🌸🌸岩に咲く花🌸🌸
オーストラリアのエアーズロックは高さ348メートル、周囲9.4キロの巨大な一枚岩でできており、
朝に夕に色合いを変える神秘的な経過面白く広く知られている。
10年以上も前になる。
このエアーズロックに登った。
その折受けた鮮烈な印象が、今も胸の奥に焼き付いている。
岩につけられた道をたどって登る途中だった。
ふと見ると、傍に小さな花が1輪、咲いていたのである。
美しかった。
なんという花なのかは知らない。
種が鳥に運ばれたものか、風に乗ってきたものか、
わずか1、2ミリの岩の割れ目から細い茎を懸命に飛ば伸ばし、
小さな花弁を精一杯広げていた。
あたりは乾燥地帯で空気は乾ききっている。
かんかん照りの日差しが容赦なく降り注ぐ。
そして岩の地肌。
植物の生育にこれ以上の悪環境はあるまい。
たとえ小さくとも細かくとも、
そこに花が咲いていること自体が奇跡的である。
もっといい環境で、肥沃な土壌どに根を下ろし、湿り気をたっぷり吸収して育ちたかった…
この花はそんなふうに思ったことがあるだろうか、と考えた。
だが、花は答えてくれない。
環境がよかろうが悪かろうが、
与えられた条件を最大限に活かし、
ただただ懸命に茎を伸ばし、精一杯に花弁を咲かせて、
自分に与えられた命をひたすら謳歌していた。
与えられた環境の中でひたすら生きるものは美しい。
私は命の本質に触れた気がして、こみ上げる感動にしばしわれを忘れた。
(「致知」2005.8月号より)
オーストラリアのエアーズロックは高さ348メートル、周囲9.4キロの巨大な一枚岩でできており、
朝に夕に色合いを変える神秘的な経過面白く広く知られている。
10年以上も前になる。
このエアーズロックに登った。
その折受けた鮮烈な印象が、今も胸の奥に焼き付いている。
岩につけられた道をたどって登る途中だった。
ふと見ると、傍に小さな花が1輪、咲いていたのである。
美しかった。
なんという花なのかは知らない。
種が鳥に運ばれたものか、風に乗ってきたものか、
わずか1、2ミリの岩の割れ目から細い茎を懸命に飛ば伸ばし、
小さな花弁を精一杯広げていた。
あたりは乾燥地帯で空気は乾ききっている。
かんかん照りの日差しが容赦なく降り注ぐ。
そして岩の地肌。
植物の生育にこれ以上の悪環境はあるまい。
たとえ小さくとも細かくとも、
そこに花が咲いていること自体が奇跡的である。
もっといい環境で、肥沃な土壌どに根を下ろし、湿り気をたっぷり吸収して育ちたかった…
この花はそんなふうに思ったことがあるだろうか、と考えた。
だが、花は答えてくれない。
環境がよかろうが悪かろうが、
与えられた条件を最大限に活かし、
ただただ懸命に茎を伸ばし、精一杯に花弁を咲かせて、
自分に与えられた命をひたすら謳歌していた。
与えられた環境の中でひたすら生きるものは美しい。
私は命の本質に触れた気がして、こみ上げる感動にしばしわれを忘れた。
(「致知」2005.8月号より)
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