

ガマ(ガマ科・7月6日撮影)
カキツバタの畑にガマの穂が揺れています。ゆっくりと回転しながらノビノビと延びるガマの葉は、カキツバタの葉の中でもひときわ大きく、目立ちます。先端の雄花はもう落ちて、ソーセージのような雌花の穂がまっすぐに伸びています。穂綿が、毛の密なブラシのように丸い軸の周りにびっしりとついて、つかんでも押してもへこみもしません。茶色に見えるのは柱頭の色。
因幡の白兎の話に出て来る“ガマの穂綿”は、この穂綿が熟してほぐれたもので、お布団の綿にも使われたようです。“ガマの穂綿にくるまれば ウサギは元の白兎”と歌の文句を覚えていたので、ほわほわの白い穂綿にウサギがくるまっている様子を連想し、白い綿に寝ると白い毛が生えてくるって、さすが神話だなと思っていました。
が、古事記ではガマの穂綿ではなく、蒲の雄花の花粉=蒲黄(ほおう・ほこう)をしき散らして寝転ぶ、となっているのですね。蒲黄は止血・増血・鎮痛などの作用のある漢方薬だそうで、ごく実用的な話だったわけです。蒲黄では童謡の歌詞として分からないから“蒲の穂綿”になったのでしょうか。
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