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たかたの試練

2017-01-20 20:21:37 | お話
🍀🍀たかたの試練🍀🍀


2004年の3月初旬。

その夜、私と副社長の女房は、新聞社と向かい合っていました。

「うちのだと思います。

記事にするかしないかはお任せします」。

その記者に見せられたのは、外部に流出していた顧客情報でした。

社内のデータと照合してみると、名前の入力間違いなどもぴったりと一致したのです。

流出時期を考えると最大66万人分になる可能性がありました。

翌朝、新聞の一面やテレビのニュース番組で大きく報道されました。

本社には記者の皆さんからひっきりなしに電話が。

犯人も流出経路も何もわからない状況でしたが、

午前11時から記者会見を開きました。

「お客様を重んじる経営をしてきましたが、こういう結果になりました。

深くおわび申し上げます」。

その場で続けて、営業の自粛を表明しました。

テレビもラジオもネットも、全ての通販を閉めたのです。

この決断は、私と女房の覚悟でした。

折しも、テレビ通販の10周年記念。

タレントさんを呼んで大量のテープを撮影し、数十億円分の商品を仕入れる契約をしていたのです。

しかしそれも一切、頭の中にありませんでした。

原因も分からないまま、お客様の前には出られません。

最終的に、自粛による売り上げへの影響は150億円にも達しました。

後に多くの方から「あそこまでやらなくても」と言われました。

会社を倒産させるわけにはいきませんが、幸いある程度の蓄えもある。

売り上げを失っても、ゼロからやり直せばいい。

社員を集めて、雇用も給料も心配ないと告げました。

「原点に返って見直そう」。

何人も泣いている社員がいました。


すぐに解明のため特別室を設け、警察に情報を提供しました。

大きな反省は、セキュリティーに対する認識不足でした。

その後、並行して再発防止策も進めました。

監視カメラ用やソフトの導入、個人情報保護の講義と試験。

国家がハッカー行為をする時代に絶対の防衛策はありませんが、

今も一企業として最善の努力を続けています。

犯人として浮かび上がったのは、2人の社員でした。

いつも語り合い信頼していた社員です。

「どうして」という思いでした。

魔が差すと言えばそれまででしょうが…。

当社に限らず、会社員の不祥事は絶えません。

たいしたもんだと考えず、手を染めてしまうのかもしれない。

でも会社を倒産の危機にさらし、働く社員の人生を狂わせることを考えてほしい。

4月半ばには、原因究明と再発防止策にある程度のメドがついてきました。

49日間の自粛を経て、まずCS専用チャンネルを再開。

段階的にラジオやネットも再開していきました。

商品を発注していたメーカーさん、枠を確保してくれていた放送局さん。

突然の自粛で大変なご迷惑をかけたのに、

「頑張って乗り切ってください」

「発注分は心配しなくていいです」

と多くの方々が助けてくださいました。

何より、お客様からは、お叱りとともに、励ましをたくさんいただきました。

数千通にものぼるそれは大事に取ってあります。

この人たちのために立て直そう、積み重ねていこう。

事件後に入社した社員も、手紙を読んでセキュリティーの重要性を再認識しています。


(「日経MJ」H29.1.20 ジャパネットたかた、高田明さんより)


いろんな試練を乗り越えてきてるんですね。(≧∇≦)

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