米、来年末ユネスコ脱退 国際社会、驚きと批判
米国連大使「政治化し困惑」
- 2017/10/13付
- 情報元
- 日本経済新聞 夕刊
【ワシントン=川合智之、パリ=白石透冴】トランプ米政権が12日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)からの脱退を表明したことを受け、国連や関係組織、欧米各国から驚きや批判の声があがった。米国はユネスコが2011年にパレスチナの加盟を承認するなど「反イスラエル的な姿勢」への懸念などを脱退理由に挙げた。米の孤立主義が改めて浮き彫りとなった。
米国は12日付でユネスコに脱退の意向を通知した。脱退は18年末に発効し、その後はオブザーバーとして関与する。ヘイリー米国連大使は12日の声明でユネスコについて「政治化し、困惑させられるようになった」と批判した。
ユネスコは7月、パレスチナ自治区のヘブロン旧市街を世界遺産に登録。イスラエルが強く抗議していた。
トランプ政権は親イスラエル的な姿勢が強く、脱退発表もイスラエル側の意向に沿った判断とみられる。
国連のハク事務総長副報道官は12日、定例記者会見で「グテレス国連事務総長は脱退決定について極めて残念だと思っている」と語った。
一方で米国とは「多くの問題について連携しており、今後もそうしていく」と語り、強い非難を避けた。
ユネスコ本部があるフランスの外務省は「国際社会によるユネスコへの支援が重要になっている今日、米国の決定を残念に思う」との声明を発表した。
仏紙フィガロは「派手だが結果は限定的という、トランプ氏が得意とする決断だ」と批判的に報じた。
米ニューヨークのメトロポリタン美術館も「文化財保護のリーダーとしての歴史的役割を損なう」と、米政権を批判する声明を出した。
ロイター通信によると、英首相官邸の報道官は「引き続き加盟国としてユネスコに関与し、その重要な活動を支えていく」と記者団に語った。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「米国とユネスコの関係は安定していない」として米国が過去にも脱退していた時期があると報じた。
ドイツでも関心は高く、各メディアはニュースを一斉に速報した。
高級紙のフランクフルター・アルゲマイネ紙は電子版で「撤退大統領、トランプ」と皮肉を込めた見出しを掲げ、トランプ氏が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」や、環太平洋経済連携協定(TPP)などからの撤退や脱退の表明を繰り返していると指摘した。
ユネスコの記憶遺産 慰安婦問題の資料 登録は見送りの公算
NHK
10月27日 4時25分
ユネスコの記憶遺産の新たな登録を審査している専門家の委員会が、韓国や中国などの市民団体が申請した慰安婦問題に関する資料について、登録するかどうかの判断を見送ったことが関係者への取材でわかりました。
今後はユネスコの事務局長が最終的な判断を行いますが、登録は見送られる公算が強くなっています。
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