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ちんこの話

2017-01-18 13:13:11 | お話
🌸ちんこの話🌸


新年早々恐縮だが、今週は「ちんこ」の話である。

「ちんこ」といっても、誰もが持っている「のどちんこ」。

これにまつわる1人の少年と23歳の若き青年教師の物語である。

その少年は、戦前の高等小学校で学んでいた。

担任は東井義雄という、教師になって4年目の先生だった。

少年は、おそらく授業で

「体にあるものには、すべて役割がある」

ということを教わったに違いない。

目はものを見る役割、
鼻は呼吸をしたり匂いをかぐ役割、
まゆ毛は額の汗が目に入らないようにする役割、

へそは何も役に立っていないように思えるが、

母親の胎内にいたときに重要な役割を果たしていた。

また、内蔵の一つ一つの臓器もそれぞれに役割を持っている、と。

そんなことを学んだ少年は1つだけ、

それが一体何の役に立てるのかわからないものがあった。

それが「のどちんこ」だった。

その日は、3学期最後の授業が終わった日だった。

東井先生は言った。

「これで授業が終わったが、何か質問はないか?」

「北村」という少年が手を挙げた。

母1人、子1人の貧しい家の子で、彼は小学3年生の時から

毎朝3時半に起きて新聞配達をし、学校が終わると夕刊を配っていた。

授業中はいつも背筋がピンと伸び、先生と黒板を睨み付けるように授業を受けていた。

母親から

「新聞配達をしているからといって学校で居眠りしているようだったら新聞配達はやめなさい」

と厳しく言われていたからだ。

北村少年は言った。

「先生、あー と口を開けると、喉の奥にべろっと下がった、ぶさいくなものが見えますが、

あれ、なにするもんですか?」

東井先生が、後に教育界最高の栄誉といわれる「ペスタロッチー教育賞」を受賞したのも、

校長を務めていた小学校に全国から見学者が絶えることなく訪れていたという逸話が残っているのも、

すべては、この質問から始まっているといっても過言ではないだろう。

兵庫県豊岡市にある東井義雄記念館にこんな一文がある。

「1935年(昭和10年)理科学習での教え子の質問がきっかけで

『ノドチンコ』の働きの神秘さに、大きな衝撃を受け、

生きているつもりが生かされていることを発見する」(「東井義雄の足跡」より)

23歳の東井先生は「のどちんこ」がどんな働きをしているのか知らなかった。

「北村くん、すまんけど先生知らんわい。

今日帰って調べてくるから明日まで待ってくれや」

と少年に頭を下げた。


「のどちんこ」は正式名を「口蓋垂(こうがいすい)」というそうだ。

鼻から吸った空気は気管を通って肺に入り、

口から食べたものは食道を通って胃袋に入っていく。

もし間違って食べ物や飲み物が気管に入ってしまったら、たちまちたちまち窒息して死んでしまう。

そうならないように、あの「のどちんこ」がピタッと気管の入り口に蓋をしていたのである。

だから食べ物は迷うことなく胃袋に入っていくのだ。

この神業ともういうべき人体の神秘を知った東井先生は、

「なぐりつけられたらような気がした」

と、著書『バカにはなるまい』に記している。

自分が母親の乳を飲み始めた時から「のどちんこ」は働きづめに働いてきたのに、

その名前すら知らず、お礼も言ったことがないことに気づいた東井先生は、

そこから「いのちの教育」に目覚めていくのである。

後に多くの教師に影響を与えていく先生だが、

「のどちんこ」には、そんな先生の人生を変える大きな役割があったのだ。

「感性が問い、理性が答える」

「問いが使命を与えてくれる」。

哲学者・芳村思風さんの言葉だ。

生命から湧き上がる好奇心を、あなたは持っていますか?


(「みやざき中央新聞」H29.1.16 水谷さんより)

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