカーへの納品に依存する従属構造がドミノ倒産の危機を呼んでいるとの指摘もある。
ドイツ、日本など海外の部品メーカーは納品先を多角化しており、危機で大きく揺らぐことはないが、完成車メーカー1-2社に依存する韓国の部品メーカーは大きな打撃を受けるからだ。
産業研究院のイ・ハング上級研究委員は「一部の部品メーカーは、競争力を高め、輸出を多角化しているが、大多数の2次、3次下請け部品メーカーは単独ではやっていけない。輸出競争力を高める政策が必要だ」と分析した。
専門家は合併・買収への誘導、研究開発投資支援など先手の産業構造再編も必要だと説く。
現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「造船業は先手の構造調整を行わなかったために滅んでしまった。
自動車もあまりに多くの企業が過当競争している。民間が自発的に構造調整をリードし、未来カーに備えた競争力を備えることができるように支援すべきだ」と指摘した。
韓国の自動車産業、崩壊すれば衝撃はメガトン級
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
9月20日、京畿道金浦市にある自動車部品メーカーS社のオフィスを訪れると、半分が空いていた。
現代・起亜自動車の2次下請け業者で、銅塔産業勲章(2003年)、500万ドル輸出トロフィー(14年)などを受賞した同社は今年7月に破産した。
従業員は「事務職と役員の大半は会社を去った。
数カ月月給が支払われていないが、それでももしかして何とかなるのではという思いで、一部の従業員が残り、工場を稼働させている」と話した。
仁川市富平区、全羅北道群山市に自動車部品工場を置いていた年商1000億ウォン台のA社は、韓国GM群山工場が今年2月に閉鎖手続きに入ると、自社の群山工場も閉鎖した。
今年上半期の売り上げは半減し、営業損益は赤字に転落した。
900人いた従業員は30%削減し、600人前後となった。
A社代表は「自動車製造業を40年営んできた。苦しくても希望があれば研究開発投資をしてきたが、今は希望が見えない」と話した。
韓国の自動車産業全体が揺らぎ、部品メーカーが立ち行かなくなっている。
自動車産業の直接雇用規模は39万人で、造船業(12万8000人)の3倍に達する。
自動車製造業は16-17年に直接雇用40万人を維持してきた。
従業員1人が4人家族だとして、160万人の生計を支えてきたことになる。
しかし、雇用人数は今年初めから毎月1000人、2000人のペースで減少し、8月には39万1000人まで落ち込んだ。
韓国GMの危機で退職した約2700人をはじめ、中小企業でその2倍の失業者が生まれたことを示している。
韓国の自動車メーカー5社が1日発表した9月の経営実績も深刻だ。国内販売台数は前年同月比17.5%減の11万130台、輸出は6.5%減の56万8320台にとどまった。
■融資も得られず
仁川市の自動車部品メーカー、タソンのパク・チェホン常務は苦悩している。
9月7日に産業通商資源部(省に相当)主催で開かれた自動車部品メーカーの懇談会で、パク常務は「韓国GMはに依存する事業構造を変えるため、メキシコに工場を設置したが、当面の資金が足りず、工場経営に支障が出ている」と訴えた。
産業通商資源部関係者は「信用保証基金の特例保証が残されているので、適切に活用してほしい」とアドバイスした。
しかし、数日後に訪れた信用保証基金の話は違った。基金側は「タソンには既に融資を行っている上、自動車部品業界全体の業績が悪く、融資はできない」と突っぱねた。
苦境の部品メーカーを崖っぷちに追い込む部署もある。
雇用労働部が韓国GMなど大企業だけでなく、中小部品メーカーにも「下請け企業の従業員を直接雇用しろ」と圧力をかけているのだ。
今年8月、慶尚北道の中小部品メーカーには、大邱雇用労働庁の職員が訪れ、違法派遣の調査を行い、数十人の直接雇用を命じた。
同社代表は「会社がつぶれる危機なのに、政府までもが会社に指図してくるため、会社経営は『恐怖』に近い」と話した。
メーカーは最低賃金引き上げ、労働時間短縮、違法派遣是正などの政策も自動車部品業界など危機業種には猶予を与えるべきだと訴える。
慶尚南道の自動車部品メーカー協会で会長を務めるクムソンボルトのキム・ソンオ代表は「大統領の公約だからといって、全て推し進めなければならないわけではないはずだ。
実際に見て問題点が見つかれば、国民とブレーンを説得し、猶予を与えたり、政策を展開したりするなど柔軟に政策を展開してほしい」と注文した。
テイル特殊鋼のイ・ウィヒョン代表は「人件費が先進国よりも高い上、韓国の強硬な労組のせいで、採用を行うのが怖い。政府には現場の話を真剣に聞き、実質的な対策を論じてほしい」と語った。
■造船業の二の舞いに
特定のメーカーへの納品に依存する従属構造がドミノ倒産の危機を呼んでいるとの指摘もある。
ドイツ、日本など海外の部品メーカーは納品先を多角化しており、危機で大きく揺らぐことはないが、完成車メーカー1-2社に依存する韓国の部品メーカーは大きな打撃を受けるからだ。
産業研究院のイ・ハング上級研究委員は「一部の部品メーカーは、競争力を高め、輸出を多角化しているが、大多数の2次、3次下請け部品メーカーは単独ではやっていけない。輸出競争力を高める政策が必要だ」と分析した。
専門家は合併・買収への誘導、研究開発投資支援など先手の産業構造再編も必要だと説く。
現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「造船業は先手の構造調整を行わなかったために滅んでしまった。
自動車もあまりに多くの企業が過当競争している。民間が自発的に構造調整をリードし、未来カーに備えた競争力を備えることができるように支援すべきだ」と指摘した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます