Tちゃんのこと

小学校の低学年の頃は、自転車もなかったはずなのに、３０分くらい歩いて、遠くの友だちの家まで遊びにいったものだ。その友達の家からさらに１５分くらい歩いてS池まで行ったりして。

Tちゃんは健康優良児にも選ばれたとかで、元気がいい、お母さんにそっくりな色白で眼のくりくりした男の子でした。
すごく丈夫な子で、遠足のとき皆がバスに酔ってきもちわるいなんて言っているときも、平気でミカンを食べているような子でした。
Tちゃんは乱暴者だからなんて悪口言っていたけど、かわいかったから、わたし結構好きだったんだろうな。まあほかにも好きな子はいたみたいだけど・・・

その後５年生のとき、新しい小学校ができて、私たち青梅街道より南の子は学校が変わっちゃったから、わたしはTちゃんと別れてしまった。

高校になったらまた偶然同じ高校になったけど、クラスも違ったので、恥ずかしいから声もかけなかった。体育祭の日かな、Tちゃんはヨーヨーで遊んでいた。それを見て、相変わらずかわいい男の子だなと思っていた。

大学は防衛大学に入ったと聞いた。変なところに入るんだなとその時思った。
それから彼は自衛官になったらしい。

２０００年に開かれた、高校の同期会。３０年後の再会の場所で、Tちゃんがくも膜下出血で死んだという噂を聞いたときは、私言葉をなくしました。
おじさんになったTちゃんに会ってみたかったから。
一番見たかった人だったかもしれないからね。
ほんとに、人生なんてあっけなく終わってしまうことがあるんですね。
ほんとに再会できなかったことは残念です。
　
今ならあの頃好きだったんだよ、なんて平気で言えたのにね。