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習近平が焦る…人民元が売られ、資金逃避が激化しても「お手上げ状態」なワケ

2022-10-14 16:05:21 | 日記
10/10(月) 7:32配信

真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)

 習近平が焦る…人民元が売られ、資金逃避が激化しても「お手上げ状態」なワケ

元の不穏な動き

 9月以降、主要通貨の中で米ドルの強さが際立っている。

 一方、円、人民元、ユーロは対ドルで軟調に推移し、日々の値動きはかなり不安定だ。

急速なポンド安と英国債の流通利回り上昇によって英国のトラス政権が所得税最高税率引き下げ案を撤回し、英ポンドはドルに対して反発する場面があった。

 それでも、3通貨の上値は重い。

最も重要なのは、人民元の先安観が一段と高まっていることだ。

近年の中国経済では共産党政権が雇用創出に決定的な役割を果たしたIT先端企業への締め付けを強めてきた。
  
さらに、不良債権も増加している。

 中国が高いGDP成長率を維持することは困難になり、急速に資金を海外に逃避させる主要投資家が増えている。

 中国の経済成長率の低下、金融市場の不安定化を回避するために、海外に逃避する投資資金は一段と増加する可能性が高い。

 それが現実のものとなれば、わが国とユーロ圏の経済にはかなりの下押し圧力がかかるだろう。

 日米の金融政策の差が鮮明となっていることや、ユーロ圏の景気後退リスク上昇によって、円とユーロの下落圧力は追加的に上昇し、経済への負の影響は増大すると懸念される。

売り圧力が一段と強まる人民元

9月下旬、中国人民銀行(中央銀行)は、国有銀行に対してオフショア市場でドル売り・人民元買いの準備を行うよう指示したと報じられた。 

 為替介入の準備が進められたようだ。

 また、国家外為管理局(SAFE)は違法に海外に資金を流出させたとして10の銀行を名指しで批判した。

  共産党政権は本土市場からの資金逃避に警戒感を強めているように見える。 

 それでも、オフショア人民元は1ドル=7元台で推移し、下落トレンドが反転する兆しは見られない。 

 むしろ、中国経済の現状を踏まえると、人民元の下落リスクは上昇している。

  不動産部門ではデベロッパーのデフォルトが増加している。 

 また、強引なゼロコロナ政策によって国慶節の連休中の国内旅行は、2019年の水準の半分程度にとどまるとの予想も出ている。

  世界の主要投資家の期待を集めた中国の高度経済成長期は、終焉を迎えたと考えられる。

 個人消費を中心に中国経済のファンダメンタルズがさらに悪化する可能性は高い。 

 生産活動や不動産市況には、より強い負の影響が及ぶだろう。 

 経済全体で不良債権問題が深刻化して資本の効率性が低下しているため、共産党政権がインフラ投資を積み増し、景気下支えを目指すことも難しい。

  リーマンショック後の世界の景気循環を振り返ると、米国の景気が上向き、次いで中国の生産活動などが活発化した。

  その結果、わが国やドイツでは工作機械やファクトリー・オートメーション関連の制御装置、自動車などの生産が活発化し、緩やかに景気が持ち直した。 

 今後は、中国経済の成長鈍化によって、日、ユーロ圏経済の下振れ懸念が高まりやすい。

日、中、ユーロ圏経済をより圧迫する自国通貨安 懸念されるのは、わが国、中国、ユーロ圏で通貨安が加速し、経済全体に対する負のインパクトが増大する展開だ。 


 まず、外国人投資家による債券売却の加速などによって、人民元は“売るから下がる、下がるから売る”という展開がより鮮明化する恐れがある。


  人民元のさらなる下落は中国の輸入物価を押し上げる要因となり、経済の停滞懸念が追加的に高まる展開は排除できない。 


 そうした状況が鮮明となれば、わが国やドイツを中心とするユーロ圏および欧州経済により強い下押し圧力がかかるだろう。 


 わが国では日銀が異次元緩和を修正するにはまだ時間がかかる。


  一方、米国ではインフレ鎮静化のためにFRBが金融引き締めを強化する考えを一段と強めている。


  短期的に、日米の金利差は拡大し、ドルなどに対して円がさらに減価する可能性は高い。 


 9月の日銀短観では、3期連続で大企業製造業の業況判断指数(DI)が悪化した。  


企業の海外進出などによって、日本経済全体にとっての円安のプラス効果は低下している。 


 一段の円安進行によって、輸入物価がさらに上昇するなど、わが国経済に対する円安の負の側面は増す恐れが高まっている。


  ユーロ圏経済が直面する状況はさらに厳しい。 


 特に、ロシアからの天然ガスの供給途絶はユーロ圏およびEUの結束を揺るがす問題だ。


  それは単一通貨ユーロの信認を低下させる要因でもある。


  電力料金などの高騰などによって生活の苦しさは高まり、各国でストライキが頻発している。


  その状況下でも、インフレ鎮静化のためにECBは金融引き締めを徹底しなければならない。 


 景気後退リスクはさらに高まり、ユーロの減価圧力は高まるだろう。


  これまで以上に、日、中、ユーロ圏経済は自国通貨安に翻弄される恐れが増している。


真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)




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