実は多い「呼吸の力」が足りない人の特徴
呼吸が浅いと起きる2つのマイナス影響とは
連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」
忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の
連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。
多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏が
ビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。
今回は「呼吸」について。「THE ANSWER」公式YouTubeチャンネルの動画では、
中野トレーナーが提案する「胸郭の回旋運動のストレッチ3種類」を紹介しています。
【動画】中野トレーナー実演 呼吸の力不足を解消する「胸郭の回旋運動のストレッチ3種類」
人の体に深く関わる「呼吸」。体力やスポーツ・パフォーマンスの向上はもちろん、
自律神経のバランスの調整にも関わりますが、最近はヨガや瞑想を行う人に限らず
、一般的にも、呼吸の重要性について広まってきていると感じます。
改めて呼吸に向き合うと、「深呼吸がうまくできない」「息をしっかり吸えない」
あるいは「息を吐き切ることができない」ことに気付いたという声を、よく聞きます。
実際、講習会やパーソナルトレーニングを行っていると、
「呼吸の力が足りないな」と感じる人は、非常に多いのです。
うまく呼吸ができない人の体は、胸郭(胸椎や肋骨にぐるりと囲まれている部分)が固く、
広がりにくくなっています。すると胸郭内の横隔膜の動きが悪くなり、
肺も膨らみづらくなる。結果、呼吸が浅くなってしまいます。
そもそも、胸郭が固くなる原因ですが、悪姿勢や加齢により、
肩甲骨や胸椎の動きが悪くなることが挙げられます。
悪姿勢の代表例は現代人に多い「猫背(前かがみの姿勢)」。
猫背になると胸が縮み、押しつぶされるため、構造的に胸郭が広がりづらくなります。
また、呼吸に関与する「呼吸筋」は、加齢とともに硬くなりやすい。
そのため、日頃からきちんと使っていないと、
どうしても胸郭が広がりづらくなるのです。
呼吸が浅くなると、体に起こる2つのマイナス影響とは?
さて、呼吸が浅くなると、どんなマイナスの影響があるのでしょうか。
代表的なところでは「疲労感の増大」と「自律神経のバランスの崩れ」が挙げられます。
まずは疲労感について。呼吸が浅いと、少ない酸素量で筋肉や内臓を動かすため、
体が疲労します。すると、ちょっと動いただけで息が上がりやすくなってしまう。
通勤時に久々に階段を使ってみたら、以前はサクサク上っていたはずなのに、
呼吸が荒くなる、つらく感じるという人は、呼吸が関係しているかもしれません。
呼吸の力不足がパフォーマンスに影響しているアスリートも多くいます。
息がすぐに上がる選手の体を観察した際、胸郭の広がりが悪いことに気付づくと、
我々、トレーナーは胸郭がしっかり広がるよう促します。すると途端に、
苦しいと感じていた練習量を楽にこなせるようになるケースはよくあるのです。
疲労感が増せば自然と活動量が減り、それに伴って消費カロリーも低下します。
ですから、持久力や体力をアップする、ダイエットを成功させるためにも、
「息(酸素)をしっかり吸って、しっかり吐く」力をつけることは、とても大切なのです。
もう一つの「自律神経のバランスの崩れ」についてですが、
人の体は息を吸うときに交感神経が優位になり、
吐くときに副交感神経が優位になります。
良い呼吸を続けると自律神経が整いやすいといわれるのは、そのためです。
逆に、呼吸が浅かったり、吸う・吐くのどちらかがうまくいかなかったりすると、
自律神経のバランスが崩れてしまう。
その状態で、ヨガや瞑想を続けても、本来の効果を十分に得られません。
動画で「胸郭の回旋運動のストレッチ3種類」を紹介
息の上がらないスポーツはありません。
また、日常生活での運動量や消費カロリーを上げたい方、
メディテーションの効果を得たい方にとっても、呼吸の力は重要です。
そこで、今回の動画では胸郭の動きを良くする、
3種目の胸郭の回旋運動のストレッチを紹介します。
最大の効果を得るには順番も大事。動画の順序に沿って行ってください。
また、ストレッチのベストタイミングはスポーツやヨガ、メディテーション、
起床時など、行動を起こす直前です。
呼吸がより深くなることを、実感できると思います。
肺に酸素をたっぷり取り込める体にしていきましょう。
中野ジェームズ修一 1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。
米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。
日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。
「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。
2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に
自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。
主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、
『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、
『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。
長島 恭子 編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。